サファリの宿。

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この記事はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

サファリの宿。

ジンバブエで観光客が来るといえば世界三大瀑布のひとつ、ヴィクトリア・フォールズ。しかし、ジンバブエという国の評判が世界的にはすこぶる悪いので(2009年2月までで終わったハイパーインフレの話がまだ語られてるし)、観光旅行は南アフリカからヴィクトリア・フォールズに直接飛行機で入って、また飛行機で帰ってくるというパターンが多いようです。

しかし、ヴィクトリア・フォールズを含めてジンバブエには5か所のユネスコ世界遺産があって、先日はそのひとつ、マナ・プールズ国立公園に行ってきました。ザンビアとの国境、ザンベジ川沿いの動物保護区です。タンザニアのセレンゲティなんかに比べたら動物の密度は低いようでしたけど、それでもゾウやカバやバッファローの類は見飽きるほどいます。そして豊富な水量があるザンベジ川の水辺というのがきらきらした景色でよかったですよ。

ジンバブエの首都ハラレから車で6、7時間、ヴィクトリア・フォールズからも同じ位かかると思われ、しかも4WDじゃないとアクセスできないし、雨期になる11月〜3月は4WDでもアクセス不能になるので多くのロッジが閉鎖するし・・・、ということで気軽に行くことはできないですけど、その分、行けたらスペシャル感が倍増。

私が泊まったのは、ザンベジ川からはちょっと離れた森の中にあるロッジ。けもの道を自動車が通れるように広げただけの悪路を、「○○km北に進んだら左に折れてさらに西へ△△km・・・」みたいな地図とGPSを頼りに進むのですが、本当にこの先にロッジなんかあるのか?と不安になるばかりの道のりでした。後続車も対向車もなく、日本だとラリー大会にでも出場しない限りはまず必要とされることはない運転テクニックが要求される森の中の細い悪路を進むと、一番上の写真のようなロッジのレセプションが現れてほっとした、という次第でございます。

マナ・プールズの「マナ」は現地語で「4」という意味で、乾期には川の周辺の湿地が4つの池を残して干上がってしまうことから「4つの池」ということでマナ・プールズと呼ぶらしいのですが、そのロッジでは乾期には干上がる窪地にポンプで少し水を汲み上げ、その周りに宿泊用のテントを組んでいました。テントといっても、ウッドデッキの上に張った大型のもので、中には清潔なキングサイズ・ベッドにサファリっぽいテイストの調度。半屋外に作られたトイレは水洗で、シャワーもたっぷり温水が出るし、デザインは現地の自然素材を活かしたアフリカ風。どうしてこんな辺鄙な森の中にこんなもの用意できたんだろう?って不思議なくらいの贅沢さでしたよ。

で、ポンプで窪地に水を上げてるので、そこに動物が寄ってくるわけです。レセプション&ダイニングのエリアではソファーに座って冷えた南ア産白ワインを飲みながら、野生動物を眺められるという趣向。昼はゾウ、シカやサルの類ですが、夜になれば、ディナーを楽しみながらレパード、ライオン、ヤマアラシ、アナグマ、バッファローなどがやってくるのが見られました。

そのロッジで一晩に受け入れるゲストは12人が最大。私たちがそのロッジに泊まった最初の日本人客だとオーナー夫婦が言ってました。(ちなみにオーナー夫婦は元農場主の白人ジンバブエ人。ムガベ大統領統治下で行われた「土地改革」で農地をムガベ大統領与党支持の黒人に強奪されてしまったので、ロッジの経営を始めたそうです。)

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実は日本国内の旅行経験はあんまりないんですけど、でも、日本国内にこういう土地の特色を活かした宿って少ないような気がするんですよね。観光地のホテル、旅館、民宿って、どこも同じような雰囲気でつまんない。料理もその土地で出す必然性のないマグロ刺身とかが出てくるし。少々アクセスが悪いところでもいいから、その土地の特色を活かして、ホスピタリティに溢れて、かつ外国人でも快適に泊まれるようにして、でもただ高級感だけを打ち出すのではなく一泊二食で2万円か3万円くらいで泊まれる、そんなのがもっと普及すればいいと思うんですがねぇ。そういうリトリートっていうかリゾートの文化が日本でも広がればいいと思うよ。

ん?、でも、これって、要は星のやの星野リゾートが打ち出して成功させてるコンセプトですね。既に気付いている人は気付いていらっしゃる。今どきネットで宿を探して予約するのが当たり前になってるし、ちゃんと情報をネットに載せておけば、外国からでも探し出してやってきてくれるお客さんはいるでしょう。マナ・プールズのロッジも、欧米からネットで予約してやってくる人が主なお客さんみたいだったし。

そういえば、数年前に京都を一人旅したとき、どう調べても宿がつまんないので、寺がやってる宿坊を訪ねて泊まったことを思い出した。で、それが本業でやってるはずのホテルや旅館よりずっと素敵な体験で、もうちょっと本業の方々にがんばっていただきたいと思ったわけです。

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マナ・プールズの素敵なロッジは隠れ家っぽくて、みんなに知られてしまうのはちょっと惜しい気もするので、あえて名前は書かずに残しておきます。本気で行ってみようと思う人は、ネットで探してみてくださいな。

執筆: この記事はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

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