小さな会社も「副業」する時代へ 不動産リフォームで賃貸収入を得るためのコツ

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小さな会社も「副業」する時代へ 不動産リフォームで賃貸収入を得るためのコツ

中小企業や個人事業主にとって、いかに経営上のリスクを排除し、安定して利益を出せる状態を作るかが最大の課題といっていい。

まして、変化が速く、不安定な時代である。これまで安定して収益をあげてきた事業が、突然立ち行かなくなることもある。それは、今年のコロナ禍を見ていても明らかだろう。問題は小規模事業者や個人事業主が、こうした不測の事態に耐えるだけの資金的な余裕がないケースが多いことだ。

だからこそ、本業に次ぐ収益源として、不動産投資が注目を浴びている。『空き家・古家不動産投資で利益をつくる』(フォレスト出版刊)は、資金が乏しい小規模事業者でも始められる「空き家・古家不動産投資」のノウハウを教える一冊である。

今回は著者の大熊重之さんにインタビュー。この投資方法を実践するうえでのポイントを聞いた。後編となる今回は物件の見極めとリフォームのコツについて語っていただいた。

■魅力いっぱいの空き家・古家 リフォームして賃貸収入を得るための物件の見極め

――物件の状態という面で、投資すべきかどうかはどう判断していますか?あまりボロボロの物件だとリフォーム代がかさんでしまいます。

大熊:建築物の基礎にあたる躯体を見ます。主に床や柱が傾いていないかどうかですね。これらが傾いていると、リフォームというより「建て直し」になってしまうので、お金がかかってしまう。こういう物件は除外します。逆に屋根などは、一見ボロボロに見えても部分補修で済むことの方が多いですね。

躯体がクリアできているのなら、あとは物件によって様々なので、どこを直す必要があって、そうなるといくらくらいかかるかということを個別に考えていきます。

――きれいな状態で残っている空き家・古家は、探せばそれなりに見つかるものなんですか?

大熊:見つかります。ただ、誰がみてもきれいな物件は、欲しがる人も多いですから、基本的には高額です。だから、ボロボロで「これ、本当に住めるようになるのかな」と思うような物件の方が、逆に言えば投資には向いているんです。そのなかで最低限、躯体の状態をチェックする、ということになります。一例ですが、ボロボロの物件を50万円で買って、450万円かけてリフォームしたら、かなりきれいになりますよ。

――リフォームのコツはありますか?

大熊:ひとことでいうと「差別化」です。一般的な賃貸住宅は、すごく「無難」に作ってあります。ワンルームマンションを見に行ってもらうとわかるのですが、ほとんどの物件は白い壁と茶色の床ですよね。

せっかくリフォームするのに、そこに近づけてしまうのは悪手です。洋室でも色をちょっと変えてみるとか、戸建て物件の特性を生かして和室を残しつつ、モダンな感じを出してみるとか、そういう差別化をすることで、借り手がつきやすくなるんです。

――日本中にある空き家や古家のうち、投資価値のある物件はどれくらいあるのでしょうか。

大熊:これは、正直わからないんです。というのもデータがないんですよね。我々はおそらく日本一空き家を扱っている団体だと思いますが、それでも戸数でいえば1000戸やそこらです。逆に言えば、探せばいくらでも再生できる物件があるということでもあると考えています。

――大家業にかかる手間についてはいかがですか?持ち物件が増えるとそれなりに大変そうです。たとえば従業員10人の中小企業が、あらたに空き家・古家を利用した不動産投資をするとなった時、そのための従業員を雇わないという前提でやる場合何軒くらいの管理が可能なのでしょうか。

大熊:前提として、物件の保守管理は自分ではやらずに外注すると考えているので、何軒でも管理はできます。

不動産の勉強をするという意味では、自分で管理してみるのもいいのですが、おっしゃるように管理できる戸数には限界もあるし手間と人出がかかります。零細企業が新規事業としてやるには向いていません。不動産管理会社に所有する物件の管理を頼んだ場合、管理費は家賃の5%くらいのものなので、自分たちで管理することで本業に支障が出るくらいなら、外注してしまうのも手だと思います。

――中小企業が、「副業」として不動産投資を始める場合、利回りの目安は何%くらいですか。

大熊:12%前後でしょうね。最低12%。すごく高い数字のように思えますが、空き家・古家を対象にする場合十分可能なんです。

――こうした市場に大手の不動産会社が参入してくることはないのでしょうか。

大熊:今のところ参入してきていませんし、おそらく今後も参入することはないと思います。なぜかというと、額が小さすぎるんです。200万円とか300万円の物件の仲介を大手の会社がするかといったら、まずしません。

知人に大手の不動産会社の方がいますが、「こんな物件を会社に持って帰ったら上司に怒られる」と言っていました。だから、むしろ私のところに紹介してくれることも多いです。向こうからしたら空き家・古家の売却先を探している人も一応顧客ですから、自分のところでは扱いたくないけど、無下にもできないんですよね。だから「知り合いに紹介しておきます」となる。これはリフォームについても同じで、大手の工事会社はこういう小さな案件はまず扱いません。

――入居者探しはどうしていますか?

大熊:そこが不動産投資で一番大事なところです。だから不動産会社に任せずに、どういう流れで入居者がくるか、どういう物件なら借り手がつくのかを勉強しないといけません。

ただ、基本的には不動産会社に、やってきた人に物件を勧めて、気に入ったら契約するという流れなので、不動産会社に置いてもらう資料を工夫するというのがすごく大事です。不動産会社で物件を探した人ならわかると思いますが、大体どの物件も「間取り図」があって「外観」があって、あとは日当たりとか、駅まで何分とかの情報が載っていて、という感じでしょう。そこを工夫して、他の物件とは一味ちがう資料を作って、不動産仲介業者に営業をかけるわけです。

――最後に、中小企業経営者や個人事業主など、今回の本のターゲットとなる方々にメッセージをお願いいたします。

大熊:今はどんな業種でも、環境の変化が速く、激しくなっている時代ですから、1つの業種で生き残るのはすごく難しくなっています。

イノベーションが起きて、自社の需要が一気になくなることもありますし、台風や災害のリスク、為替リスク、政治環境の変化で自分のビジネスが被害を受けることもある。資金力で劣る中小企業は、こうしたリスクが顕在化した時に「嵐」が過ぎるまで待つ余力はないはずで、だからこそ1つのビジネスだけでなく、別の収益源を持つことが大切になります。

ただ、別の収益源を作るといっても、どの業種もみんな切磋琢磨しているわけで、いきなり新参者が成功できるほど甘くはない。そう考えた時に、不動産投資はやはり向いていて、なかでも空き家・古家への投資は低額で始められるのと、利回りが高いのとで、中小企業のリスクヘッジに最適ですし、財務体質の改善にも役立ちます。本業が行き詰った時に、方向転換するためのつなぎの資金にもなる。節税や事業承継にも役立ちます。

そして、繰り返しになりますが、未経験の業種に触れる(経営体験)ことで、経営者自身の成長にもつながるのもメリットです。製造・小売・卸・建築業などの中小零細企業や店舗・士業・コンサルタントのような個人事業主の皆さんには、ぜひチャレンジしていただきたいと思っています。

(新刊JP編集部)

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