落雷事故で死亡する確率と宝くじで4億円当たる確率 どっちが高い?
大気が不安定な状態が続く日本列島の各地で、落雷事故が相次いでいる。18日には、大阪でコンサートの開場を待っていた女性2人が死亡し8名が軽傷、槍ヶ岳では1名が死亡、大津市ではランニング中に落雷を受けた中学生が意識不明の重体となっている。大阪の落雷は甲子園球場が直撃を受け、凄まじい落雷映像が中継されたため、日本中に衝撃を与えた。
近年、ゲリラ豪雨が増えるとともに落雷件数も上昇傾向にあるが、では、落雷人身事故は年間どのくらい発生しているのだろうか。警察庁が毎年発表している『警察白書』を元に調べてみた。
2000年から2009年までの10年間で、国内の落雷事故による死傷者数は148人。うち死亡(行方不明)者数は30人。年平均すると死者はわずか3人にしかならないことがわかった。ちなみに、同じ期間の航空機事故の死者が年平均11.1人、交通事故の死者は5000人前後で推移していることを考えれば、落雷事故は実はそれほど怖がらなくてもいいと言えそうだ。当たる確率で言うならば、今年のサマージャンボ宝くじ1等4億円の当選確率(1千万分の1)のほうがずっと高い。
少し違うのは、宝くじに当たるかどうかは運任せだが、落雷の被害に遭わないための方法は確立されているということだ。では、落雷事故を防ぐにはどうすればいいのだろうか。
もっとも確実なのは、ゴロゴロと雷鳴が聞こえたらすぐに建物や車の中に避難すること。ゴルフ場、キャンプ場などの比較的開けた場所で雷に遭遇してしまった時は、高い木の下に避難する。この時、木の幹に近づきすぎてはいけない。木を直撃した雷が幹から周囲に放電する“側撃雷”に巻き込まれる恐れがあるためだ。
周囲に建物も高い木もない絶望的な状況に陥ってしまっても諦めてはいけない。傘はささず、身を屈めて姿勢を低くすることで、わずかながら生存確率を高めることができる。なお、以前よく言われていた「腕時計やネックレス、ベルトのバックルなどの金属製品を外す」という対処法は、今日ではほとんど効果がないことがわかっている。
「神鳴り」を語源とし、腹に響く轟音と目もくらむ稲光を伴う雷は、古くから人智の及ばない自然災害の中でも特に怖れられてきた。とかく日本人は自然災害を「神の怒り」「天罰」などと甘んじて受け止めてしまう傾向があるが、21世紀になった今でも「神の怒り」で済ませてしまうのはあまりにも進歩がなさすぎる。現代人なら、正しい知識を仕入れ、“正しく怖がる”姿勢を身に付けたい。落雷は防げないが、落雷事故は防げるのだ。
画像:flicker from Yahoo! より
http://www.flickr.com/photos/rydland4/5098391343/
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