「お葬式でオペラ歌手が歌う」!? 宗教や従来の形式にとらわれない新しいお葬式のあり方とは
皆さんの2020年はどんな年でしたか?様々な業界で再編・再建・見直しが余儀なくされ多忙な年だったと思います。一般の生活だけではなく、なんとお葬式のありかたにも変化が見られるようになりました。最近では通夜を行わず、ご火葬の日に告別式のみを行う一日のみのお葬式「一日葬」や家族や親しいご友人を中心とした少人数でのお葬式「家族葬」の人気が上昇しているだけではなく、宗教、形式にとらわれない新しいお葬式のカタチも増加中です。その事例の一つが「オペラ歌手が故人のためにお葬式で歌を歌う」。なぜこのようなお葬式が可能になったのでしょうか。
令和最新のお葬式「お葬式でオペラ歌手が歌う」!?
NINE&PARTNERS株式会社が運営する『お坊さんのいないお葬式』では「想送式」というサービスを提供。「想送式」は「相手を想って送り出す」がコンセプトの斬新かつ明るいお葬式です。
「想送式」で実際に行われたのが、「オペラ歌手の方がお葬式で故人のために歌う」という一風変わったものでした。お葬式の直前には、式場内で皆さんがお食事をとられ、和やかに過ごします。そして「想送式」が開会。故人の半生を描いたメモリアルムービーの上映後、メモリアルイベントとして故人が生前親交のあったオペラ歌手の方に3曲歌っていただき、伴奏は故人のお孫さんが演奏。その後は家族全員で「千の風になって」を合唱され、他にはない故人や遺族の思いを実現された温かいお葬式となりました。
なぜここまで自由なお葬式が可能になったのか①「お葬式の形式の変化」
今までのお葬式といえば親族、友人、会社の関係者、近所の方など幅広く呼ぶ一般葬が主流でした。しかし、私たちの生活様式に伴う価値観の変化によって、徐々にこのような自由なお葬式が可能となったのです。現在から5年ほど前、平成の終わり頃から家族葬の人気が急増。家族葬という言葉自体は10年ほど前からありましたが、人気が急増したのはここ近年です。平成の終わりの時期に急増した理由はしばらく続いた不安定な経済環境だと思われますが、家族葬が増加した一番の原因は「少子超高齢化社会」であると考えられています。今後は単身高齢者の急増や少子化の加速で、更なる家族葬の増加が予想されます。また最近では従来の価値観ではあり得なかった一日葬や直葬も増加しており、現在は一般的に受け入れられつつあります。
なぜここまで自由なお葬式が可能になったのか②「宗教観の変化」
宗教にとらわれなくてもいいという意識が生まれたのも自由なお葬式が可能になった一因です。かつてお葬式をする際には、代々お世話になっているお寺にお願いする家庭が多かったため、お寺側も檀家を持つことが可能でした。しかし、現在は結婚をして実家から離れた土地に移り住む方も多く、誰かが亡くなった時に初めてお寺との接点を持つ家庭も少なくありません。昔は「先祖代々このお寺にお世話になっているから。」という意識があり、檀家を辞めるという考えもありませんでしたが、現在ではお寺との接点が減ってしまったため、以前のような意識がなくなってしまい、「宗教にとらわれなくてもいい」という価値観が生まれたと考えられます。
また、アンケート結果では30代~70代の47.4%の方が自分自身のお葬式は無宗教式、お別れ会形式での実施を望んでいると回答し、形式や宗教にとらわれない葬儀の需要が高まっていることも現れていました。
また、同調査の「Q.ご自身の葬儀ではどのようなことをしてもらいたいですか」では「従来通りの葬式でよい(宗教問わず)」と答えた方が23.6%に対し、「宗教観にとらわれず自由な形式で行ってもらいたい」と回答した方が17.0%「みんなで笑って送り出してほしい」と答えた方は16.7%「悲しみにあふれた式より、皆が思い出として残せる葬式がいい」と答えた方が13.1%と多くの方が従来にはない価値観をお持ちであることもわかり、このような需要がある限り葬儀業界は形式などにとらわれず、故人を偲ぶサービスを提供していくべきではないでしょうか。
オペラ歌手の方が歌われた「想送式」は故人を思い、温かく送り出す方法としてご遺族の方にも喜ばれたとても良い事例だと考えます。今後も自由度の高く、パーソナライズ化されたお葬式の需要が高まっていくのではないでしょうか。
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