同僚から仲間外れにされているかも…?この居心地の悪さ、どう解消したらいい?~精神科医Tomy「職場の人間関係ヒトコト言わせてッ」
職場での悩みの多くは「人間関係」だと言われています。仕事自体には特に不満はないのに、職場の人間関係で悩む人へ、ゲイの精神科医Tomyさんに心の安定を保つ術を教えていただきます。
今回のテーマは、「仲間外れ」。同僚から仲間外れにされているかもと気になって、職場で居心地悪く、ひとりモヤモヤしている人、それがもしアナタだったら。どうすれば同僚とうまくなじめるのか、なじめなかったらどう対処すればいいのか、アドバイスしていただきましょう。
プロフィール
Tomy
ゲイで精神科医でコラムニスト1978年生まれ。某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後は精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。精神科病院勤務などを経て、現在はこころのクリニックに勤務。ゲイとしてのアイデンティティに悩み、乗り越えた自らの経験を生かし、オネエ口調でアドバイスをするツイッターが話題となっている。
2020年2月に著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)を発売。
「仲間外れ」と「居心地の悪さ」は分けて考えて
今日のお題は「仲間外れ」ね。
仲間外れって、思い出せば幼稚園でも、小学校でも、中学校でも、高校でも、大学でもあったわよね。「大人になったらなくなるものなのかな」と思ったら、職場でも普通に存在するわよね。きっと普遍的な問題なんでしょうね。
「職場の仲間外れ」といえば、最近話題の「おひとり様ランチ」問題なんかもそう。集団でランチをとる職場なのに、なぜか一人だけ誘われない。いったんそういう雰囲気ができちゃうと、なかなか自分から言い出しにくい。気にしないでおこうと思っても、ボディブローのようにダメージが来るわよね。
「仲間外れ」の一番の問題点は、「本当に仲間外れにされているのか」「誰が仲間外れにしているのか」が、わかりづらいことなのよ。面と向かって暴言吐かれたのならまだ対応もできる。
でも、なんとなく仲間外れの状態だと、勇気を出して「私、仲間外れにされてますか?」と周囲に聞いたとしても「そんなことないよ」って言われたらどうしようもない。仲間外れの首謀者がはっきりしなければ、そもそも誰に聞けばいいのかわからない。いじめの中でも陰湿な部類だと思うわ。
だから、タイトルには並べたけれど、「居心地の悪さ」と「仲間外れ」は別次元の問題として考えるのがいいと思うわ。「居心地の悪さ」は自分の工夫で対応できるけど、「仲間外れ」まで行ってしまったらいじめとして対応すべきだわ。
(1)居心地の良さには、人間関係の「定義」と「期待」のバランスが大事
では、「居心地の悪さ」について考えてみましょうか。
「居心地」を良く保つためには、人間関係の「定義」と「期待」のバランスをとることが大切よ。どういうことか解説してみるわね。
まず「定義」。人は知らず知らずのうちに相手との関係を定義しちゃっているの。「あの子は親友だな」とか「この人は顔見知り」とか「あの人は友達以上恋人未満」とかね(笑)。
そして、その定義に従って、相手の言動に「期待」しちゃっているのよ。
例えば「あの子は親友だから、こんな相談しても嫌がらないだろうな」「この人は顔見知りだから、こんなお願いをするのはやめておこう」とかね。
で、相手がその期待に沿っている、あるいは沿ってくれるだろうという安心感があるうちは「居心地の良さ」が保たれるのよ。でも一旦そのバランスが壊れると、相手への不信感や攻撃的な気持ち、悲しい気持ちを抱いてしまう。これが「居心地の悪さ」を作り出していく原因なのよ。
(2)「職場のあの人はどういう存在か」を最初に定義して
(1)の考え方を元に、「居心地の良さを保つ」方法を考えてみましょうか。
まず相手の「定義」を適切に行うことが大前提よ。今回、職場について考えているので、これは簡単。「同僚」か「上司」、あるいは「部下」、よね。
そしてその定義に適切な「期待」をするの。基本は、同僚に対してなら「仕事がスムーズに、快適に行える」。上司なら「管理や指導、指示をしてくれる」、部下なら「指導や指示に従い、わからないことは聞いてくれる」ね。
当たり前のことだと思うでしょ?
でも職場の「居心地」が悪くなりやすい人は、実はこの定義を間違えやすいの。同僚なのに「友人」や「親友」、「親」、「尊敬できる人」などの定義を持ち込んでしまうのよ。
するとどうなるかというと、相手に過剰な、ずれた「期待」をしてしまう。そもそも定義から間違えているので、この期待は裏切られやすくなる。期待に沿わない言動が増えると、ぎくしゃくしてきてしまうのよ。
だから、最初に「職場の人間はどういう存在か」を意識して定義することが大切なの。そして、その定義の中だけで相手に期待する。こうすれば居心地の悪さは起きにくいのよ。
距離感を保つことも大事
ただ、ここで気をつけるべきポイントがあるの。
それは、定義を間違えるのは自分だけとは限らない、ということ。同僚や、上司や、部下がアナタの定義を間違えることだってある。それも予防していく必要があるわ。
具体的に、どうしていくべきか見ていきましょう。
まず、職場で最低限期待されることは間違いなくやっておく。そんなに大げさなことではないわ。あいさつと、笑顔と、報告・連絡・相談のいわゆる「ほう・れん・そう」よね。
そして、最初からべたべたしすぎないことが大切。結果的に友達になっていく可能性があっても、最初からその距離感で近づいてはダメよ。プライベートはプライベートで、オフィシャルはオフィシャルで、このけじめはしっかり作っておく。
もし相手がベタベタしてきそうだったら、適切な距離感を保つようにするの。「一緒に二人で飲もう」「遊びに行こう」と言われても最初は同意しなくていいわ。まず、同僚(部下・上司)としてやっていける人かどうかをちゃんと見ること。そして、自分もあくまで「良き同僚(部下・上司)」として振る舞える人であることよ。
ここまでしっかりやっても、二人以上いればやはり人間関係のトラブルは起きうるわ。それで職場になじめなくなりそうになったら、考え方を変えてみましょう。この場合は「期待」に手を加えてあげるのよ。
具体的にいうと、なじめないときは「なじめなくても構わない」と開き直ること。最低限、仕事ができる環境ならそれでいい、ってね。
ただし、「仲間外れにされる」までいってしまったら、開き直れるような問題じゃなくなるわ。上司に相談して、しっかり対応してもらいましょう。人を責めるのではなく、事実を伝え、業務ができないことへの対策を求めるのがいいわね。基本的に「仕事ができる環境なら、なれ合いになる必要はない」と思うのがいいわ。
「居心地の悪さ」を回避する方法まとめ
まとめてみるわ。
「居心地の悪さ」を回避するには、
◆職場に入った段階から、周囲の人たちに対する「定義」と「期待」のバランスを適切に保つこと。「相手は職場の中で、円滑に仕事ができるのが最適な仲間である」と自覚し、その範疇で動くこと。
◆それ以上の人間関係を望まれても、相手をよく知るまでは、「良き職場の仲間」という前提を崩さず、慎重に距離感をつかむこと。
◆仕事ができないほど拗れた時は、「職場の問題」として上司や会社の上層部に相談すること。
基本的には、「仕事ができる環境なら、馴れ合いになる必要はない」と思うようにしましょう。
参考になったかしら? プロフィールイラスト:カツヤマケイコ
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