アイテム課金が滅びる日

access_time create folder政治・経済・社会
アイテム課金が滅びる日

今回は島国大和さんのブログ『島国大和のド畜生』からご寄稿いただきました。

アイテム課金が滅びる日

消費者庁からPDFが出た。

「インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A PDFデータ」 2013年01月09日 『消費者庁 表示対策課』
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/pdf/130109premiums_1.pdf

凄げぇ。
語尾が濁してあるが厳密に適用すると殆どすべてのアイテム課金ゲームを殺す事が出来る。場合によっては「パズドラ」も引っかかるので誰か消費者庁に刺してみて欲しい。

Q18 (略)イベント等の進行中にアイテム等がランダムで入手でき、入手したアイテム等のうち2以上の異なる種類のアイテム等の特定の組合せをそろえるとゲーム上で使用することができるアイテム等の経済上の利益が提供される場合、景品規制を受けますか。

A. (略)アイテム等を販売するという取引に付随してアイテム等その他の経済上の利益が提供され、それが顧客を誘引するための手段となっている場合には、当該経済上の利益は景品類に該当し、景品規制を受ける可能性があると考えられます。

本文は、月額固定課金ならば問題ないが、その中でアイテム課金を用いた場合という形式なので詳しくは本文の方を読んで欲しい。

キモとしては「課金ガチャでランダム入手するもの絵合わせだけでなく、ゲーム内の入手のみでも、そこに課金がゴニョゴニョ」あたりの解釈だろう。前回のPDFより随分踏み込んだし、JOGA(日本オンラインゲーム協会)の宣言よりもさらに踏み込んだ。いつものお役所文章だがそれでもだ。

———-

例えば「パズドラ」の「進化合成」はランダム入手するモンスターを用いて「特定の組み合わせでのみ進化」させる仕組み。「絵合わせ」の構造に該当する。
ただし、この時に用いられるモンスターは全て無課金で入手するものなので、これだけでは「規制の対象になる絵合わせでは無い」。
とは言え「スタミナ」を課金販売しているので、この進化合成を有利に行おうとすると、課金することになる。課金に誘引する仕組みではないのか。
といった具合。

ゲーム内に「絵合わせ」の仕組み(ランダム提供されるアイテム等を2種以上揃える事で利益を提供する仕組み)を持っている場合、「スタミナ」や「コンティニュー」場合によっては「強い武器」の販売すら「絵合わせ」を用いての課金誘引の仕組みという判断も出来ない事は無い。

———-

基本的に「景品表示法上の絵合わせ」に関する規制なので、ゲーム内に絵合わせ的要素がまったくないなら問題がない。もしくは課金が定額制でも問題がない。
絵合わせは2種以上の組み合わせなので「金なら1枚銀なら5枚」のチョコボールも該当しないし、「コインを1000枚集めろ」も該当しない。
ゲームとしての回避は可能だ。
現にガンホー(パズドラの会社)のケリ姫スイーツでは絵合わせを回避している。

しかし既存の現在サービス中のゲームでは回避が難しいものも多いだろう。

———-

ゲームコアに「絵合わせ的要素」を持っているゲームは相当に多い。

・ ゲーム内宝箱からランダムで[龍の剣][龍の盾]を集めるとHPが10%UP。宝箱を探すにはスタミナを消費する。スタミナは時間で回復するが、即回復するアイテムを課金販売。

・ ゲーム内ランダムに入手するユニットを特定の組み合わせで強化進化出来る。ゲーム内の探索はスタミナがを消耗、時間で回復するが即回復するアイテムを課金販売

・ ゲーム内ランダムでキン肉マンとキン肉マングレートを見つけて味方にするとマッスルドッキングが出るようになる。ゲーム内の探索はスタミナがを消耗、時間で回復するが即回復するアイテムを課金販売

・ ゲーム内敵を倒す事でランダムで素材を入手。2種以上特定の組み合わせで武器を作成できる。ランダムでのハイクラス素材の出現率を倍加するアイテムを課金販売。

・ カードゲームのデッキの概念。

どこまでが「経済上の利益供与」で「誘引」かの判断と「景品規制を受ける可能性があると考えられます。」の可能性があるってなんだよ、線引けよ。みたいな部分含め、これから事例を積み上げてくしかないのだろう。

実際の所は『黒』と判断できる仕組みを作っておいて「無茶なヤリクチすんなよ」というニラミとしての運用するのではないか(推測)。

———-

消費者庁が最初にコメント出した時に俺が表明した懸念の通りになったわけだが。(当てても嬉しくない)
それにしても随分踏み込んだ内容になっている。予想はしていたが本当に踏み込んでくるとやはり思うところは多い。

自分もアイテム課金の仕組みには色々と思う事があり、ある種の制約は必要だと感じているが。
この踏み込み方が有効かどうかは難しい所だと思う。

悪意を持って知恵をひねればこれぐらいの規制はかいくぐれるしな。
(絵合わせ規制であってガチャ規制ではないからなおさらな。(他国はガチャ規制がある場合が多い))

しかし。
焼畑農業であらかた焼きつくされた後に「火つけるのナシな?」と言われたような印象がある。10年前ぐらいに言っとけよ。
焼いて焼いて普通の農業が無理になった後に禁止だ。ほっといても普通の農業は無理だったろうけど今のイビツさもひどいもんだ。
そして新しい火の付け方の模索は続く。
この頃ゲームに限らずそういう事例ばかり見る。

どうせやるなら徹底的に。
ついでにパチンコまで徹底的にやってみてはどうか。

自分が同穴のムジナだからこそあえてヤケクソ気味に思う。

———-

話題としてはセンシティブなので、判断は原文を読んだ上でして欲しい。

執筆: この記事は島国大和さんのブログ『島国大和のド畜生』からご寄稿いただきました。

  1. HOME
  2. 政治・経済・社会
  3. アイテム課金が滅びる日
access_time create folder政治・経済・社会

寄稿

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。