禁煙すると太るは本当だった

この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

禁煙すると太るは本当だった

禁煙すると太るとはよく言われますが、実際どのくらい太るものなのでしょう。

フランスとイギリスの共同研究チームは、メタ解析という手法を用いて、これまでに報告されている62の研究結果を再解析し、禁煙に成功した人の1年間の体重変化を追跡しました。すると禁煙1ヶ月後の平均体重増加は、1.1kg、2ヶ月後は、2.3kg、3ヵ月後は、2.9kg、半年後は、4.2kg、そして1年後には、4.7kgにもなったそうです。この数字は、これまで考えられていた禁煙1年後の予想平均体重増加量である2.9kgをはるかに上回り、さらに、多くの女性喫煙者が禁煙後に許容できる最大の体重増加量として報告されている2.3kgをも上回る結果となりました。

ただし、この結果には個人差によるばらつきも多く、禁煙成功者の16%は、逆に体重が減少したこと、禁煙1年後に10kg以上太った人は禁煙成功者の13%しかいなかったことなどを報告しています*1（全文購読無料）。この体重増加に、ニコチンパッドなどのタバコ代替品の使用は影響を与えなかったそうです。

確かに、これまで禁煙による体重増加は、過小評価されていたのかもしれませんが、太っているだけでは必ずしも健康リスクがあるわけではないという最近の報告*2（全文購読無料）もあり、長い目で見れば禁煙した方が健康的なのは明らかなのですけどね。

出典：*1：Weight gain in smokers after quitting cigarettes: meta-analysis　BMJ (Published 10 July 2012)
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e4439

出典：*2：Body Mass Index, Diabetes, Hypertension, and Short-Term Mortality: A Population-Based Observational Study, 2000–2006　JABFM
http://www.jabfm.org/content/25/4/422

執筆： この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。