上杉隆さんの「読売の表コピペ疑惑」について思うこと
今回の原稿は中島麻美さんよりご寄稿いただきました。
上杉隆さんの「読売の表コピペ疑惑」について思うこと
上杉隆さんの今回の「読売の表コピペ疑惑」について思うところを書きます。
ダイヤモンド・オンラインの上杉さんの記事では、あれがコピペ状態であることの説明には全然なってないし( http://diamond.jp/articles/-/26217 )、これから先の取材で、上杉さんご自身が他人の不正を暴くときに身綺麗にしてないとダメなんじゃないかと思う。
記事中で「ヒント」として示されていたことの「真相」らしきものを、上杉さんご本人からわたしに対してご説明くださったのですが、その内容も正直言って飲み込めなかったです(だからツイートは消しませんでした)。
電話では「ちゃんと取材してみてください」「ぼくが書いたものちゃんと読みました?」ということをおっしゃられたんですが、後ろめたいところがないなら表でやれ、と思ったということを書き添えます。
そして、もう一つ。今回ネット上で上杉さんを攻撃している人たちについて。たしかに、盗用であることの説明を尽くさずに、詫びもしないことは良くない。非は上杉さんにある。
でも、叩いている彼ら彼女たちも気持ちが悪い。
前から思っていたんだけども、ネットリンチの文脈を感じるから。
ネットリンチは、飲酒運転云々とかを自慢するバカツイートをバカサーチして、ツイートしてる奴の勤務先や学校に電凸して処分受けさせるっていうあれのこと。
ひとは成果の出やすい場所を見つけて攻撃するものだと思う。大状況に対して声を上げても抗議をしても、世の中変わらないことを経験的に知っているからだろう。そういうゆるい絶望感の中でも、ひとは何かの達成感を得たい。
ネットのひとはとくにそれが顕著で、大きな問題については看過するような印象がある。それは、これまで誤報事件をやらかした直接知っている記者の人々についても同様の印象を受ける。何をネットで吠えてるんだと思う。原発作業員に電話して上杉どう思うとか聞くのもどうかと思う。それこそ、作業員からしたら「お前等平和だな」と思うんじゃないか。
編集部の責任も見解もなく、編集作業が行われている形跡が見えないダイヤモンド・オンラインもどうなのだろうと思う。
前も書いたが最初の読者となる編集者は、クロスチェッカーであり誰よりも厳しい批判的な目をもって原稿を読んだほうがいいと思う。それは著者を疑うということではなく、著者を守る意味で。
上杉さんが業界で干されようがなんだろうが構わないが、今回のことに加わって「正義を成し遂げた」暁には、是非大きな問題に取り組んだらいいと思う。例えば保安院の嘘に関して、東京電力が発表を遅らせてきた諸々の事態に関して。上杉さんを叩くほどの情熱で、是非やってみたらいいと思う。デモに行くだけではなく、投票に行って直接意思を示したらいいと思う。
上杉さんが書いている意図とは全く違うものだと思うが、これが日本のインターネットの言論空間なら私は日本に絶望する。
※執筆: この原稿は中島麻美さん( http://www.facebook.com/nakashimaasami [リンク] )よりご寄稿いただきました。
※写真は2012年7月末 中島麻美さんが福島県双葉町双葉南小学校にて撮影したもの
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