『007 スカイフォール』で初体験! 109シネマズのIMAXはスゴかった
誰もが知っている超ロングセラースパイ映画『007』シリーズ。最新作の『007 スカイフォール』が、12月1日に各劇場にていよいよ公開される。『007』シリーズは2年か3年に一度のペースで公開され続け、今回の作品で23作品目。『007』シリーズが今年で50周年となる。筆者は運がいいことに、そんな記念すべき作品の先行試写会チケットを入手できたので、神奈川県川崎市にある“109シネマズ川崎”に見に行ってきた。
ここ109シネマズ川崎には、『IMAX』という施設があり、普通の劇場とは変わった方式で上映しているらしい。「プレミアムシアター」と呼ばれており、入場料も一般2000円と、通常の映画より200円ほど高い。筆者自身は『IMAX』初体験で、200円の差でどれほど満足感が違うのかという検証も兼ねてレビューしてみる。
007スカイフォールの見どころ
ボンド役がピアース・ブロスナンからダニエル・クレイグに変わってはや3作目。筆者の印象からはダニエルがピアースを超えることはないと思っていたが、今回で認識がガラリと変わる。ボンドはセクシーにスタイリッシュで誰をも虜にする魅力を持っていなければならないが、今回のボンドは負け犬なのだ。
命も、プライドも、地位も、殺しのライセンスも全て失わなければならなくなった。なんとかエージェント007として復帰するも老いたボンドは身体機能も低く、射撃テストでも散々な結果に終わるが、Mの信頼を受け任務を続行する。持ち前の経験と失うものがないボンドに怖いものはなく、いつものクールでスタイリッシュな展開からダークヒーローを思わせるような展開に。
何か一つがかけているボンドを周りがサポートし、哀愁漂うダメ男になったボンドが持ち前のカンを頼りに復帰していくのだが、非常に男臭い映画となっている。過去の作品と比べると遊びのシーンがあまりなく、ほとんどがシリアスなシーン。そのため、アクション要素も非常に多い。特に、毎回おなじみとなっているタイトル前のチェイスシーンは目を見張る物がある。今回はイスタンブールの街の屋根をバイクで爆走するのだが、爽快感よりも緊張感が強く、ハラハラドキドキが止まらない。そんなアクションシーンがストーリー的にきちんと成功するのかどうかが、一番の見所ではないかと思う。これが成功してこれが失敗するの!? そんなのってアリかよ! そんな風に思うシーンが多く、スクリーンから目を離すことができない。
驚くスタジオセットの魅力
見どころも重要だが、その魅力を一層引き立てるのは様々なロケ地やスタジオセットであることは間違いない。イスタンブールから始まり、ロンドン、上海、マカオ、スコットランドと様々に舞台をテンポ良く移動させる。その中でもスタジオセットが秀逸に見えた。
ボンドが初めてセブリンと出会うきらびやかなカジノもスタジオセットで作られている。コモドオオトカゲのような生物が地下フロアに飼われておりアングラな雰囲気をかもし出すカジノだが、こちらは中国から12人もの熟練工を呼んで作られている。筆者は実際にあるものだと思ってしまい、調べてみるとセットだと知って落胆してしまった。しかし、それほど精巧に見えてしまうのは、スタッフの腕と『IMAX』による視覚効果と言えるだろう。
また、驚くべき事に日本の軍艦島も登場する。安全上の問題で撮影にこそ使われなかったが、スタッフが軍艦島に訪れ、その様子を撮影し、それを忠実にロンドンのスタジオによって再現されている。しかし、セットとは思えないリアルな作りになっており、「軍艦島の内部はこういう作りになっているのか」と、劇中に感心してしまったほどだ。
IMAXでより没入感が味わえる
ダニエルに主演が変わってからは、より一層『007』シリーズがアクション色が強くなっているのは前二作から明白だ。爆発シーンも非常に多く、特にスカイフォール(ボンドの生まれ育った場所)でのシーンは見逃せない。しかし、見るべきところはアクションだけでなく、表情も注目だ。
その中でも筆者が一番グッときたのはベレニス・マーロウ演じるセヴリンの表情だ。彼女は敵組織により自由を奪われ、ボンドに近づくように命じられるのだが、そこの表情がすごくいい。スパイ映画独特の誘惑の中に、恐怖の表情が入り混じり、顔が強張っていく様が感じ取れ、『IMAX』初体験の筆者としては、「この人は何て豊かな表情ができるのだろう」と、映画にグイグイ引き込まれてしまう。もちろん彼女のみではなく、無機質に思われがちなボンドの緊張感漂う顔にも注目だ。
そして注目すべき点はもう一つ。アクション映画の命とも言えるのが臨場感と緊張感だが上記にも書いたとおり、それらを最大限に引き出すのは『IMAX』以外ほかにはない。
そもそも『IMAX』とは何なのか。そこから説明したいと思う。『IMAX』はカナダのアイマックス社で作られ2009年公開された『トランスフォーマーリベンジ』とともに日本で初めて公開された。スクリーンが非常に大きく、往来の映画館より空間を持たせ、音響も独自のシステムにより、全ての座席がベストポジシションとなるように作られている。普通の映画館であれば、前、後、側面と6個程度のスピーカーが置かれているが、IMAXは前と後ろのみの配置となっている。
スピーカーも不思議な形をしており、言葉では表しにくい作りになっている。後方隅の2か所、台の上に設置されており、前のスピーカーはスクリーンの真後ろに設置されている。このような配置にもかかわらず、左からの音は真左から聞こえるように工夫されており、ささやき声等も耳元でリアルに聞こえてくる。しかし、一番すごいのはなんといっても映像だろう。
横から見て分かる通りに、少しスクリーンが曲がっている。この凹んだところがミソらしい。、画面と客席の空間を近づけ、前を向けば視界いっぱいにスクリーンが広がる工夫がされている。そうなることにより、より一層“映画の中の世界に入り込める”。しかしそれだけではなく、『IMAX』独自の映写技術によって明るく鮮明な画面で映画を見ることができる。
