ニーズ急増の宅配ボックス、築何年のマンションから当たり前に?

ニーズ急増の宅配ボックス、築何年のマンションから当たり前に?

大和ライフネクストが管理する分譲マンションについて、同社のマンションみらい価値研究所が宅配ボックスの設置率などを調査し、レポートにまとめた。一定の築年数以下であればほぼ設置されている、という境目があるという。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】

分譲マンションの宅配ボックス設置率および設置検討の事例を調査/大和ライフネクスト マンションみらい価値研究所

ネットで買い物するなら、宅配ボックスは必須アイテム?

コロナ禍で外出自粛や在宅勤務などが続き、家にいる時間が長くなっている。その影響で、ネットショッピングが増加していると聞く。「長く家にいるので買った荷物を受け取れる」と思う人もいるだろうが、「時間を気にしなくて済むので宅配ボックスは便利」とか「対面で受け取りたくないので宅配ボックスを利用したい」と思う人もいるだろう。

リクルート住まいカンパニーが実施した「第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査」で、「コロナ拡大による住宅に求める条件の変化」として、「宅配ボックス・置配ボックスを設置したくなった」という選択肢を設けたところ、首都圏で20%、関西で18%、東海で22%がYESと回答した。約2割の人が、コロナ拡大で宅配ボックスなどへのニーズを高めているわけだ。

これからマンション購入を検討しようという人で、宅配ボックスの有無を条件に挙げる人も多いだろう。では、分譲マンションに宅配ボックスはどの程度設置されているのだろう?

築20年以下のマンションなら、宅配ボックスが設定されている

マンションみらい価値研究所の調査結果によると、同社が管理するマンション3921件のうち、全体の70.8%に宅配ボックスが設置されていた。

さらに築年数別の設置率を見ると、「築20年以下」のマンションであれば、99%以上に宅配ボックスが設置されていた。「築21年以上25年以下」では78.9%の設置率なので、ある程度期待できそうだが、26年以上になると設置率はがくんと低くなる。この結果から「2000年以降に分譲されたマンションでは標準設備として宅配ボックスが設置されている」といえるとしている。

築年数別宅配ボックス設置率(出典:大和ライフネクスト マンションみらい価値研究所「分譲マンションの宅配ボックス設置率および設置検討の事例について」)

築年数別宅配ボックス設置率(出典:大和ライフネクスト マンションみらい価値研究所「分譲マンションの宅配ボックス設置率および設置検討の事例について」)

後付けでマンションに宅配ボックスを設置できる?

では、後から宅配ボックスを設置することはできるのだろうか?

同社が管理するマンションで宅配ボックスが設置されているのは70.8%だが、内訳は、新築時から設置されていたのは68.3%(2677件)、後付けで管理組合が設置したのは2.5%(98件)だった。同社のレポートでは、管理組合が宅配ボックス新設を総会の議案とした事例(112件)を集めて、分析している。98件は総会で宅配ボックスの新設が可決されたが、14件は否決または継続審議となっていたという。

レポートでは、総会で可決に至らなかった理由を調査し、いくつかの課題を浮き彫りにしている。最も大きいのは「設置費用」の問題だ。長期修繕計画は、劣化部分を改修することが中心になるので、通常は新たに設置する設備などの費用は盛り込まれない。それでなくても修繕積立金が不足しがちだ。それでも宅配ボックスの設置費用に充てるのかなど、費用をどうするかは大きな課題となるだろう。

ほかに、いつも在宅しているので荷物を受け取れると反対する人が多かったり、事前にアンケートなどで意向を確かめていないなどの総会運営上の問題も。また、設置場所が適切かという、マンションのスペース上の問題もある。

「マンションの高齢化と宅配ボックスの設置議案の否決は無関係ではないだろう」とレポートでは分析している。高齢者は在宅時間が長いことや、宅配ボックスから自分の住戸まで荷物を運べないなど、宅配ボックスの便利さより不便さを感じることがあるからだ。

逆にいうと、管理組合が費用と設置場所などの問題をクリアし、宅配ボックスのメリットなどを周知して事前に意向を確認するなど、適切な総会の運用をすれば、後付けで設置できる道があるということだ。

国土交通省もマンションの宅配ボックス設置を促進

さて、国土交通省では、宅配ボックスの設置によって再配達が減少することから、配送業界の働き手不足やCO2排出削減などの目的で、宅配ボックスの設置を推進している。

マンションのような共同住宅は、建築基準法の容積率の規制を受ける。ただし、エントランスと共用廊下が一体となっているような場合で共用廊下に宅配ボックスを設置する際には、容積率規制の対象外とするなどの考え方を明確にして、設置しやすくする工夫もしている。

<まとめの文>

ところで、筆者が住んでいる分譲マンションにも、宅配ボックスはあるが、宅配ボックスがあれば必ず利用できる、というわけでもない。

年末年始やゴールデンウイークなど不在する人が多い時期には、すぐに受け取れない人もいるので、宅配ボックスの空きが少ないということが起きる。特に、大型のボックスは数が少ないので、誰かの荷物で埋まっていると次の人が利用できないということになる。

うちのマンションでは、一定期間、宅配ボックスの荷物が引き取られないと、管理員が該当のお宅に声がけをするようにしている。

さて、宅配ボックスの適切な運用方法を検討するのも、管理組合の役割だ。今後、マンションの高経年化が進めば、ますますマンションの課題が増えていくと予測される。管理組合が円滑に活動しているかどうかは、マンション選びにも、重要な指標になるだろう。

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