「日本三大稲荷」としてあげられる14社をご紹介!ところで稲荷信仰ってなに?

「日本三大稲荷」としてあげられる14社をご紹介!ところで稲荷信仰ってなに?

日本は全国各地に稲荷神社があり、熱心に稲荷信仰をしている人もいれば観光で気軽に訪れる人もいます。その中でも『日本三大稲荷』と呼ばれる神社仏閣は、稲荷信仰においても重要な聖地となっています。

ただ、その日本三大稲荷の候補となる場所は非常に多く、14社ほどあるようです。

そこで、ここでは日本三大稲荷候補となる14社をご紹介するとともに、稲荷信仰とはそもそもどういうものなのかを解説します。

日本で一番神社の多い稲荷神社

日本で一番多い神社は、どのような神社だと思いますか?

八幡様を祀る八幡宮や、天神様を祀る天満宮、天照大神を祀る神明社に皇太神社など、全国各地で見かけると思いますが、それらを差し置き、稲荷神社が日本一多いと言われています。

ここからは稲荷神社や稲荷信仰とはどういうものなのか、ご紹介します。

キツネは稲荷神社の神様ではない!

稲荷神社では主に穀物や食物の神「稲荷神」を祭神としています。

元は古代日本の豪族「秦氏」の氏神だったものが、民間にも伝わったのが現在の稲荷信仰のはじまりとされます。

その後、名前に冠する稲の字から、日本神話に登場する食物神の宇迦之御魂(うかのみたまのかみ)るなどの神々と同一視もしくは合一されるようになったことで、五穀豊穣の神として広く信仰がされるようになったとされます。

そんな稲荷神社にいるのが「稲荷大神」です。別名では「稲荷大明神」と呼んだり、親しみを込めて「お稲荷様」や「お稲荷さん」と呼ぶこともありますね。

稲荷神社にまつわる稲荷大神の眷属がキツネだとされていることから、狐とは主従関係に近い関係にあるようです。眷属という意味では家族や親戚に近い関係でもあります。

実際には狐が稲荷神社の神様ということではないので注意しましょう。当然ながら稲荷大神も狐ではないため混合してはいけませんね。

稲荷信仰とは

稲荷信仰とは稲荷神社で行われている信仰のことです。主に稲荷神を信仰するものであり、穀物の神や食物の神である稲荷神を崇めることを総じて稲荷信仰と呼びます。

稲荷神は主に五穀豊穣の神とされていましたが、時代が進むにつれ、商売繁盛に産業興隆といった仕事にまつわること、そして家内安全・交通安全・芸能上達まで様々なご利益があるとされるようになりました。

なんで稲荷神社が多いの?

稲荷信仰のはじまりは、古代日本において渡来民だった豪族、秦氏が賀茂氏から祭祀を継いだ氏神的な信仰でした。

この秦氏の勢力拡大に伴い、稲荷信仰も広まっていったと言われています。

特に京都伏見稲荷神社の勢力が大きく、神社の位で最上級を意味する「正一位」を獲得していたことでその力を広めるに至りました。

簡単に言えば「稲荷神社を始めませんか?分霊すれば正一位を名乗っても良いですよ」という形にしたことで、全国的に一気に広まったと考えられています。現在でいうと一種のフランチャイズ化によって稲荷神社の数は増え、稲荷信仰は広まっていった感じです。

ちなみに日本の神社内で稲荷神社は、主祭神として2,970社ほど。すべての分祀社を含めると32,000社ほどあると言われています。

全部で14個!?候補数が多すぎる日本三大稲荷

日本三大稲荷の候補としては全部で14社ほどあります。

候補数が多すぎてすべて詳しく紹介していると日が暮れてしまうため、それぞれ簡単にご紹介します。

全国の稲荷神社の総本社「伏見稲荷大社」

伏見稲荷大社は、京都府京都市伏見区深草にある神社です。稲荷神社の中で最も権威のある総本社として鎮座しており、全国の稲荷神社を総括する聖地でもあります。

奈良時代の708年~715年にかけて稲荷山に創建され、稲荷信仰の原点とも言えるべき場所となっています。

全国で信仰されており、五穀豊穣や商売繁盛だけではなく家内安全、諸願成就などのご利益があることでも知られている神社なので、年間数百万人もの人が訪れ、この地で祈りを捧げています。

いくつもの稲荷神社が日本三大稲荷としてあげられることがありますが、この伏見稲荷大社は必ず『日本三大稲荷』としてカウントされます。つまり、日本三大稲荷は伏見稲荷大社と2つの稲荷神社で構成されるということです。

豊川稲荷

豊川稲荷は、愛知県豊川市豊川町にある寺です。正式名称は妙厳寺であり、曹洞宗の寺として知られています。

創建されたのは1441年のことであり、それ以来稲荷信仰で広まり、一般には豊川稲荷の名で広く呼ばれていますね。

こちらは商売繁盛などに良いとされ、年間で約500万人もの参拝者が訪れる場所としても有名です。豊川稲荷は神社ではないのですが、境内には鳥居がある珍しい構造となっていて、そちらの景観を眺めるために訪れる人も少なくありません。

