「ありのままの自分を受け入れること、そして成功しても恩を忘れない謙虚さもテーマの一つ」『どん底作家の人生に幸あれ!』デヴ・パテルインタビュー
イギリスの文豪ディケンズの代表作「デイヴィッド・コパフィールド」を『スターリンの葬送狂騒曲』の鬼才アーマンド・イアヌッチ監督が映画化した『どん底作家の人生に幸あれ!』が1月22日(金)に公開となる。主演は、監督が当初より彼しかいないと熱望したデヴ・パテル。ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショー、ヒュー・ローリー、ピーター・キャパルディなどとドタバタ劇を演じ、困難な運命に翻弄されながらも自分のアイデンティティを見つけ、手助けしてくれた人々と成功を共有した主人公の生き様をユーモアを持って描いた本作について話を聞いた。
ーー本作出演が決まった時の感想を教えてください。
デヴ・パテル「いやあ、仰天しましたよ。もともとアーマンド・イアヌッチ監督の大ファンだったので、今度はどんな世界観を打ち出してくれるのか楽しみでした。監督はいつもすごく笑えて風刺がきいているものを作りますが、今回も元気と希望と笑いに溢れた映画に仕上がっています。とにかく、出演が決まった時には胸がいっぱいでした」
ーーそのユーモアがディケンズ小説には意外だと思いませんでしたか?
デヴ・パテル「確かに学校の授業でディケンズを勉強した時にも、なんだか暗くて、薄気味悪くて、気分が滅入るなあと思ったものです。とかく人が悩みがちなテーマを扱っていますから仕方ないんですけどね。
でも、こうして違う視点から捉えてみると、ユーモアをたっぷりと含んでいることに気づかされました。楽しさがあるんです。むしろ登場人物たちは、あまりに多くの逆境に直面するので、笑わずには生きていけないんじゃないかな。
イアヌッチ監督はそんな両極端の世界のバランスを見事にとっていると思うんです。片や、久しく映画界でお目にかかっていないほどの純然たるドタバタで、片や気の利いたスマートなセリフの数々。これがいい感じなんですよね」
ーー原作を知らない人たちのために「デイヴィッド・コパフィールド」という小説について説明していただけますか?
デヴ・パテル「作家ディケンズの自伝的小説で、幼くしてすべてを失った少年が主人公です。少年は家族も居場所も失って、瓶詰め工場に働きに出されて、そこを逃げ出して、優しい人たちに巡り会います。その人たちも恵まれない境遇に置かれているんです。そしてみんなで一緒になって主人公を支えて、彼がありのままの自分を、過去や困難もろとも受け入れて偉大な作家になれるようにするんです。謙虚さもひとつのテーマで、主人公は成功しても恩を忘れず、自分を頂点に運んでくれた“エレベーター”を、その人たちのために送り返すんです」
ーー主人公に共感する部分はありますか?
デヴ・パテル「もちろんあります。いまだに自分はこの業界に不釣り合いな気がしてますからね。今回も見事なキャストに支えられてますよ。ピーター・キャパルディ、ヒュー・ローリー、ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショーが醸し出す空気感を、僕、つまりデイヴィッドが観察しているって感じです。最高ですよ」
ーーでは撮影現場もスクリーンで感じられるほど楽しかったようですね。
デヴ・パテル「その通りです。初めは重々しい現場になるんじゃないかと思って緊張してたのですが、まるで違いました。みんなで笑いっぱなしでしたよ。監督はできる限り笑いを引き出そうとするし、みんなもノリノリだし、自由自在に遊ばせてもらいました」
『どん底作家の人生に幸あれ!』
2021年1月22日(金)TOHO シネマズ シャンテ、シネマカリテ 他全国順次公開
★公式サイト:gaga.ne.jp/donzokosakka
監督:アーマンド・イアヌッチ『スターリンの葬送狂騒曲』
原作:「デイヴィッド・コパフィールド」チャールズ・ディケンズ著(新潮文庫刊、岩波文庫刊)
出演:デヴ・パテル『LION/ライオン ~25年目のただいま~』/ピーター・キャパルディ『パディントン』
ヒュー・ローリー『トゥモローランド』/ティルダ・スウィントン『サスペリア』
ベン・ウィショー『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
原題:The Personal History of David Copperfield
【2019 年/イギリス・アメリカ/シネスコ/5.1ch デジタル/120 分/字幕翻訳:松浦美奈】
配給:ギャガ
(c)2019 Dickensian Pictures, LLC and Channel Four Television Corporation
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