Wii UのJOYSOUNDにボカロ曲が入っていない理由
今回はかわんごさんのブログ『かわんごのブロマガ』から転載させていただきました。
Wii UのJOYSOUNDにボカロ曲が入っていない理由
ぼくはWiiでもWii UでもカラオケJOYSOUNDを使っているのだが、なぜか、JOYSOUNDの大きな特徴である初音ミクなどのボーカロイド曲が入っていない。
まあ、いろいろあるんだろう、いつかは入るでしょうと思っていたのだが、全然、入る気配がないので、DUE(ドワンゴユーザエンターテイメント)にどういうことか説明して欲しいと命令して教えていただけないでしょうかとお願いしたところ、以下のような丁寧な回答をいただけたので、一部を転載する。DUEとは元々DME=ドワンゴミュージックエンターテイメントという名称だったが、なんか、レコード会社みたいでビジネスっぽいからという、理由で、ユーザー本位でビジネスをやるという意思を明確にするために、昨年末に名称を変更したということだ。
————–以下転載———–
「JOYSOUND DX」は著作権管理の視点からすると、通常の「業務用通信カラオケ」ではなく「インタラクティブ配信」(ネット送信)に当たります。
通常の業務用通信カラオケの場合、著作権印税を楽曲権利者がもらうためには、その楽曲の著作権のうち「録音権」もしくは「演奏権」と「通信カラオケ権」の計二つの支分権をジャスラックに信託する必要があります。
これに対して、「JOYSOUND DX」は楽曲の支分権のうち「配信権」(著作権法上の送信権の対象となるため)がJASRACに信託されていないと印税を受け取ることができません。
しかし、ボカロPは自分の楽曲の展開を行う上でサウンドトラック「ピアプロ」や「自分のサイト」にアップして自由にダウンロードしてもらい、それを「うたってみた動画」にしてニコ動などにアップしてもらうという手法をとっている方が多いのですが、「配信権」をJASRACに信託してしまうと、著作権使用料の徴集がかかってしまい、活動に制約が生じてしまいます(「ピアプロ」はJASRACと包括契約を締結していません)。
そこで、「配信権」のみ別途イーライセンスに預けられた楽曲に関しては、著作権処理上は問題なく印税が支払われ、かつ使用料免除の手続きも取ることが可能なため、エクシング内での「配信権をイーライセンス管理されている楽曲の「JOYSOUNDへの導入」が推進されているのですが、実際にフルパワーで行われ始めたのが2012年の後半になってからのようです。
よって、これ以前は「配信権をJASRACに信託しない」ボカロPさんが多く、これが「JOYSOUND DX」で楽曲が配信されない理由でした。
しかし、現在は(1年ぐらい前から)DUEでは「配信権をイーライセンスに預け、かつ、「ピアプロ」や「自分のサイト」を「著作権免除サイトとしてイーライセンスに登録する」という手法をボカロPに推奨しています。
これにより、「ピアプロ」や「自分のサイト」に楽曲を自由にアップでき、かつ「JOYSOUND DX」などのビジネスユースでは、きちんと印税を受け取ることができる、というシフトが確立されつつあります。
このような努力の結果、2012年後半ぐらいから「JOYSOUD DX」でも「配信権がイーライセンス管理」という楽曲も積極的に配信作業を進めてきてくれており、順次、「○○」や「×××」「△△△」といった「配信権がイーライセンス管理」という曲を有する超有名ボカロPの楽曲も随時配信されていく予定であるとのことです。
要するにカラオケ対策で、ここ数年ボーカロイド曲をJASRAC登録するボカロPが増えたけど、カラオケ用に「演奏権」は信託したけど、「配信権」を信託していなかったため、Wii Uでは配信できないということらしい。
要するに業務用カラオケ機器の場合は通信カラオケであっても配信ではないという扱いだったということだ。そういえば、初期はISDNみたいな専用回線で配信していましたね。インターネットじゃなくて。
というわけで、ボカロPはWii Uとかゲーム機やPCのカラオケサービスに曲が登録されるためには、JASRACか、イーライセンスに「配信権」も信託する必要があるということです。ピアプロとか自分の個人のHPでも配信したい場合はイーライセンスのほうがいいでしょう。
ちなみにニコニコ動画自体での利用についても包括契約によってロイヤリティが発生するのですが、これも受け取るためには配信権も信託しないと対象になりません。
というお話でした。
執筆: この記事はかわんごさんのブログ『かわんごのブロマガ』からの転載です。
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