京都・笠置「日本で2番目に人口が少ない町」を旅してみた(前編)
日本に存在する市町村のうちの「町」は全国で743ある(2020年12月現在)
最も多いのは、広島県府中町で51000人あまり。一方、一番少ないのは人口ゼロの福島県の5町を除くと、山梨県の早川町で約960人。“日本一人口が少ない町”として地域発信もしている。
その次に少ない、日本で2番目に人口が少ない町が、京都府笠置町だ。京都府で最南端に位置し、人口は1250人。山と川、巨岩奇岩といった自然にあふれ、四季折々の光景が見られる。近年、キャンプでも人気が高い。
その笠置町を旅する機会があった。大阪からの日帰りトリップの様子を、前編と後編に分けて紹介する。
■関西都市圏からアクセス良好、コンビニは1軒のみ
笠置には、鉄道でアクセスできる。JR笠置駅まで、京都駅から約1時間30分、大阪駅から約1時間、奈良駅から約30分。車でも町に国道が通り、京都から1時間ほどで着く。関西の都心部からのアクセスはけっこう良い。大阪や奈良からの直通列車(大和路快速)が発着する隣り町にある加茂駅からは車で約15分、鉄道だと20分。
駅からの公共交通機関は皆無で、町内にはタクシー会社もない。ただ、笠置キャンプ場や木津川沿いを楽しむだけなら、駅から十分徒歩圏内だ。コンビニは町内で唯一「ローソン」があるものの、徒歩では厳しい。
■2000年もの歴史ある聖地・笠置山、紅葉と雲海の絶景
笠置、と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、後醍醐天皇という人も多いはず。南北朝時代、倒幕に失敗した天皇が笠置山にある笠置寺に南朝の都を置いた。だが、戦いに敗れて全山焼亡し、のちに寺は復興と荒廃を経て現在に至る。
山のふもとから途中まで車で行くと、細くて急なカーブが連続した先にやっと山門が見えてきた。
笠置山は2000年もの間、巨岩や奇岩が信仰を集めてきた。山内には、高さ15メートル以上もあって弥勒大磨崖仏が彫られた跡が残る「弥勒石」、断崖絶壁に立つ高さ12メートルもの「虚空蔵石」、岩のトンネルをくぐる修行場の入口「胎内くぐり」など、圧倒されるものばかり。
頂上付近から眺める木津川と山々も絶景だった。秋冬の朝は雲海も見事という。
また、紅葉もとても美しい。山麓から徒歩で行くのが難しい場所なだけあり、ほぼ自然の手つかずのまま残っている。初夏の頃の青モミジもおすすめとのことで、見ごろなどは笠置寺の公式サイト(https://www.kasagidera.or.jp/)やSNSでも発信している。
■笠置の名物は「きじ」料理、鍋や釜飯など味わえる
笠置でおすすめのグルメは「きじ」を使った料理とのこと。笠置寺から徒歩で行ける明治23年(1890年)創業の料理旅館『松本亭』で、きじ釜飯を味わった。
雉(きじ)は、鳥肉の中で最上級とされ、古事記や万葉集にも登場することから“日本古来のジビエ”ともいわれる。ややパサつき気味の肉は噛むほど弾力とうま味があり、脂分がほぼなく食べやすかった。なにより、窓の外に見える大自然を眺めながら味わうのも格別だった。
その他、春の山菜、初夏の鮎、秋のきのこ、冬のぼたん鍋や鴨鍋なども名物。営業する店舗や時間などを事前に調べ、ピンポイントで予約するのをおすすめする。
(後編に続く)
京都府笠置町
https://www.town.kasagi.lg.jp/
(Written by A. Shikama)
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