【滋賀“戦国”の旅】(3)豊臣秀次が築いた「八幡山城」と、山頂に恋人の聖地!
滋賀・近江八幡は、豊臣秀次が築いた城下町。秀次は、豊臣秀吉の姉ともの子で、のちに秀吉の養子となり、関白まで上り詰めたものの、秀吉に子(のちの秀頼)が誕生したことで、謀反の疑いで追放され、高野山で自害させられた悲劇の歴史人物の1人だ。
その秀次は生前、標高271.9mの八幡山山頂部に城を作った。八幡山には現在、ロープウェーに乗り、山ろくからたった4分で行くことできる。ロープウェーは年中無休で、四季折々の眺めが楽しめる。
八幡山上にはかつて、八幡山城の本丸のほか、二の丸、西の丸、北の丸、出丸まであった。その様子はまるで一大要塞のようだったと、今に伝わる。
ロープウェーを降りるとすぐ、登山道があり、西の丸跡や北の丸跡などを散策できる。登山道といっても、急な場所などはほぼなく、きちんと整備されているので誰でも歩きやすい。30分ほどでグルリと一周できる。
かつて西の丸があった場所は広場になっていて、琵琶湖や比叡山などが見える景色はなかなか壮観なものがある。
特に、天気が良い夕方は、琵琶湖の方面に向かって夕陽が沈んでいく。そのまさに絶景が見られればラッキーだ。
登山道を、さらに先に進むにつれ、石垣をところどころに見かける。これが、秀次が築城した八幡山城の、まさに名残といえる。
こんな山の上まで石を持ってきて積み上げたのかと思うと、当時の苦労も垣間見られる。
北の丸跡に、ハート型のオブジェが置いてある。八幡山、実は今、恋人たちの聖地でもあるのだ。
ここから、長命寺や水郷、観音寺城があった観音寺山、安土城があった安土山など、近江八幡の山並みが眺められ、これもなかなかよき眺め。
さらに先に進んで場所にある、立派な山門。ここが、八幡山城の本丸があった場所だ。
「村雲御所 瑞龍寺門跡」とある。御所、門跡という名称は、ただの寺ではなく、皇室に由来する。
村雲御所 瑞巌寺門跡は、1596年、豊臣秀次の生母であるとも(瑞龍院日秀尼公)が、自害した秀次の菩提を弔うため、後陽成天皇から「瑞龍寺」の寺号、京都村雲の地(堀川今出川)を賜って建立された。その後1961年、京都から一部の建物などが八幡山山頂に移築され、今日に至る。
賽銭箱に、菊の御紋。日蓮宗で唯一の門跡寺院というのも格式高い。
本堂内は見学もでき、山麓の八幡公園に設置してある秀次公の銅像に使われた原型もある。
また、本堂から眺める琵琶湖などの景色もなかなかなものがあり、必見だ。
本堂内に並べられているカラフルな和傘のライトアップは最近、SNS映えとして人気という。誰でも撮影可能で、ぜひ記念に撮ってみてほしい。
ほかに、本堂の前に「恋人の聖地」らしい撮影スポット、ハート形の絵馬、さらに、本堂から少し下りた場所にある展望間の前に「LOVE」のオブジェもある。まさに恋愛のパワースポット。
意外と知られていない、実は見どころ満載の八幡山。ロープウェーで一気に登り、恋人の聖地や琵琶湖などの絶景、そして、戦国から今日に至る歴史もぜひ感じてみてほしい。
滋賀県では、県内に数多く残る戦国時代の人物、史跡、逸話・伝承などに焦点を当て、その魅力を体験する観光キャンペーンを開催中。
戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖(2021年3月7日まで)
近江鉄道グループ 八幡山ロープウェー
(Written by A. Shikama)
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