『ペルソナ5 スクランブル』レビュー:多幸感がスゴい!これぞ続編!!これぞエンターテインメント!!!

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怪盗団との日々再び!彼らが乗り越えるべき敵とは?

『ペルソナ』シリーズにとってバトルが重要なのはもちろんだが、それ以上に重要なのはストーリーだろう。『ペルソナ5』をプレイしたことがあれば、怪盗団との楽しい日々、権力を有する巨悪へ抗った日々が、心に強く焼き付いているハズ。『P5S』はそれを超えないまでも、続編としてふさわしい時間を感じさせてくれるのか…?

余談だが、筆者はゲームのシナリオライターとして活動することもある。続編のストーリーを考えるのは正直、非常に難しい。「えっ? 既にキャラクターが存在するんだから、カンタンじゃない?」と思う人もいるかもしれない。しかし、キャラクターありきでストーリーが作れるかというと、そうではない。というのも、基本的にストーリーは精神的な成長を描くものだからだ。とりわけ『ペルソナ』シリーズのストーリーは登場人物の精神的な成長に重きが置かれている。

たとえば『ペルソナ5』であれば、主人公はとある事件を目にし、そこで正義感を発揮したばかりに保護観察の身となり、退学処分を受ける。他の主人公たちもそれぞれ、主人公と同様に理不尽な状況に置かれている。たいていの人は、こうした理不尽な状況に泣き寝入りをしてしまうが、彼らは抗う。そしてその過程を通して成長をしていく。ただ抗えばいいのではない。世の中を正しい状態へと直すためにはどうすればいいのかを成長によって学んでいくのだ。

本作は『ペルソナ5』の後日談に当たる。つまり、本作の主人公たちは理不尽を乗り越え、すでに精神的な成長を遂げたている。そのため、ただ新しい敵を出すだけでは、そこに精神的な成長はない。ただ成長したキャラクターが敵を倒すだけだ。ファンの中にはそれでもいいという人もいるだろう。しかし、『ペルソナ5』のストーリーに近い満足感が得られるかと言えばそうではない。既存のキャラクターを出すだけではストーリーが作れないのはこのためだ。

この難しい課題に本作の出した答えが、ジェイルという存在に集約されている。ジェイルは、前作のダンジョンの舞台となったパレスに相当する存在。パレス=王宮に対して、ジェイル=牢獄。このネーミングの違いが、本作のストーリーを象徴している。

『ペルソナ5』において、主人公たちが抗う理不尽の対象は、教師、芸術家、社長、政治家などの人々。つまり、理不尽は、基本的に社会的な地位・権力・金などの力を有する者達からもたらされていた。自らの勝ち取った力によって現実認識が歪んでしまった者たちにはパレス=王宮という舞台がふさわしい。一方、本作でジェイルの王として君臨する者たちは、自ら勝ち取った力ではなく、異世界の力を利用して社会的な成功を収めている。

これからプレイする人のためネタバレは避けるが、たとえば最初のジェイルの王・柊アリスは、とあるトラウマを抱えている。それゆえに、成功を目指して人一倍努力した。しかし、その努力をあざ笑うかのような理不尽に遭遇してしまい、自力で乗り越える選択ではなく、ジェイルの力を利用して歪んでしまう。

生きていく上で誰しも理不尽は訪れるが、全員がそれを乗り越えられるわけではない。『ペルソナ5』の主人公たちは精神的に成長し、正しく理不尽を乗り越えることができたが、理不尽に屈して、認識を歪めてしまう者もいる。理不尽に囚われてしまった状態だからこそ、本作の舞台はジェイル=牢獄なのだろう。

理不尽に抗おうとしながらも負けてしまったジェイルの王たち。この意味で、彼らは前作の主人公たちのもう一つの姿、影のような存在といえる。そう、『ペルソナ』シリーズ通しての敵・シャドウ。だからこそ、理不尽に抗って、打ち勝つことで成長した主人公たちは成長過程にある(=一度は屈してしまった)人間を正しく導くという役割を本作で担っていくのだ。

この意味でも『P5S』は、『ペルソナ5』の正当な続編だ。それも極めて真摯に作られている。「人気キャラクターをもう一回出して番外編的ストーリーを作ればいいじゃん」という安易な作り方には決してなっていない。

もちろん、『ペルソナ5』の怪盗団にもう一度会える!というのはファンとして非常に嬉しい。怪盗団メンバーのセリフの応酬を見ているだけで、いつもの場所に帰ってきた気分になれる。なお、本作の日常パートは『ペルソナ5』と違い、コープを深めていく要素がなく、カレンダーもストーリー上強制的に進んでいく。つまり自由度は若干少なくなっているが、それでも日常パート用のシナリオはしっかり用意されているので、安心してもらいたい。

多幸感がスゴい!これぞ『ペルソナ』!コイツを逃す手はないぜ

日常パートでは、様々なキャラクターと信頼関係を築き、ダンジョンパートでは探索とペルソナ収集、育成を楽しむ。そして、ストーリーを通して精神的な成長も体験できる。『ペルソナ3』から続くこのシステムが与えてくれるのは、圧倒的な多幸感だ。とにかくプレイしている間が楽しい! まだラストまでプレイしたわけではないが、少なくとも今のところ、本作『P5S』もまたシリーズの持つ多幸感を同じように感じさせてくれる「プレイしてよかった」と心から言える作品だ。だからこそ『ペルソナ』シリーズの1ファンとしては「コイツを逃す手はないぜ?」と強く言っておきたい。

ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ | 公式サイト:
https://p5s.jp/ [リンク]

(執筆者: ガジェット通信ゲーム班)

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