WEB発のハイ・ファンタジーが書籍化 『デビルバスター』作者・黒雨みつきさんインタビュー(1)
ウェブ発のハイ・ファンタジーがついに開幕する!
エンターブレインから出版されている『デビルバスター1 至宝の乙女』(黒雨みつき/著、吟/イラスト)は、軟弱でお人よし、「女性アレルギー」という特異体質を持つ傭兵の少年・ティースの鮮やかな成長が描かれるファンタジー巨編。
同居人の美少女・シーラをはじめとした個性的なキャラクターたち、そして彼らに襲い掛かる「魔」の手――。今回は、なんと作者の黒雨みつきさんに、この『デビルバスター1 至宝の乙女』についてお話をうかがうことができた。そのインタビュー前編をお送りする。
(ラノコミどっとこむ編集部)
■もしかしたらラブコメになっていたかも知れなかった
―この作品はもともとウェブで連載されている小説を再構成したものになりますが、そもそも本作はいつ頃から構想を練られていたのですか?
「ウェブ上での連載開始が約10年前で、実はそれ自体がもっと前から書いていた作品のリメイクでした。ですから一番最初に構想を練り始めたのはさらに2、3年前だったと思います」
―書き始めるときに、考えていらっしゃったテーマはありますか?
「「読んでいる間だけちょっと楽しい娯楽作品」というのがテーマです。読むのに心構えが必要だったり読んだ後に深く考えさせられたりするようなものではなく、クセをなくして単純にドキドキやワクワクを楽しめるものを目指しました」
―本作の世界観はどのように作り上げていったのでしょうか。
「まずキャラクタから作り、大きなお話の流れをいくつか作って、最後にそれに合う世界を設定しました。結果的にはゲームのようなファンタジー世界が舞台になりましたが、現代風の設定も最後の段階まで残っていましたので、もしそっちを採用していればティースたちが学校でラブコメみたいなことをやっていたかもしれません」
―人魔やデビルバスター部隊〔ディバーナ・ロウ〕等の設定など考える上で、苦心された点はありますか?
「物語上で必要のない部分の設定をどこまで作りこむべきかで悩みました。そこが薄ければ世界が死んでしまいますし、かといって濃くしようと思えばどこまでも作れてしまうので、そのさじ加減が難しかったです。この作品の構想を練っていた段階では多数の人に自作を読んでもらうという経験もほとんどなかったので読み手の反応も予測できず完全に手探りでした」
■「女性アレルギー」という特異体質が生まれた理由とは?
―ここからは1巻に出てくる主要登場人物4人についてうかがいたいと思います。
それぞれの人物になって、モチーフとなった人はいるのか、設定を決める際に気をつけたことなどについてお聞かせください。まずはティースから。
「作品テーマの一つであるドキドキやワクワクを表現するために主人公である彼には何度もピンチに陥ってもらうことになるのですが、それを読み手に一緒に感じてもらえるようなキャラクタということを強く意識しました。作中でも何度も書いているとおり頼りない男の子なので、一体になるというよりは味方の立場で温かく見守ってもらおう……というようなことを目論んでいます」
―続いて、ティースの同居人であるシーラについて。
「とにかくティースとの対比でお互いが際立つように、なんでもできる完璧な少女という正反対の性質を持たせました。ただ、この作品はティースの成長を描く物語でもあるので、彼が成長するにつれて今度は逆に彼女が隠していた完璧ではない部分が見えてくるという仕掛けにもなっています。そんな二人の関係の推移にも注目してもらえたらと思います」
―では、ファナについてはいかがですか?
「ティースにとって、そして物語全体にとってのきっかけだったり背景だったりという舞台装置的な意味合いが強いキャラクタで、実は年齢・性別ともに最終段階まで定まっていませんでした。結局はティースに「女性アレルギー」という属性がついたことで若い女性となったわけですが、重要なことを色々と抱えていたりもする人物ですので、物語の緊張を和らげる天然系のキャラクタでありながらも微妙に底の見えない雰囲気がにじみ出るように気をつけました」
―最後に、アオイについて教えてください。
「ティース・シーラの関係と同じように、ファナと対になるキャラクタです。ファナが見た目に反して意外に切れ者という設定のため、彼は逆に案外おっちょこちょいという不幸な属性を背負うことになりました。ただ、区切りの場面によく登場して物語を導入したり緊張を緩めたりという役割はファナと共通です。ファナのキャラクタが定まってから生まれましたので、主要人物の中では最後の最後に出来上がったキャラクタの一人です」
<2>は明日9月2日配信予定!
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