2020年10月8日の今日は、暦の上では「寒露」です。
(注:新暦計算と国立天文台暦計算室とでは1日ずれる場合があります。)
天文学的には黄経195度に達した時点のことを指します。
「寒露」とは、旧暦で9月の節気、現在の太陽暦は10月にあたります。
そして、二十四節気の「寒露」の時期をさらに三つに分けて、さらに細かい季節感を表したものに七十二候があります。
第一候は
「鴻雁来」(鴻雁が来る)
春の彼岸に南からやってきたツバメが帰って行き、4月に北に飛び立った雁がまた戻ってくる。鳥の飛来はまさに暦における季節感を代表するもの。暦上とはいえ、鳥の種類や飛来の時期を知ることで、季節の経過は確認できるものですね。
第二候は
「菊花開」(菊の花が開く)
菊の香りがほんのり漂ってくるような菊の開花の時期を表しています。かつてはこの時期が長陽の節句。10月から11月までは、全国各地で菊の品評会や菊で作った菊人形など、菊が町中にあふれだします。花の開花の時期を確認することで、これまた暦の季節を感じることができます。
第三候は
「蟋蟀在戸」(きりぎりす戸に在り)
家の扉などに、きりぎりす(またはコオロギ)を見つける時期になったという意味合い。
「蟋蟀」と書いて、コオロギともキリギリスとも読みます。平安時代には、清少納言も「枕草紙」の中で、秋の虫について、コオロギを挙げています。
七十二候それぞれに登場した鳥や花そして虫の鳴き声などに、季節をふと感じるものですね。
草木に目をやったり、鳥の鳴き声に耳を傾けたり、空を見上げたり、日々の生活からちょっと自然の変化を気にすることで、日本独自の四季を感じられます。
いつのころからか、季節感に触れることが 少なくなった現代。
暦を知り、旧暦から新暦への移行も考えると、温故知新、いまの季節をより深く感じられることとなるでしょう。
出典:国立天文台 暦計算室
「こよみ」岡田芳朗著 神社新報社
「現代こよみ読み解き事典」岡田芳朗+阿久根末忠著 柏書房
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