日本歯科医師会主催「歯と口の健康シンポジウム 2020」が開催!
新型コロナウイルスの影響により、健康意識が高まりつつある昨今。そんな中、日本歯科医師会主催は、“いい歯の日(11月8日)に向けて「歯と口の健康シンポジウム 2020」 を10月14日(水)、オンラインで開催。感染症とオーラルケアの関係性など、口内環境の重要性が紹介された。
冒頭では日本歯科医師会会長 堀憲郎氏よる挨拶が行われた。
「本シンポジウムは今年で25回目。新型コロナウイルス感染症という要素を含む新たな日常において、歯科医療や口腔健康管理がより重要であることを国民の皆様にも理解していただければ」と話した。
続いて「感染症とトータルオーラルケア」というテーマのもと、神奈川歯科大学 副学長 槻木恵一氏による講演が実施。槻木氏は唾液・唾液腺研究の第一人者であり「唾液線健康医学」という新しい学問領域を提唱している。
コロナ禍によりマスク着用が浸透するなか、「臭い」が気になるという声が上がっているという。これはストレスや脱水によって唾液量が減少していることが関係している。唾液が減少することで自浄作用が低下し、細菌が増加。結果的に臭いの発生に繋がるとのことだ。
唾液の0.5%には抗酸化作用、再石灰化促進作用、細胞活性作用という機能性の高い物質が含まれている。抗酸化作用のある「IgA」は1日50~100mg分泌されているが、減少することによって風邪にかかりやすくなることもあるという。
唾液にはインフルエンザをブロックする抗体があるものの、歯周病プロテアーゼの発生によって感染を促進するというケースもある。要介護者に歯科衛生士が口腔ケアを実施したところ、インフルエンザ発症が減少したという結果になったとのことだ。
さらに注目すべきは新型コロナウイルスと歯周病の関係性だ。歯周ポケットはウイルスが侵入できる状況にあり、よって感染の入り口になりうる。つまり歯周病は新型コロナウイルス感染のリスク因子になるので、歯周病を防ぐ口腔ケアは大変重要と言えるだろう。
オーラルケアで重要なのは「歯磨き」「舌磨き」「唾液ケア」の3つ。毎日の歯磨きはもちろん、歯科医院での定期的な検診も不可欠だ。さらに唾液ケアにおいては日頃の食生活の改善も深く結びつくという。
続いて槻木氏と東京歯科大学市川総合病院 呼吸器内科教授 寺嶋毅氏による対談を実施。新型コロナウイルスと歯周病の関係性をテーマに意見が交わされた。
「感染や防御に対する口腔内研究が発信されるのは大変素晴らしいこと。オーラルケアの重要性を知ってもらえる良いきっかけになるだろう」と寺嶋氏。
歯周病には歯ぐきが腫れる「歯肉炎」と、歯を支える骨が崩壊する「歯周炎」の二つに分かれる。現在では成人の約7割が歯周病であるという。
歯周病の症状には上記のような10の項目がある。「歯磨き時に血が混じっていても気にしない人が多い。見過ごさず診察を受けていただきたい」(槻木氏)
歯周病は年齢と共に増加。特に35歳を過ぎてから一気に進行する傾向にあるという。
「加齢は新型コロナウイルス重症化のリスクファクターの一つ。歳を重ねることは避けられないが、口内のセルフチェックを継続的に実践していくことが不可欠なのでは」(寺嶋氏)
「感染を防ぐためには、唾液の質の向上が重要。同時に腸管の免疫力を高めることも必要となる。納豆やヨーグルトなどの発酵食品、抗酸化作用の高い食材を選ぶのも理想的」(槻木氏)
最後に歯科衛生士、岩切美奈さんによるブラッシング講座が実施された。歯周病を予防するにあたっては、歯ぐきの中の歯垢(プラーク)という細菌の塊の除去が肝心とのことだ。
歯に対して歯ブラシを斜め45度にあて、小刻みに動かすことで歯の隙間に入りやすくなる。さらに電動ブラシの併用でよりしっかり磨けるという。
新型コロナウイルスの感染リスクを下げるためには、「マスクや手洗いによる物理制御」「唾液の質の向上」「歯周病の予防」の3つがカギとなることがわかった今回のシンポジウム。日々の歯磨きはもちろん、定期的なプロフェッショナルケアの両方が大事と言えるだろう。ぜひこの機会に口内環境をあらためて見直してみてはいかがだろうか?
テレビ番組のリサーチャーによる情報サイト。 テレビ番組におけるネタ探しのプロが蓄積された知識とリサーチノウハウを武器に、芸能、雑学、海外、国内ご当地、動物など多岐に渡るジャンルをテレビ番組リサーチャー目線で発信しています。
ウェブサイト: http://www.nicheee.com/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。