冴えない男子が「オタク向け美容室」でおまかせオーダーしたら、街中でガン見されるようになった

“オタクの気持ち”がわかるスタッフがちゃんと作った「オタク向け美容室」

※当記事の撮影は新型コロナウィルス対策を施し、十分な配慮の上で行っています。

世の中には、あまたの美容室がありますが「オタク向け美容室」というものがあるのは初めて聞きました。

今回お邪魔するのは、秋葉原の美容室『OFF-KAi!!

HPにはたしかに「for animation fans hairsalon」とあります。「オタクのオタクによるオタクのための美容室」とは一体どんな内容なのでしょうか?

実際にお店の中を見せていただけるとのことなので、秋葉原、末広町近くの店舗へ伺ってみました

<写真:あまりにも冴えない筆者>

解放感とプライベートが隔てられた構造

エントランスは見通しのいいガラス張り。一見、マンガ喫茶かカフェスペースのような、親近感のあるたたずまいです。

見通しの良いエントランスに対し、施術されるパーソナルスペースは外から見えないように保護されています。

実はこれ、結構重要なポイントかなと個人的には思ってます。オシャレな美容室って結構な確率でオープンスペースっぽい構造なんですよね。
人の目にさらされながら髪を切るとか、恥ずかしくてつらい……」という気質からしてみると、プライバシー配慮されたこの構造はありがたいのです。

お客さん側への配慮は徹底されていて、『OFF-KAi!!』秋葉原店には、裏口から入れる半個室まで用意されています。(※事前予約をおすすめします)

半個室の壁の異世界なイラストはコンセプトアーティストの よー清水さんによるもの。『ヒプノシスマイク』の背景デザインや『FINAL FANTASY 7 REMAKE』設定画を手がけた方です。

オフィシャルキャラクターのデザインは『冴えない彼女の育てかた』のイラストでおなじみの深崎暮人さんです。

スタッフの好みだけで固めたマンガやBGM

エントランスのマンガのラインナップは、スタッフさんの好みで固められています。
「2016年にオープンしたんですが、そこから個人所有の分に買い足して、今はだいたい3000冊あります」と語るのは代表の茂木さん。

本棚は個人の好みがうんと表れる場所なのでごまかしがきかないところです。新しめのマンガが多い中にも『I’s』『寄生獣』『JoJo』『AKIRA』といった筆者好みのスペースがあってなぜか安心。

壁のアートパネルも茂木さんが好みでコツコツと集めたものです。

そこかしこから感じる“友達の部屋のような雰囲気”は、抑えきれない“好み”から醸し出されているのかもしれません。

ここ秋葉原店に対し、池袋店の本棚は「女性向けなので、また違った雰囲気」になっているようです。

店内BGMは今期のアニメソングで固められているそうです。取材時もプレイヤーには5時間分の曲が用意されていました。ひと月ごとにかける曲を変えているとのこと。

むろん、店内は徹底的に消毒され、新型コロナ対策もぬかりありません。
広めの店内スペースを活かし、他のお客さんとの安全距離もしっかり取られていますので安心です。

「しゃべりたくない;Gate」って?

エントランスから施術スペースの間に設けられているのは「しゃべりたくない;Gate」。

「美容室には行きたいけど、そんなに親しくない人と何か話さなきゃいけないのがつらい……」という人は、こちら側を通ることで、「実はしゃべりたくないんです」アピールをすることができるので、優しく“会話レス対応”してもらえます。(施術前のカルテにも「しゃべりたい/しゃべりたくない」という項目があるそうなので安心です)

先のコロナ対策という意味でしゃべらない、というケースもアリだと思います。

ガチでしゃべりたくない場合は、マンガを抱えて「しゃべりたくない;Gate」経由で着席すれば大丈夫です。

とはいえ、今回はせっかくなので色々お話を伺いながら進めてみます。

今回担当してくださったのは店長の田中さん。筆者、最新アニメや最新マンガには疎いのですが、初代ライダーの話からエヴァ破の公開直後の思い出まで、田中さんとよどみない会話を楽しんでしまいました。

ちなみに田中さんは『トップをねらえ!』と同い年の1988年生まれ。好きな作品は『フリクリ』や『マクロスプラス』、『CLANNAD-クラナド-』だそうですよ。

どんな人が来るのか

こうした優しい雰囲気も手伝ってか、『OFF-KAi!!』のリピート率は7割以上にのぼるとのこと。関東近辺のお客さんに加えて、コミケなどのイベントの際には九州や北海道、外国から来店される方もいらっしゃるそうです。