なんとプロジェクター(映写機)が二つも使われており、時折映像が薄い、ボヤけるといった、映画館独特の仕様も克服されている。更には普通の映画館では見ることができない、制作陣がこだわった細かい部分の描写も見ることできる。映像がクリアになることによって生まれる臨場感もある。たとえば筆者は高いところが若干苦手だ。なので、飛び降りるシーンや、高いところから下を見下ろすシーンになると、あまりのリアルさによってお腹がキューンとなってしまう。それほどの臨場感が味わえるのだ。
こういった普通の映画館とは何もかもが違うのは、劇場そのものを“IMAX仕様”に改装してあるからだ。『IMAX』を設置にするにはまず、カナダのアイマックス社の審査を通さなければならない。そして、審査に通ると技術者が派遣され、一から劇場を作り直す作業に入る。映像も音声も観客席もすべてがアイマックス社の仕様のもとに変更し、すべての観客が満足行くように計算されており、世界のスタンダードになりつつある。
映画の本場アメリカでは、「あの映画『IMAX』で見た?」と、日常会話に入るほど認知されており、映画情報番組でも「○○の映画を『IMAX』で見ないとか冗談だろ?」等というコメントがあるほど。日本では認知というより、『IMAXシアター』がそもそも14個しかなく、見る機会は少ないかもしれない。しかし、日本の映画館も徐々にではあるが『IMAX』を導入する動きを見せている。なぜかって? 『IMAX』が素晴らしいから以外の言葉が見つからない。
映画館に通う人なら分かると思うが、毎月1日はファーストデイになっていて、誰でも1000円で鑑賞できる日がある。しかし、『IMAX』はこのファーストデイが適用されない。だが、同じ日にももちろん『IMAX』で上映される作品があるが、他の安い鑑賞券以上に売れるという。こういった満足度の高さから、足繁く通うお客さんも多いとのこと。何よりも他の映画館で見るよりも特別な映画を見ている気分になれるからだ。
筆者が行った109川崎シネマズはこんなところ!
他の映画館と比較して、ここ109シネマズ川崎はかなりオススメできる。ラゾーナ川崎という川崎駅と隣接して作られているショッピングモールの敷地の中にあり、道に迷うことなく映画館へと直接向かうことができるのと、何よりもスペシャルシートがあるのが魅力。
筆者はこの席に座って鑑賞したのだが、リクライニングシートになっていて、前後に非常に空間があり、リクライニング時も他人を気にすることがない。また、やはり横幅が広いと2時間半座っていても疲れることもダレることもないのでオススメ。腰が当たる個所についているクッションも、腰痛持ちの筆者には地味にうれしかった。また、サイドには小さな机があり、飲食物や荷物が置けるようになっている。しかも、ポイントカード会員になるとこのスペシャルシートが通常料金で見られるのも魅力的だ。
そして、『007 スカイフォール』上映後も109シネマズ川崎では続々と他作品の『IMAX』版の公開が決定されているのでそちらもご紹介しよう。
ホビット 思いがけない冒険
アカデミー賞で最優秀作品賞を含む11部門全て受賞という快挙をなしとげた伝説的傑作『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』から約8年。ピーター・ジャクソン監督が、J.R.R.トールキンのもうひとつの傑作小説『ホビットの冒険』を映画化! 本作では、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作で描かれた指輪を巡る旅からさらに60年遡った世界を舞台に、『ロ―ド・オブ・ザ・リング』の原点が、最先端のカメラと音響技術を駆使した3D で描かれます。
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
文学界の権威あるブッカー賞を受賞した世界的ベストセラー小説『パイの物語』を映画化した本作は、誰もが目を疑う極限状況のもとで繰り広げられるサバイバル・アドベンチャー超大作。大海原をボートで漂流する少年パイと一頭のトラをめぐる物語を、アカデミー賞に輝く名匠アン・リーがめくるめくスケールと映像美でお贈りします。
こちらの2作品は3D作品であるため、鑑賞には3Dメガネが必要だ。筆者はメガネを常につけているので非常に煩わしい思い出しかない。普通ならメガネonメガネになり、劇中ズレたり何度も直すハメになる。解決策として、メガネの人専用のレンズに着けるタイプの3Dメガネが置いてあるところもあるが、購入しなければならない(300~500円相当)。だがここの3Dメガネは一味違う。
メガネの人にもそうでない人にも、ストレスなく装着できるようにちゃんと配慮されている。往来通りメガネonメガネにはなるが、横幅やレンズにゆとりを持たせ何一つ支障がないように作られている。こちらのメガネは特に追加料金もなく、「自分はメガネを掛けているので」と、申し出る必要もない。これならメガネのお友達も気兼ねなく3D映画に誘えそうだ。
ちなみに関東で『IMAX』を取り扱っている109シネマズは川崎だけではなく、木場、グランベリーモール(南町田)、湘南、菖蒲と5か所もあるので、東京近辺に住んでいる方はちょっと足を伸ばせば行ける距離にある。クリスマスや年末年始、大事な人や家族と映画を見る機会も増えるシーズンに、少しぜいたくをして大迫力の『IMAX』で映画を見に行くのはいかがだろうか。
鑑賞料金
IMAX 2D版:一般2000円、小人1200円
IMAX 3D版:一般2200円、小人1500円
109シネマズ川崎
http://109cinemas.net/imax/about.html[リンク]
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