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オンラインでもダメならやっぱり新聞は終わりじゃないの?

オンラインでもダメならやっぱり新聞は終わりじゃないの?

今回は大原ケイさんのブログ『BOOKS AND THE CITY』からご寄稿いただきました。

オンラインでもダメならやっぱり新聞は終わりじゃないの?

大学でジャーナリズムを学び、以来ずっとニューヨークを拠点に仕事をしてきた私にとって、ニューヨーク・タイムズという新聞に対する1読者として特別の思い入れがあるのは致し方ない。でもそれは妄信的な崇拝ではなくて、お互い良いところもあれば悪いところもあるよね、ぐらいの長いつきあいから来る絆かもしれない。今日のニュースで新聞の時代は終わりになりつつあるんだな。タイムズさえも老いていくんだな、と感じた。

オンライン版のペイウォールが順調、とされていたタイムズでまたしても30人規模のリストラがあったと知り、その後伝えられていた数字もひどいモノだった。もちろん、デジタル版の購読者も、広告も、増えてはいるんだけれど、紙版の減り方を補えるペースではなかったと言うことだ。この6年、2010年以外はずっと毎年10%以上の割合で紙版の広告収入が減っていたという。

ニューヨーク・タイムズは姉妹紙ボストン・グローブ紙と合わせた決算数字しか出さないから、タイムズ限定ではないけれど、計算すると紙版の読者1人につき、1年で平均650ドルの購読料(毎月50ドル強。日曜版もとっていたらもっと)と、450ドルの広告収入が得られる。ところがデジタル版だと1年の平均購読料が150ドル(私は月に15ドル払っているから、そんなもんか)、デジタル広告の収入といえば25ドルにしかならないという。数字を出していたのは私が大っキライなヘンリー・ブロジェットだけど一応、出典はココ。

「These Numbers Show Why The New York Times Is Firing More Journalists」 2012年12月03日 『BUSINESS INSIDER』
http://www.businessinsider.com/why-new-york-times-is-firing-more-journalists-charts-2012-12

確かに、昔紙版で読んでいた頃は、新聞のページをめくるときに広告はすべて目に入ってきたし、ちょっと欲しそうなものや、いきたいイベントが載っていればご丁寧にも切り取って保管していたけれど、オンライン版で読むようになってからは、広告が出てくるとまず右上のskip this adをポチってるもんなぁ。

紙面でさえも、出版業界関連のニュースと、most popularのトップ20記事をチェックするのが日課だけど、後は他のアグレゲーションサイトから飛んできて読んだりしてるもんなぁ。

新聞記事を読んでいる時間はそんなに減っていないと思うけれど、もっとフォーカスされているというか、当てもなくふらっと目に付いた記事に興味惹かれて読んでみる、という機会は減ったように思う。

とりあえず今さら紙版を購読する理由は全くないし、これからはもう少しペイウォールの課金を上げていくしかないんじゃないかなぁ。景気悪いと広告収入なんて上がるわけないんだから。

そしてもうひとつ、オンライン新聞の話題といえばThe Dailyの廃刊。iPad専用ニュースサイトとして、ルパート・マードックのニューズ・コーポレーションとスティーブ・ジョブズのアップルがコラボ、という鳴り物入りだったが結局、2年も持たなかった。

私は別に中の人でもなければ、読者でさえなかったが、こっちのニュースに驚きはない。

拙著『ルポ 電子書籍大国アメリカ』でも、iBooksに関する限り、ジョブズは本という媒体を理解していない、ときついことを書いたが、これは新聞にも当てはまると思う。要するに、細部のデザインにもこだわり、彼がオーケーを出したデザインの物のみが世の中に出て行けるマック製品と違って、本や新聞というのは、見た目はともかく、コンテンツを制御しようなどと思ったらそこでアウトだからね。

要するに、情報の見せ方はデザインできても、どんなニュースを流すかはコントロールできない。それはすなわちセルフ・センサーシップ(検閲行為)になるわけだから。

検閲はできないが、もちろん新聞とて、政治的な立ち位置、と言うのはハッキリしておかないといけない。日本のマスコミはなぜか、新聞が完全に中立、中庸、客観的であることが可能だと信じているようだが、あれはどうしてなんだろね?

ザ・デイリーの初期メンバーだった「中の人」がコンテンツがいくらよくても…云々というコラムも読んだが、コンテンツの評価さえ聞こえてこないくらいだったけど?

どこのサイトや媒体がどういうニュースに感度が良くて、スクープをとってこれるかは、今やアグレゲーションサイトを見ていれば一発でわかる。ザ・デイリーはこういったアグレゲーションニュースサイトにコンテンツを提供していなかったのか、まったく「情報提供:The Daily」というエントリーを見た記憶がない。流してなかったのか、アグレゲーションサイトが欲しがるようなスクープがとれなかったのか。いずれにせよ、これでは知名度が上がるわけがない。

結局、iPad上のみの閉じられたニュースサイトでは、その枠組みの中で採算をとることもできず、広がりようもなかったということですな。だいたいiPadというガジェットに500ドル以上払って、ザ・デイリーという、まだ未知のコンテンツ(しかも他のニュースサイトでも得られそうなジェネラル・ニュース)にさらに購読料を支払う人がいなかったということだろう。

この先、ニューヨーク・タイムズがなくなるのはイヤなので、もっと購読料を払う覚悟はあるけど、見たくもない広告を見せられるのはカンベンしてほしいし、ジル・エイブラムズ編集長もどうするんだろうね?

執筆: この記事は大原ケイさんのブログ『BOOKS AND THE CITY』からご寄稿いただきました。

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記者:

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