原発20キロ圏内、楢葉の警戒区域解除初日に福島県警のおまわりさんと立ち話した
福島県双葉郡楢葉町が警戒区域解除となった初日の8月10日。記者は午前3時頃から楢葉町を南北に貫く幹線道路である国道6号線とその周辺を回っていたが、このひと月ほどで変化したのは、国道沿いの街灯がつくようになったことと、電柱がなぎ倒された場所に新しい電柱がたくさん作られていたことだ。
比較のために今年3月の写真と8月10日の写真を並べてみる。電柱がなかった場所に新たに電柱が立っているのがわかるだろうか。
町に明かりをつけるのは、盗難対策ということもあるのだろうが、これまで日が暮れると完全な闇で怖いぐらいだったので、ほっとした。灯はありがたいものだと思った。
夜があけてから新しい検問所を見学し、津波でほとんどの家屋が流された山田浜地区に車を止め、沿岸に建つ下水処理施設を見学しようと歩いていると、二人組の警察官とすれ違った。
警戒区域解除後ということもあるのか、身分確認されることもなく友好的な立ち話となった。
福島県警の若手のおまわりさん二人は、長い物干し竿のような棒を持っていた。これまで必ずつけているはずの、積算線量計も見当たらず、マスクもしていない。もちろん防護服も着ていない。ずいぶん軽装だ。
ーー今日は何のお仕事ですか?
「今日は捜索です。まだ毎日やってるんですよ」
長い竿は、泥や瓦礫の下をつついて確認をしたり、足場のわるい場所で杖代わりに使うのだそうだ。福島県内の東日本大震災の行方不明者は8日現在で211人となっている。
ーー最後の一人が見つかるまで捜索するんですか?
「そうですね。今も、台風のあととか波が荒れると、アルバムとか、がれきが打上ってくるから、同じところを何度も捜索するんですよ」
笑顔で答えてくれた。
ーー大変ですね。それにしても、軽装ですよね。マスクとかしないんですか?
「うーん、さすがに1年半もたつと慣れちゃって、それに防護服着ても暑いですしね」
ーー防護服もマスクもしなくてもいいというのは上からの指導ですか?
「マスクに関しては、しなくていい、とはいわれないですけど、防護服は着なくてもいいということになりました。今は原発のすぐそばを担当している警察官でも、防護服は着ていないですよ」
ーー勤務時間は?
「24時間交代です」
ーー大変ですね! ところで検問の場所が富岡町との境界に移りましたね。これまでは0.5μSv/hぐらいの場所で一日立って検問でしたけど、これからは、線量が高いところで立ってないといけないですよね。
「確か新しい検問のあたりは1.5μぐらいあったと思います」
検問は福島県警ではなく、よその県警の応援で回っている。連日検問に立つおまわりさんの健康を考えれば、検問は元の場所のままの方がよかったのかもしれない。
――暑いので、からだ気をつけてくださいね。ご苦労様です!
※「原発20キロ圏内のリアル」は、福島第一原発警戒区域20キロメートル圏内の現在の姿を写真とともにお届けする連載企画です。
連載「原発20キロ圏内のリアル」で福島第一原発警戒区域20キロメートル圏内の現在の姿を写真とともにお届けします。
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