オトナの時計投資:ドレスウォッチに変身可能!「GMTマスター」のディープな世代遷移

どうもライターの丸野裕行です。

時計投資で一獲千金を夢見るミドル世代に、時計投資のコツやROLEX自体の遊び方についてレクチャーしていく、好評の《オトナの時計投資》シリーズ。

【連載】『シリーズ:オトナの時計投資』
https://getnews.jp/search/%E3%82%AA%E3%83%88%E3%83%8A%E3%81%AE%E6%99%82%E8%A8%88%E6%8A%95%E8%B3%8[リンク]

ヴィンテージROLEXの価格下落もやっと持ち直したようで、相変わらずアンティークのスポーツモデルの売買はコロナ禍以前の状態に戻りつつあります。

そこで今回は高額で取引されている「GMTマスターの楽しみ方と第1世代、第2世代など世代別の遷移」について解説していきたいと思います。

第10回を迎える今回も、ロレックスマニアが喉から手が出るほど欲しがるGMTマスターの注目すべき点に触れていきますので、ROLEXファンの皆さんは要注目です。

前回に引き続いて、取材協力いただけるのは、ヴィンテージROLEXコレクターとしても最近知名度が上がっている時計投資家の神戸製薬株式会社代表の吉田ナリアキラさん。人気のGMTマスターが現在までにいかなる変化を歩んできたか、スポーツモデルとは一線を画したこのモデルの魅力を、とくとお聞きください。

GMTマスターの歴史は仮面ライダーの歴史のようなもの

丸野(以下、丸)「他のROLEXとは違うGMTマスターの特徴というのを教えてください」

吉田さん「いや、これがすごいんですよ。ベゼルで違う時間を表示できるということと、前回にご紹介したベゼルの変更ができてひとつの時計で様々な表情が楽しめることですね。それにマイナーチェンジを含め、モデルチェンジが多いということです。これは海外では、人気があるということなんですね。自動車と同じで、人気のBMWやメルセデスもすぐにモデルチェンジするじゃないですか?」

丸「それほど人気があるという証拠なんですね

吉田さん「はい。タイムゾーンの違いによって生まれる時差に焦点を合わせて、24時間針と24時間ベゼルで第2の時間帯を表示することを成功したリューズガードがない第1世代6542

丸「ほほう」

吉田さん「タフな形状を求めてリューズガードを設けたサークルミラーダイアルモデルのオリジナルケースの場合であればPCGを装備する第2世代1675

吉田さん「防水機能が100mにあがり、日付早送り機能とムーブメント28,800振動を備えたCal.3075搭載の第3世代16750プラスチックからサファイアクリスタルガラス風防に変更された最終形の第4世代16700の世代に継承され続ける、いわばロングセラーなわけです」

丸「第4世代までで、最終形なんですね」

吉田さん「その中でも、初期モデルの6542は稀少価値があり、原点でありと、いわば仮面ライダー1号の藤岡弘みたいなものですね(笑)。未だに、新たなライダーに伝統を継承され、人気を得ているという」

丸「なるほど」

高性能でありながら、日本では不遇の道を歩むGMTマスター

吉田さん「昔からのGMTマスターは、赤と青のベゼルが装着されていて、ビジネスシーンでそれを嫌ったサラリーマンたちはこぞって黒ベゼルに付け替えて、一時期それが流行しました。サブマリーナみたいなフェイスにしたわけですね」

丸「サブマリーナ、僕も持っていましたが、すごく流行りましたもんね」

吉田さん「僕から言わせれば、サブマリーナなんて自分の10分が限界の酸素ボンベの時間がわかるだけで、GMTマスターなら全世界の時間がわかるし、サブマリーナでできることがすべてできるし、と」

丸「地上でのビジネスマンとしての機能を網羅しているモデルというわけですね。まぁ、サブマリーナの防水機能の300メートルなんて、潜ることなんてないですもんね」

「GMTマスター」はスポーツモデルではない

吉田さん「結論からいうと、“GMTマスターはドレスモデルのウォッチですよ”ということです

丸「GMTマスター、僕はスポーツモデルだと思っていたんですが……」

吉田さん「マニアのみなさんも勘違いしている方も多いんですが、ヨットマスターしかり、ドレスウォッチなんです。なぜかというと、GMTマスターは《パンアメリカン航空》のパイロットのために制作されたモデル。あとは全世界に旅行する裕福なトラベラー、出張へ行く富裕層のビジネスマンたちが贔屓にしている違う時間の設定をできる表示機能を持っている時計なわけです。デイトジャストなどのドレスウォッチのみに許されたジュビリーブレスを装着することができる唯一のモデルなんですよね」

<写真:ドレスモデルのジュビリーブレスを装着したGMTマスター>

丸「なるほど」

吉田さん「ブレス自体も遊ぶことができるモデルになるわけです。スポーツモデルでデイトナやサブマリーナは有名ですが、ブレス変更ができない。コンビや金無垢のスポーツウォッチはありますが、金色の時計をつけて、海に潜るのか? スポーツするのか? という点はすごく疑問です。GMTマスターはドレスモデルだから金無垢が許される、ピンクゴールドが許されるというわけです。これはGMTマスターを生涯愛したチェゲバラも言っていることなんですね」

<写真:GMTマスターをこよなく愛したチェゲバラ>

丸「GMTマスターのファン層って、富裕層ばかりだと聞いたことがありますね」

吉田さん「航空機で音速を記録したチャックイエガーの愛用していたのも、GMTマスターのブラウン金無垢だった」

丸「ほほう、あの有名な」

吉田さん「石原裕次郎もお気に入りだった。ここに、スポーツモデルと思われがちのGMTマスターがドレスウォッチであるというこだわりや物事の本質、美学を偉人たちは認めていたというわけなんです。元々GMTマスターというのは疎外されていた存在でした。しかし、ケースが分厚いドレスウォッチだと思えば、自己主張の強さを求める時計好きにはたまらない形状だと思いますよ

ヴィンテージROLEXのディープな世界。次回もマニアが喜ぶROLEXやその他の時計について、綴っていきたいと思います。

取材協力:神戸製薬株式会社
https://www.kobe-seiyaku.co.jp/ [リンク]

※ビンテージROLEXへの投資はあくまで自己責任でよろしくお願いいたします。

[協力・引用元]Watchfan.com 永久保存版ロレックス2018 Summer(GEIBUN MOOKS)

(C)クオーク、芸文社

(執筆者: 丸野裕行)

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