忘れかけていた夏の日を思い出しそう…… 雪女ちゃんがかき氷を食べて海ではしゃぐマンガがノスタルジック
6月に入り首都圏でも30℃を超える日があって夏の到来を感じさせますが、『good!アフタヌーン』(講談社)で『サメガール』を連載中の雪本愁二先生(@yukimotosyuji)の短編マンガ『夏雪』は、海が見たい雪女ちゃんが山から下りてくるというストーリーで、「エモい」「ハートフル」といった声が上がっています。
夏雪② pic.twitter.com/ysE52mmFf7
— 雪本愁二@サメガール発売中🦈 (@yukimotosyuji) June 8, 2020
いつもに増して暑い夏。「わたし雪女だけど、かき氷おごってほしいぞ」と道端で溶けかかっている雪女ちゃんに男の子が出くわします。
「あ~どちらかというと生き返った」と嬉しそうにかき氷を頬張る雪女ちゃん。「じゃあ僕はこれで」という男の子を引き止め、「雪女がなぜ危険を冒してまで山を下りたか知りたいか?教えてあげる!」とやたらとグイグイと来て、「一度海というものを見たかったから」と言います。「海はどこだ?どんなに遠くても連れてってほしいぞ!!」と求めます。が、目の前にはその海が。
浮き輪を手にして海に入る雪女ちゃん。はしゃぎにはしゃいで、「どちらかというと海の水はしょっぱいぞ」といい、男の子に「お前も飲んでみろ」と無茶ぶり。「僕はそろそろ」と帰ろうとする男の子ですが……。
雪女ちゃんに海に引き込まれ、結局遊びに付き合うことになった男の子。「どちらかというとヘトヘトだ」というまで遊んだ雪女ちゃんに、「そろそろ僕は…」と切り出しますが、雪女ちゃんは男の子の袖を掴み、「いつか思い出す」と話しはじめます。
「名も知らぬお前と過ごした今日を私はいつか思い出す」という雪女ちゃん。「そしてきっとこう思う。とてもすごく!楽しかったと」と嬉しそうに語り、「お前は名も知らぬ私と過ごした今日をどう思った?」と尋ねます。
「私と同じだったら嬉しいぞ。今日はありがとう」と男の子のおでこに口付けをする雪女ちゃん。夏なのに、空からは白い雪が降り出して……。
“今年の夏は異常気象。どれくらい異常かと言うと、真夏に降り出した雪の熱に心奪われるほどの異常気象”というこの日。砂浜に雪が舞う中、雪女ちゃんは空へと浮かび上がり、山へと帰っていきます。それを見上げる男の子の表情にグッときますね。
そんな余韻が覚める間もなく、次の日。またも道端で倒れている雪女ちゃんと男の子は出くわします。「お前を思い出したらまた会いたいと思ったぞ」という雪女ちゃん。「お前はどう思った?私と同じだったら嬉しいぞ!」と元気な声に、蝉の鳴き声が重なるのでした。
もともとは講談社の漫画投稿サイト『DAYS NEO(デイズネオ)』に応募するために一昨年の5月に描いた作品だというこの『夏雪』。雪本先生によると、「僕が住んでいる近くの町に、むかし海水浴場があってよく泳ぎに行っていたのですが、今その海水浴場は昔あった場所から移動していて、少し切ない気持ちになったので、その時の感情を漫画に描きたいと思いました。夏の雪女はとけて消えてしまいそうな、儚さと切なさがありピッタリだと思って『夏雪』が生まれました」といいます。
さらに、「この『夏雪』がきっかけで現在連載中のサメガールの担当の方と知り合うことができました。当時のTwitterでの評判も良く、はじめてバズった作品になりました。この作品で僕のことを知ってくれたフォロワーさんも多いと思います。僕自身も気に入っている作品なのでとても嬉しかったです」とコメントしてくれた雪本先生。どこか郷愁を感じさせて、それでいて幻想的な気持ちにさせてくれるのは、なくなりつつある風景や人との触れ合いを思い起こさせるからでしょうか。
※画像はTwitterより
https://twitter.com/yukimotosyuji [リンク]
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
ウェブサイト: https://note.com/parsleymood
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