[野菜の漬け物の種類]いくつ知ってた?全国のご当地漬け物
ご飯のお供やお酒の肴として定番の漬け物。その土地ならではの食材を用い、味付けにもさまざまな特徴がありますが、その中から「野菜がメイン材料」のご当地漬け物を、エリアごとにいくつか抜粋して紹介します。
個性があふれる漬け物の種類
塩分を加えてしんなりとさせたうえで、独特の風味やうまみを味わう加工法で作られる漬け物。使う野菜や加工工程によって、土地ごとの多種多様な味わいを楽しむことができます。
野菜のご当地漬け物:東北編
[青森県]
にんにく漬け
青森は、ニンニクの生産量日本一。そのニンニクをまるごと酢に漬け、さらに醤油に漬け込みます。
[秋田県]
いぶりがっこ
たくあん漬けをいぶして燻製にしたもの。11月ごろに収穫した大根をナラや桜の木でスモークした後に、ぬか床に40日以上漬け込んで作ります。
[岩手県]
金婚漬け
青ウリの種の部分を取り除き、そこに昆布で巻いたにんじんやごぼうなどを詰めて漬けたものです。時間が経てば経つほどおいしくなることから、金婚漬けと名付けられたといわれます。
野菜のご当地漬け物:関東編
[東京都]
福神漬け
明治時代に、上野近辺でとれた大根、なす、かぶ、ウリ、しそ、れんこん、なた豆など7種類の野菜を原料として作った醤油漬けです。7種類の野菜を使用することから七福神にちなんで福神漬と呼ばれています。
[千葉県]
てっぽう漬け
ウリの中に、しそで巻いたとうがらしを詰め込んだものです。ウリにとうがらしを詰める方法が、鉄砲に弾丸を詰める様子に似ていたことから、この名称になりました。
[神奈川県]
ひょうたん漬け
小型ひょうたんをしば漬けにしたもの。縁起の良いひょうたんはお祝いの席などに出されます。独特の食感がクセになる味わいです。
野菜のご当地漬け物:中部編
[静岡県]
わさび漬け
わさびの葉と根を酒粕に漬けて練り合わせた漬け物で、漬け物にすることで、味と香りを長く楽しむことができます。
[愛知県]
守口漬け
最長で180cmにも成長するという細なり大根(守口大根)を、塩や粕などを使った伝統的な手法で漬けたものです。
[長野県]
野沢菜漬け
野沢菜は、日本3大漬け菜のひとつ。シャキッとした歯ざわりとあっさりした風味が人気です。
野菜のご当地漬け物:近畿編
[奈良県]
奈良漬け
ウリ、きゅうり、なすなどを酒粕に漬け込んだものです。余分な水分やあくが抜け、酒粕の風味が加味されます。
[三重県]
たくあん漬け
大根を寒風の中に干し、その後、米ぬかと塩、柿の皮、とうがらしなどで2年にわたって乳酸発酵させたものです。
[京都府]
すぐき漬け
京都市で栽培されてきた伝統野菜のすぐき菜を使った漬け物です。すぐきはかぶの一種で、皮をむいた長い茎や葉も一緒に塩漬けにし、一度、炭火などで保温して乳酸菌の発酵作用を促進させます。独特の深い酸味が特徴です。
[大阪府]
泉州水なす漬け
大阪南部にある泉州地域の伝統野菜、なすを漬けたもの。泉州水なすは、皮が薄く果肉に少し甘みがあるのが特徴で、浅漬けやぬか漬けに適しています。
漬け物に含まれる植物性乳酸菌
植物性乳酸菌は、野菜や豆、米や麦などの植物素材を発酵させる乳酸菌のことで、漬け物にも含まれています。京都の漬け物の「すぐき漬け」からは、近年、ラブレ菌が発見されています。
野菜のご当地漬け物:中国・四国編
[鳥取県]
砂丘らっきょう漬け
色が白く、繊維が細かく、歯切れがよい鳥取砂丘のらっきょう。これを塩で下漬けして、甘酢に漬け込んだものです。
[島根県]
津田かぶ漬け
勾玉(まがたま)のような独特の形になる津田かぶを用いた漬け物です。1週間、寒風にさらし天日干しを経て、ぬか漬けにします。
[広島県]
広島菜漬け
日本の3大漬け菜のひとつといわれる広島菜漬け。天日干ししてから、水洗いして荒漬け。その後、大樽で本漬けにします。歯触りの良さとピリッとした辛み、豊かな風味が特徴です。
[愛媛県]
緋のかぶら漬け
濃く鮮やかな赤を表す「緋」の名前をつけられたかぶの酢漬け。かぶに含まれるアントシアニンが、酢漬けにすることで、きれいな赤い色に染まります。
野菜のご当地漬け物:九州・沖縄編
[福岡県]
からし菜漬け
高菜とよく形は似ていますが、弥生時代に伝来したもので、こちらの方が古くから栽培されています。葉や茎の浅漬けはピリッとした辛みが味わえます。
[熊本県]
高菜漬け
日本3大漬け菜のひとつの高菜は、からし菜の仲間。乳酸菌発酵させた古漬けはコクがあります。とんこつラーメンのトッピングとしても知られています。
[鹿児島県]
桜島漬け
世界最大級の大根といわれる桜島大根を長期間にわたって酒粕に漬けたものです。噛むほどに味わい深い風味が広がる特産品です。
[沖縄県]
島らっきょう漬け
沖縄の島らっきょうの塩漬け。スーパーなどで見るらっきょうに比べると小ぶりですが、からみと香りに特徴があります。
浅漬けと古漬け、どちらがお好み?
漬け物には、短時間でできるあっさりとした「浅漬け」と、数カ月かかる酸味の利いた「古漬け(本漬けとも言います)」があり、特徴が異なります。
・浅漬け
数日から1週間程度で食べられるように塩分を調整したもの。酵素の作用でうまみが引き出され、サラダ感覚で食べられます。
・古漬け
塩をしっかりきかせ、1カ月から数カ月かけて漬けられるもの。野菜から染み出た水分の中で乳酸菌や酵母が繁殖、発酵してさらに複雑なうまみ成分が引き出されます。
最後に
各地の漬け物の特徴や違いを知って、いろいろな味を楽しんでください。
[大根]栄養や選び方、鮮度を保つ保存、下ごしらえ、切り方など
ほぼ一年中出回っていますが、旬は晩秋から初冬。旬の時期にはたっぷり味わいたい野菜です。大根にはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの酵素も含まれています。
最終更新:2022.12.21
文:アーク・コミュニケーションズ
イラスト:螢子
監修:カゴメ
参考文献
『新・野菜の便利帳 おいしい編』板木利隆監修(高橋書店)
出典:
農林水産省
全国漬け菜マップ
登録商品「いぶりがっこ」(いぶりがっこの製造法)
近畿農政局「岩手県の食の復興祭」(金婚漬け)
中国四国農政局「伝統料理(愛媛県)」緋のかぶら漬け
独立行政法人農畜産業振興機構
「野菜ブック」にんにく(ニンニクの産地)
「地域だより2001年10月 砂糖類情報」(守口漬けの製造法)
J-STAGE
『日本の漬物』(福神漬けの由来)
日本食品微生物学会雑誌Jpn.J.Food Microbiol. , 22(4),127-137,2005『漬物と微生物』(てっぽう漬けの由来)
JAおきなわ 島らっきょう
カゴメ「植物性乳酸菌大学」(植物性乳酸菌の働き)
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