また、無数の狐像が置かれていることでも知られ、観光でも人気がある神社となっています。

笠間稲荷神社

笠間稲荷神社は、茨城県笠間市にある神社です。別名として胡桃下稲荷や紋三郎稲荷と呼ばれることもあり、五穀豊穣や商売繁盛の神として古くから愛されています。地元の人々によって主に信仰の対象とされてきた由緒ある神社です。

創建されたのは651年のことで、現在では日本各地から年間約300万人の参拝者が訪れるとも言われています。またその規模は大きく、正月の三が日だけで約80万人以上の人がやってくることもあるのだとか。

稲荷神社の中でも多大な影響力を持つ聖地と言えるため、稲荷信仰においても重要な拠点となっています。

祐徳稲荷神社

祐徳稲荷神社は、佐賀県鹿島市にある神社です。別名では鎮西日光と呼ばれ、その風光明媚な景色を見るために訪れる人も少なくありません。実際には祈るために訪れるというよりも観光で訪れる人が多いです。

1687年に創建されたもので、年間約300万人の参拝者が訪れることでも知られ、衣食住など生活全般の神として崇められています。

また、その他にも商売繁盛や家運繁栄などでも信仰されており、日本四大稲荷や日本五大稲荷や日本六大稲荷にも数えられているのだとか。

ここまでの4つが日本三大稲荷の最有力候補

上記、4つの神社仏閣が一般的に『日本三大稲荷』といった時にあげられることの多い場所です。

またそれとは別に日本三大稲荷候補となる神社があるので、こちらもご紹介します。

竹駒神社

竹駒神社は、宮城県岩沼市にある神社です。

創建されたのは842年のことで、平安時代に栄えた奥州藤原氏や仙台藩藩主として知られる伊達氏に重視されていました。

最上稲荷山妙教寺

最上稲荷山妙教寺は、岡山県岡山市にある寺です。一般的には最上稲荷と呼ばれ、日蓮宗の寺として知られています。

752年に創建され、第二次世界大戦後は日蓮宗から独立していましたが、2009年に日蓮宗に復帰しています。

志和稲荷神社

志和稲荷神社は、岩手県紫波郡紫波町にある神社です。

美しい山の麓に鎮座している神社であり、別の場所には志和古稲荷神社もあることで知られています。

1057年に創建されたこの神社の境内には、樹齢1000年を超える杉の木があり、稲荷山大杉としてこの神社の御神木となっています。

箭弓稲荷神社

箭弓稲荷神社(やきゅういなりじんじゃ)は、埼玉県東松山市にある神社です。

創建は712年と古く、最初は「野久稲荷神社(やきゅういなりじんじゃ)」と号していました。現在の名前、箭弓とは平安時代の戦で使われる弓矢のことです。

この改名は「平忠常の乱」と後年に呼ばれるようになる武士の反乱がおきた際、鎮圧を命じられた源頼信が「野久」という神社の名前が箭弓に通じるとして戦勝祈願のために訪れたのが起源とされています。

鼻顔稲荷神社

鼻顔稲荷神社は、長野県佐久市岩村田にある神社です。

永禄時代に創建されたもので五穀豊穣だけでなく、天下泰平や家内安全、商売繁盛、交通安全、進学成就というご利益があることで知られています。

境内には双生の樹があり、縁結びの名所としても知られているので多くの人たちが縁を求めてやってきます。

千代保稲荷神社

千代保稲荷神社は、岐阜県海津市平田町にある神社です。

平安時代に創建されたとても古い神社で、地元の人からは”おちょぼさん”という愛称で親しまれているそうです。毎月、月末の夜から朝にかけて開催される月並祭りが有名となっています。

瓢箪山稲荷神社

瓢箪山稲荷神社は、大阪府東大阪市瓢箪山町にある神社です。

1583年に創建され、豊臣秀吉が大阪城を建てる際に鎮護真として伏見城から”ふくべ稲荷”を勧請したことが由来なっているのだとか。比較的新しいものの古き良き神社の様式を守っている神社となっています。

源九郎稲荷神社

源九郎稲荷神社は、奈良県大和郡山市にある神社です。

創建された時期は不明ですが、源九郎狐や綿帽子を買った狐の伝説で知られています。

地元の人からは”源九郎さん”という愛称で親しまれており、主に五穀豊穣や商売繁盛のご利益があるのだとか。4月には白い狐面をつけた子供たちが練り歩く源九郎稲荷春季大祭が開催されるなど、イベントも豊富です。

太皷谷稲成神社

太鼓谷稲成神社は、島根県鹿足郡津和野町にある神社です。

1773年創建と比較的新しい神社であり、地元では”津和野のおいなりさん”と呼ばれて親しまれています。全国の稲荷神社の中で、唯一「稲成」という字を使っていることでも有名です。

草戸稲荷神社

草戸稲荷神社は、広島県福山市草戸町にある神社です。

京都伏見稲荷の系列として知られ、同市においては最も参拝者が多い神社として毎年約40万人ほどが訪れる規模となっています。地元の稲荷信仰にとって欠かせない神社の1つです。

まとめ

日本三大稲荷は厳密な決まりがあるわけではなく、全国津々浦々にある稲荷神社がその候補となります。特に候補にあげられる14社においては、稲荷信仰においてどれも優劣のつけられないほど重要な立ち位置だと言えるでしょう。

なんせ稲荷神社は全国に約3万社もあるので、地元にもないか探してみてはいかがでしょうか。

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