12月に入り、本格的な寒さも到来。昨今のコロナ禍も相まって、健康管理により気を配っている人も多いのではないだろうか。「新しい生活様式」に沿った日常生活が注目される中、ネスレ日本はメディア向けウェビナー「なぜなに!?コーヒーパワー “ポリフェノールの基礎編”」を開催。食生活が乱れがちな年末年始に役立つ、ポリフェノールの健康効果などが伝えられた。
ウェビナーでは、お茶の水女子大学名誉教授・日本ポリフェノール学会理事の近藤和雄氏と、ネスレ日本ウエルネスコミュニケーション室の福島洋一氏が登壇。冒頭では、近藤氏よりポリフェノールの基礎知識が説明された。
ポリフェノールとは、分子内に複数のフェノール性水酸基を持つ物質の総称だ。ほとんどの野菜や果物に含まれており、なんと8,000種類以上もある活性酸素に対して戦う抗酸化物質だという。
厚生労働省による平成23年人口動態統計月報年計によると、日本における死因の1位は癌。2位は心疾患、4位は脳血管疾患。このうち2つは動脈硬化が関係している。動脈硬化は、血管内に入った悪玉コレステロールが活性酸素に晒され、酸化悪玉コレステロールに変化することが原因の一つに挙げられる。つまり悪玉コレステロールの酸化を抑えることができれば、動脈硬化を防げると言える。近藤氏は赤ワインの抗酸化作用を検証するために実験を実施。その結果、赤ワインによる悪玉コレステロールの酸化抑制が認められたという。
「ポリフェノールはぶどうの皮や種に含まれており、特にフルボディの赤ワインに多い。健康面が気になる人はぜひ参考にしていただきたい」と近藤氏は話す。
さらにポリフェノール学会は美しく健やかに年を重ねたい方に向けた記念日として、11月26日を“ポリフェノールの日”と登録した。「ポリフェノールという言葉は浸透しつつあるもの、効果はあまり知られていない。これを機に多くの人に生活習慣を見直していただければ」(近藤氏)
続いて福島氏によるポリフェノールとコーヒーの働きについて紹介された。
一般的にコーヒーは「豆」と呼ばれているが、厳密的には種になる。果肉から取り出した種を乾燥させ、焙煎、抽出したものがコーヒーとなるのだ。
2018年に行われたコホートによる日本人を対象にした調査では、コーヒーを一日3~4杯飲む人は飲まない人より総死亡リスクが低いことが判明したという。
ちなみに国立がん研究センターでは、喫煙、飲酒は様々な癌リスクを高めると呼びかけているが、コーヒーは肝がんリスクを下げると提唱している。つまり嗜好品の中でもコーヒーは体に良いことがわかる。また肝疾患においてはアルコールの摂取が起因するが、一方でコーヒーを摂取することで下げる働きがあるとのこと。「コーヒーは肝臓を保護する効果があるため、酒飲みの味方とも言える」と福島氏は話す。紅茶や緑茶にもポリフェノールは含まれているものの、含有量ではコーヒーがダントツだ。また現在では日本人の約半分がポリフェノールをコーヒーから最も多く摂っているという。
「コーヒーはいつでも、どこでも楽しめる飲み物。大切なポリフェノール源として上手に楽しんでいただきたい」(福島氏)
理想的なポリフェノールの1日摂取量は1,000~1,500mg以上とされるが、日本人の平均的な摂取量は、これより少ないという。手軽にポリフェノールの摂取可能なコーヒーで、より健康的な暮らしを楽しんでみてはいかがだろうか。