「パワーワードすぎる」「思わず笑った」の声続出! 「天然ロックダウン」ツイートの国忠崇史士別市議に話を聞いてみた

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現在、世界各国の都市で新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐために「ロックダウン(都市封鎖)」を講じていますが、北海道士別市市議でこぶたの家保育園を運営している国忠崇史氏(@takunitada)が、車も人も一切いない夜の商店街の様子をTwitterに投稿して話題になっています。

すいません、名寄とか士別は感染者でてませんが天然ロックダウンしております

この過疎状態を「天然ロックダウン」と表現した言葉には「パワーワードすぎる」という声が上がり、「思わず笑ってしまった」という反応が続出。さらに、自身が住む街の「天然ロックダウン状態」を画像つきでツイートする人が次々と現れていました。

今回、「天然ロックダウン」を生み出した国忠市議に電話でインタビュー。ツイートの反応の感想やシャッター街になってしまった原因、新型コロナ以降の名寄・士別地域の状況などをお訊きしました。

ーーまず、このツイートをアップされた時のことを教えて下さい。

国忠崇史市議(以下国忠):4月11日の午後7時半に、名寄駅前の名寄せ通り商店街の様子を撮ったものです。反射的にアップしたので、こんなに沢山の反響があるとは思っていませんでした。これまでそんなにバズったことがなかったので、率直に言ってびっくりしました。

ーー名寄はもともと国鉄城下町で、栄えていた時期もあったと聞いています。どうしてシャッター街になってしまったのでしょう?

国忠:名寄は自分が中学生の頃の30年ほど前には、旭川以北で一番栄えていた商店街だったんです。それが、20年ほど前に自分が東京から戻ってきた頃には、後継者不足で本屋さんとか洋服屋といった個人経営のお店は軒並みなくなっていました。その頃に話を聞くと、息子などの後継者候補の人たちは札幌などで働いていて、お店を辞めた人たちはアパート経営などをして、お店はやらなくてもいいし、やる気もないとのことでした。

ーー国忠先生が市議をなさっている士別市は、名寄市の南隣の地方自治体ですが、人口は最盛期から半減以下になってしまっています。

国忠:士別市は米やビートが特産品で、農業で食べている町です。ただ、家族経営の規模の小さい農家は機械を入れないとやっていけなくなっていて、広い田畑をやるには人手がいなく、廃業して都市部に出るという人口流出が続いています。あと、士別は北海道で一番観光客が少ない市なんです。

ーーツイートには、「コロナが収まったら行きたい」という反応もありましたね。

国忠:はい。私のツイートをきっかけに士別を訪れてくる人が少しでも増えてくれると嬉しいですね。

ーー新型コロナウイルスで国が緊急事態宣言を出しましたが、影響は?

国忠:北海道では、国に先んじて2月26日から3週間に渡って独自の緊急事態宣言を出して、学校休校などに踏み切ったので、よくも悪くも「またか」という感じで混乱はありません。ただ、東京や札幌での感染者が増えていて、名寄や士別では感染者が1人も出ていませんが、自家用車やバスで都市部に出る人はいるので、時間の問題だと感じています。

ーー国忠先生は、保育園も経営されています。対策はなさっているのでしょうか?

国忠:近所の保育園や幼稚園はほとんど休園していますが、うちは開けています。保育では「密集」と「密接」はどうしても避けられません。なので、せめて「密閉」だけは避けようと、まだこちらでは氷点下になる日があるのですが、窓を開けて換気に努めています。3月には卒園式も普通に開催したのですが、窓を開けていたら年配の方に「寒い」と言われましたが、少しでも密閉した空間にならないように気をつけています。

ーー市議として、特に力を入れていることを教えて下さい。

国忠:待機児童の問題は、今や都市部だけでなく地方でも問題になっています。保育士一人あたりの人数が決まっているので、保育園に空きがあっても保育士がいないと預かることができません。名寄市立大学には保健福祉学部に社会保育学科がありますが、そこを卒業した人は東京や札幌に就職していって、こっちで新卒で入ってくれる人はまったくいません。東京と比べると賃金が約5万円少ないので、若いうちに都会に出たいというのは自分もそうだったので理解できるのですが、地域として子育てにお金をかける必要があります。あと、議会では公共交通について取り上げることが多いですね。

ーー公共交通機関といえば、JR北海道の路線の存続が話題になっています。

国忠:よく、公共交通は「年配の人の足は必要」という文脈で存続が必要だという議論になりがちなのですが、私は「子どもの社会性を育てる箱」としてバスや列車がある、という考えをしています。北海道の子どもは、親がどこに行くにも自家用車に乗せて送っていくので、他人と乗り合わせたという経験をしていなくて、高校生になっても切符の買い方を知らないというケースも多々あります。子どもの社会性を養う上でも、公共交通が存続するだけでなく、実際に乗らないといけないと考えています。

ーー貴重なお話ありがとうございました。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/takunitada/status/1249283441515872256 [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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