【日本三大桜&日本五大桜】一度は見に行きたい美しく咲き誇る一本桜をご紹介
「日本を代表とする花は何ですか?」と聞かれて、桜をイメージする人はとても多いと思います。筆者自身も、毎年春になると美しく咲く桜を見ながらお花見をするのが好きです。
そんな日本の中でも、何千年という悠久の時を超えて咲き続ける一本桜があります。それらは「日本三大桜」や「日本五大桜」と呼ばれ、現在も保全が進められています。
そこで今回は、そんな日本を代表とする一本桜をご紹介するので、ぜひぜひ日本人なら知っておきましょう!
「日本三大桜」
日本三大桜は、「三春滝桜」「神代桜」「淡墨桜」の3つです。これらは別名で「三大巨桜」と呼ばれ、いずれも樹齢1000年を超える桜となっています。
三春滝桜
三春滝桜は福島県田村郡三春町にある桜です。樹高は12m、枝張りが東西に22m、南北は18mある巨木をしており、推定樹齢1000年を超える枝垂れ桜の巨木です。
天まで届きそうなほど大きな桜は、毎年多くの人の心を癒す存在となっています。
地元藩主からも愛された三春滝桜
三春滝桜は地元、三春藩の藩主も花見に訪れるほど美しく、古くから藩の御用木として保護されてきました。歴代三春藩主はこの桜を後世まで残すべく、その美しさを保てるよう徹底して管理させたのです。
そのおかげもあり、現在では年間30万人もの人が訪れる一大観光地としても人気があります。特に桜が開花する春には、県内外からたくさんの人が訪れるほどの桜です。
宇宙にも行った三春滝桜
2008年、三春滝桜を含む14種類の桜の種子が宇宙ステーション「きぼう」に8カ月半ほど滞在しました。
その後、無事に地球に戻ってきた三春滝桜の種子は見事に発芽を迎えたそうです。この実験により無重力状態での発育がどうなるのかなどの研究が進められ、宇宙に滞在した桜は通称”宇宙桜”と呼ばれるようになりました。
現在は岩手県釜石市に植樹されています。今後は三春滝桜の中でも宇宙桜がどう育っていくのか注目を集めています。
神代桜
神代桜(じんだいざくら)は山梨県北社市武川町にある桜です。推定樹齢は1800年~2000年とされており、樹齢だけなら日本でも最古級の桜と言えるでしょう。
存在自体が神秘と言えるほどで、樹高は13.6m、枝張りは東西に27.0m、南北へは30.6mあります。別名、山高神代ザクラとしても有名です。
ヤマトタケルが植えて日蓮が回復を願ったとされる伝説
神代桜は日本神話に出てくる英雄、ヤマトヤケルが植えた桜といわれ、鎌倉時代には日蓮が木の回復を祈願したという伝説が残っています。
数十年単位で縮小化しており、1900年代初期から中期にかけて高さや太さが小さくなっていることが確認されました。一時期は木の一部が枯れてしまうなど、存続の危機に瀕していた時期もあります。
一時期は枯れる危険性が高かった神代桜
1948年には「残り3年で枯れる」と言われ、実際に1951年には太い枝の一部が枯死したことも確認されてしまいました。それに追い打ちをかけるよう、1959年に発生した台風の影響で危機的状況に陥りました。
その後は保護対象となり、積極的に木の保全が進められ、そのおかげもあってか、2000年代初期には回復していることが確認されたそうです。
三春滝桜同様、国際宇宙ステーション「きぼう」に種子が送られ、帰還後は2粒の桜が発芽したそうです。現在は宇宙桜として注目を集め、新しい神代桜の成長が期待されています。
淡墨桜
淡墨桜(うすずみざくら)は岐阜県本巣市根尾板所にある桜です。
推定樹齢は1500年を超えるとされ、全種で300種以上あるといわれる桜の中でも名花中の名花と言われており、県内外から多くの人がこの桜を見にやってきます。
天皇が植えたとされる淡墨桜
