[ゴーヤとトマトの栄養]体にうれしい成分とその働きとは?
野菜独自に含まれる成分のなかには、体にうれしい働きをするものもあります。今回は、夏野菜のひとつであるゴーヤとトマトに含まれる栄養について紹介します。
ゴーヤに含まれる栄養
ゴーヤは、ビタミンC76mgをはじめ葉酸72μgなどの栄養を豊富に含みます(可食部100g当たり)。なかでもゴーヤ特有のトリテルペン類(ククルビタン型トリテルペノイド類)には、血糖の上昇を抑える働きがあることがわかってきています。
ゴーヤのトリテルペン類とは
トリテルペン類の一部はあの苦味成分であり、ゴーヤ特有の栄養素です。
[どんな効果?]
2つのグループに分けて、ゴーヤ飲料とプラセボ(偽薬)を飲ませる実験をしたところ下記の結果が報告されています。
上のグラフのように12週間、ゴーヤピューレ100gを含むゴーヤ飲料を飲み続けると、血糖の上昇が抑えられることがわかります。さらに、摂取から60分後には、インスリンを出しやすくする成分の分泌を促進する効果が現れたという実験結果もあります。
[効率的に摂るには?]
トリテルペン類は、調理しても成分がなくなりません。なかでも油で炒めると、活性成分が比較的多くなります。また、ジュースにすると、最も効率良く摂取できます。
トマトに含まれる栄養
トマトはβ-カロテン540μg(可食部100g当たり)のほか、カロテノイドの一種であるリコピンを多く含みます。リコピンは、トマトに鮮明な赤色を与えており、高い抗酸化作用があります。また、血液中の善玉(HDL)コレステロールを上昇させる働きがあることがわかっています。
HDLコレステロールとは
余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑えるなどの働きがあります。
[どんな効果?]
ヒトの血中コレステロールに対するリコピンの作用に着目し、生鮮トマトや加工品などリコピンを含む食品を摂るグループと、摂らないグループなどを比較した19の研究論文データベースを用いて検証(カゴメ総合研究所)。研究の妥当性などを評価して3編の論文を詳細に研究したところ、トマト由来のリコピンを1日15mg以上、8週間以上摂取すると、HDLコレステロールが上昇することがわかりました。
[効率的に摂るには?]
リコピンは、油に溶けやすい性質を持っています。そのためオリーブオイルなどの油と一緒にトマトを調理すると吸収率がアップします。また加熱することで、さらに効率的に吸収することができます。
トマトのリコピンの抗酸化作用と、効率よく摂る方法はコチラ
トマトの色や種類、調理法によるリコピン量についてはコチラ
最後に
ゴーヤとトマトに含まれる有効成分を知って、効率よく摂取できるように調理法を工夫してみてください。
[トマト]おいしいトマトの見分け方と、保存のコツ
トマトには大きく分けて2種類あり、果皮が赤い品種の「赤系」、果皮が透明な品種の「ピンク系」に区別されます。現在は品種改良が進み、あまり区別はなくなっています。鮮やかな赤い色の正体は「リコピン」。抗酸化作用があることから、注目が高まっています。
最終更新:2022.12.10
文:アーク・コミュニケーションズ
写真(撮影):清水亮一(アーク・コミュニケーションズ)
写真(撮影協力):吉田めぐみ
監修:カゴメ
出典:
日本食品標準成分表2015年版(七訂)野菜類
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構「機能性をもつ農林水産物・食品開発プロジェクト研究成果集 A-8 日本の伝統健康野菜ゴーヤのエビデンスとサイエンスを根拠とする適正商品化技術の開発」(ゴーヤに含まれるトリテルペン類の働き)
カゴメ「トマトに含まれるリコピンのHDLコレステロール上昇作用における研究レビュー」
カゴメ &KAGOME「トマトジュースとコレステロールのお話」(リコピン摂取によるHDLコレステロールの増加のグラフ)
e-ヘルスネット(HDLコレステロールの働き)
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