マクドナルドのメニュー撤廃 言語・聴覚障がい者はどうする?
『Twitter』を見ていたら、タイムライン上に「先週に晩御飯用にマクドに寄ったら、メニュー表がなくて、店員さんに“耳が聞こえません”というジェスチャーしたらすごく困った顔をしてた。壁面にあるメニューを見たけれど、字が小さかったし、メモを用意しようともたもたしてたら他の店員さんが後ろの列を誘導してた。いたたまれなくて、店を出たよ」というつぶやきを見た。
これ以外にも「友達とマックで待ち合わせた。私が先に着いたので、商品を買って2階に上がって待っていた。15分後、友人が商品を何も持たずに上がってきた。“何も食べないの?”と聞くと“手元のメニューがなくなってて、注文ができなかった” と友人。そっか……手話じゃ注文、通じないもんね」といったつぶやきも見られた。
マクドナルドは10月1日から、全国の店舗でレジカウンター上に置かれていたメニューを廃止している。
同じ日に、似たような内容のつぶやきを見かけたことが気になった。そして「マクドナルド メニュー」でリアルタイムの検索をかけてみると「メニューがなくなったことがやりづらい」「筆談する時間もないし、メニューもないしで耳や声が不自由な人間はもうマックへは行けない」「マックの手元メニューがなくなると、今まで指差しで注文していた耳が不自由な方が注文できなくなるのか。言われて気付いたけど大事なこと」という意見が並んでいた。
一方、マクドナルドに近い人の意見としては「申し訳ありません。マックのバイトです。耳が不自由なお客様が携帯のメール画面に注文したい商品の名前と数を表示させて下さったこともありました。メニューご希望のお客様にはカウンターにも、客席にもございますので身振りや筆談でその旨、意思表示をしてみて下さい」というものもあった。
そして「マックでカウンターのメニューがなくなって、耳が不自由な人が困ってるとかいうツイートがあるが、多分フィクション。確かにカウンターのメニューはなくなったが、自由に取れるチラシ形式でちゃんと手に取れるメニューは置いてあった」という疑問の声もみられた。
また、「筆記用の紙を持っているはず」「友人は何をしていたの?」という意見もあった。
でも、考えてみてほしい。健常者と呼ばれる私たちだって、注文に迷えば後ろに並んだ方を待たせてしまうのではないかと不安になるだろう。日常的に不便を強いられる立場の人なら、それはなおさらだ。
筆記用の紙が切れることだってあるし、いつもと同じと思っていたことが健常者の誰かの都合で変わっていたなら、きっとすごく戸惑うだろう。そして私が友人だったとしたら、傷ついた友人を慰めるのが精いっぱいで、その場では何もできなかったと思う。
もちろん、今回はたまたまマクドナルドが例に挙がったが、障がいのある人が不便を強いられるのは同店に限ったことではない。
しかし、日本で多くの人々の支持を集め、人気も高いファーストフードチェーンでもある同店が、多くの外食産業のお手本となればそれに越したことはないだろう。健常者も障がい者も、老人も子どもも、だれもが気兼ねすることなく、同じように利用できる環境でなければならないのではないか。
手元のメニューを撤廃したことによって、ゲストの「スマイル」まで失ってはいけないんじゃないか。
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