うさぎの頭を乗せた少女画が人気!画家・横田沙夜さん個展直前インタビュー

私語する二人

様々な作風の画家・イラストレーターがひしめく日本のアートシーン。その中で、水彩画家の横田沙夜さんは『不思議の国のアリス』をモチーフにした作品を発表しつつ、うさぎを頭に乗せた少女を描き続けて徐々に頭角を現してきています。

2011年に開催された初の個展『兎頭のささやき』は大好評を博し、その後も数々のグループ展に参加しているほか、CD『Cue Fanfare! 』(グリニッヂ・レコード)のジャケットを担当、日本を代表するイラストレーター宇野亜喜良さんをはじめ幅広いクリエイターを集めた画集『セーラー服コンプレックス』(ワイズ出版)にも作品が掲載されるなど、活躍の幅を広げています。

そんな横田さんにとって二回目の個展になる『私語する兎頭たち』が2012年10月5日から29日まで、東京・浅草橋のパラボリカ・ビスで開催されます。
ファン待望の個展を前に、準備に忙しい時間を割いてインタビューに答えて頂きました。

私語する兎頭たち

--二回目の個展の開催おめでとうございます。一回目に引き続き、『兎頭』とタイトルに入れた意味について教えてください。

横田:タイトルはtwitterで知人がつけて下さいました。私が「二回目の個展どこでやろう?」とつぶやいた際に、半分冗談で「パラボリカ・ビスで『私語する兎頭たち』をやってください」とおっしゃられて。「ああ、いい題だな」と思ったのです。それが実現してほんとうに嬉しいです。

--今回の展示のコンセプトは?

横田:兎頭の新作が数点、他の少女たちの作品数点、あとはグリム童話等をモチーフとした作品で計30点近くの展示になります。まだ発表していなかった、過去に描いて気に入っている『ヘンゼルとグレーテル』なども出します。前回の個展より、さらに物語性のある作品や展示になることを意識しています。

--兎の頭を乗せた少女を描き続けているのはどうしてなのでしょう?

横田:あんまり沢山描くと、観てる側の方たちは飽きてしまうと思って、「しばらく描かなくて良いかな」と思っていたんです。でも、『夜想』編集長の今野裕一さんが「出し惜しみしていると、後で出した時にはもう兎頭のブームが終わっているかもしれない。それだったら、今、出し切った方が良い。兎頭はこんなに好かれているんだから」って仰ってくださって。なので、もう一度描いてみようと思いました。

星降るぜんまい少女

--お描きになる少女に、ご自分を投影されている部分はあるのでしょうか?

横田:私自身は全く考えていませんでしたが、観る人に「ご本人に似ている」とおっしゃって頂けるので、無意識に投影しているのかもしれません。でも、作品として可愛い少女を描いているつもりなので、そう言うと自分の事を可愛いと思っている人に見られてしまう気がして恥ずかしくなりますね。

--画家を目指すようになったきっかけを教えて下さい。

横田:もともと大学在学中から絵本作家や挿絵画家になりたかったんです。でも、出版界は不景気ですので…。新人を起用するにはまず幼児向け絵本からというのが通例だということで、出版関係の方にご相談したら、「あなたは自分の作風があるのだから、画家として絵を磨いていれば、そのうち向こうから話がくる。だから絵の方に専念した方が良い」とおっしゃって頂いて。ギャラリーの方にも、「絵本をやるとなると、生涯ずっと絵本向けの小さな絵を描くようになる。それよりも大きな絵を今は描いて行った方が良い」とアドバイスされたこともあり、画家としての活動をはじめました。

--今でも絵本を描いてみたいですか?

横田:もちろん、お話を頂ければぜひ! 私の夢ですから。

--最後に、今回の展示に向けて、メッセージをお願いします。

横田:先程も言いましたが、『私語する兎頭たち』では物語性のあるものを意識して描いているので、そこをご覧頂いて、何か感じてもらえると嬉しいです。期間中は様々なイベントもやってみますので、是非遊びに来てもらいたいな、と思います。

個展期間中、10月14日には「沙夜の兎頭ぬりえ教室」と題して、用意された線画に色を塗り、ケーキでお茶会をするイベントが実施されるほか、横田さんが在廊している際に、うさぎを頭に乗せた似顔絵を描いてもらえるなど、さまざまな企画も行われるとのこと。
かわいい中にも、大人になる前の揺らぐ気持ちが込められた、不思議な魅力を放つ少女に出会いに足を運んでみてはいかがでしょうか。

横田沙夜個展「私語する兎頭たち」
http://www.yaso-peyotl.com/archives/2012/10/sayo.html

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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