淡墨桜は26代天皇の継体天皇が植えたとされている桜です。ただ、幹の老化が非常に激しいこともあり、近年は支え木によってその形状を保っている状態が続いています。
幹には空洞も広がりつつあるため、樹木医などによる手厚い管理によって守られている桜です。それでも樹高が16.3m、枝張りは東西26.90m、南北20.20mを誇る巨桜であり、堂々と立つその姿は人々にパワーを与えるほどの力強さがありますね。
名前の由来は花弁の色
淡墨桜の蕾は薄い桜色や白色をしていますが、散り際には淡墨桜が持つ特有の淡い墨色を帯びるのが特徴です。そのことから、淡墨桜という名前がつけられました。
「日本五大桜」
日本三大桜に2本の桜を加えて「日本五大桜」と呼ぶこともあります。ここからはその2本の一本桜についてご紹介します。
狩宿の下馬桜
狩宿の下馬桜(かりやどのげばざくら)は静岡県富士宮市にある桜です。国内最古のヤマザクラともいわれるその樹齢は推定800年となっています。
富士山とのコラボレーションを見せる狩宿の下馬ザクラ
狩宿の下馬ザクラは天気が良い日には富士山とのコントラストが美しく、同県屈指の絶景スポットとしても知られています。
また、周辺にある古き良き伝統家屋や菜の花畑も相まって、よりノスタルジックで美しい風景が楽しめます。
特に花が芽吹く春には、桜と空と山のコラボレーションが楽しめるので、ぜひ春に訪れてみてくださいね。
名前はこの地に訪れた源頼朝の逸話から
名前の由来は富士の巻狩りを行った源頼朝が、この桜に馬を繋ぎ止めていたという伝説が由来となっています。この逸話から「駒止めの桜」という別名でも呼ばれているそうです。
石戸蒲桜
石戸蒲桜(いしとかばざくら)は埼玉県北本市石戸宿にある桜です。
樹高は約12mある石戸蒲桜は東光寺の境内で毎年美しい桜を咲かせることで知られ、樹齢も推定800年となっていることから古くから多くの人々に愛されてきた桜となっています。
江戸時代から愛される石戸蒲桜
石戸蒲桜は江戸時代から愛されており、衰退と回復を繰り返してきた桜でもあります。一時は幹が4本あったそうですが、1980年ごろには幹が1本まで減ってしまいました。
また寺の境内にあったことから、御利益がある桜としても重宝され、古くから多くの参拝者を集めてきました。
名前の由来は源頼朝の弟による逸話から
名前の由来は源頼朝の弟のひとりである「源範頼(みなもとののりより)」にちなんでいるそうです。
この源範頼という人物は、兄である源頼朝に裏切りの疑念を抱かれたため伊豆国に送られ、その地で亡くなったといわれているのですが、捕まらずに逃亡したとされる話がいくつか残っています。
石戸蒲桜に関する逸話も源頼朝の追ってから逃げる際の話とされます。
石戸まで逃れてきた源範頼は、手にしていた桜でできた杖をこの地で刺してさらに逃亡を続けました。この杖はその後成長し石戸蒲桜になったといわれています。
そして源範頼が蒲冠者(かばのかじゃ)とも呼ばれていたことから、この桜を「蒲桜」と名付けたのだとか。
5本とも国の天然記念物
日本三大桜はもちろん、それを含む日本五大桜も国の天然記念物に指定されています。
1922年10月12日に国の天然記念物に指定されたのは5つの桜です。それが現在でも日本五大桜ないし日本五大桜として知られ、日本国内のみならず、海外からの観光客の心まで癒しています。
まとめ
日本が誇る花と言えば桜ですよね。そんな桜の中でも遥か昔から咲き続けている日本三大桜や日本五大桜は、いずれも国の天然記念物です。
これらは管理している人のみならず、多くの人たちの愛で守ってきたからこそ、現在私たちは観賞することができています。愛でて楽しむだけでなく、先人たちや管理している人たちに感謝しないといけませんね。
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