20代から30代のお客さんが多いそうですが、筆者のような40代後半にも優しい、居心地よさがありました。

おまかせしてみた

「今日はどんな風にしましょうかね」

お店の中を見せていただいて、あとは軽く切っていただくくらいのつもりだった筆者。

「ああ、えっとじゃあ、おまかせしちゃいます。どんな感じでも全然いいですよ!」とお願いしてみました。

「それじゃカラーとかもしてみましょうか」と言われたので、そこも田中さんに委ねることにしました。

美容院に行くことはあっても、カラーって自分とは無縁のものだなぁと思っていたので、実はいまいちピンと来てなかったのも事実です。

なにやら調合され、筆者の頭にペタペタと塗られていきます。塗り終えると、そこからしばらくの待ち時間ができるようです。

田中さんとは「『ニュータイプ』って、Five Star Storiesまだ連載してるんですね」とか「ジオウ見たら平成ライダー全部観たことにしてくれないかなあ」なんて他愛もない話をしてたのですが、そんな会話の中で「鬼滅、興味あるんですけど映画どころかマンガもアニメも全く観れてないんですよね」って話したら、「それじゃあ」とばかりに親切にコミックスを持ってきてくださいました。

そこからは待ち時間、ひたすら『鬼滅の刃』を読み進めてました。初めて読んだけど、予定調和じゃない進行とセリフ回しがいいですね。面白い。マンガ喫茶っぽく読みふけっているだけなので快適です。

「それじゃシャンプーしましょう」

連れていかれたのはミラーボールのある洗髪ルーム! まるでアニソンバーのような内装です。ほどよく暗いので、洗われてる間の目線のやり場とか気にならず、落ち着きます。

洗い終えてさっぱり! 鬼滅の続きが気になりつつ着席すると、鏡に映っていたのは……アレ?

めっちゃサイヤ人みたいな人がおる……。

奇しくも、別のブースで髪を切っているお客さんは店員さんと『ドラゴンボール』の気円斬の強さについて盛り上がっているところでした(笑)。オラ、このまま悟空になってしまうのか?!

「ここから色を入れていきますね」

また、ペタペタと何かを塗られる筆者。気にはなったものの、やがて考えるのをやめました。

再び洗髪ルームでミラーボールを眺めながら念入りにシャンプー。どうなっているのか気になりながらタオルが解かれると……見事な黄色と赤!!!

鬼滅6巻まで読み進め、『ニュータイプ』12月号の表紙に写るキャラクターを見た筆者には理解できました。

「……煉獄さんだ!」

全く見た事の無かった自分の髪色に驚きつつ、(そうか、鬼滅のコミックスは伏線だったのか……)と納得してしまいました。

先にも述べた通り、筆者はカラーとかには一切、縁が無い生活を送っていたのですが、やってみると意識が変わりますね! 髪型や髪色に合う服なんかを考えるようになりました。加えて、煉獄さんと同じ色、ってのだけでも日々のテンションが上積みされているのがわかります。

心地よい空間で生まれ変われる

オタク向け美容室『off-KAi!!』での体験取材の様子、いかがでしたでしょうか。

アニメやマンガのコンテンツが好きな人には申し分のないつくりとなっているのはもちろんなのですが、人目やコミュニケーションに敏感な人にも配慮されていたのがお分かりいただけたのではないでしょうか?

今回の筆者のように、アニメキャラ寄りのオーダーも気兼ねなくできるのもポイントです。通常の美容室よりも、きっと細かいニュアンスを理解してくれるはずです。

美容院での時間をより快適にしたい、という方は、ぜひ『OFF-KAi!!』を訪ねてみてください。
「髪切りにいくのとかめんどくさいなあ」という美容院観がきっと変わると思いますよ。

おまけ~後日談

コロナ禍でしばらく会っていない人に再開した筆者、会った人全員にもれなく「どうした?」「何があった?」「まさか煉獄さん?!」と聞かれるようになりました(笑)。

みんな優しいので、色の良さをうんと褒めてくれます。

そしてこの髪色にして以来、街中では、すれ違う小中学生にガン見されるようになりました。煉獄さんパワーおそるべし……!

OFF-KAi!! ホームページ
https://off-kai.com/

東京都千代田区外神田3-6-4 OSビル 101

月曜・水~土日曜
12:00~22:00(カット最終受付21:00)

火曜
定休日

[TWITTER]
@otasalonproject
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オサダコウジ

慢性的に予備校生の出で立ち。 写真撮影、被写体(スチル・動画)、取材などできる限りなんでも体張る系。 アビリティ「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」 「寒い場所で耐える」「怖い場所で驚かされる」 好きなもの: 料理、昔ゲームの音、手作りアニメ、昭和、木の実、卵

TwitterID: wosa

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