MITとGoogleが量子コンピュータの演算を効率的に検証する技術!
Image: Mihika Prabhu汎用的な量子コンピュータの登場はまだ先だが、現在主流の「NISQ」(ノイズがあり、スケールしない量子コンピュータ)でも古典的コンピュータで解くのが難しい問題を解くことができる。
ただ、NISQの操作とタスクが複雑なことから、演算の正確性を検証することが難しい。
そこでMITやGoogleの研究者らは、量子演算が正確に実行されたことを検証する技術を開発した。ニューラルネットワークからヒントを得て構築した「量子ニューラルネットワーク(QNN)」は、膨大な出力量子状態を分割して検証する。
・レイヤーわけすることで効率的に検証
量子演算で出力される光子は0と1の状態を同時に持つ「重ね合わせ状態」。演算結果を観測したときの量子状態はランダムに表れることから、計画通りに実行されたかを膨大なサンプリングで調べる必要がある。
その際、量子回路によって生成された出力量子状態から光子の入力までをトレースバックし、実行された操作が設計したものと一致するかどうかを見る。
今回開発された手法では、出力量子状態を分割することで効率的に検証が進められるという。
・ボソンサンプリングの検証に成功
研究者らは、QNNを実行するために170以上の制御パラメーターを備えたNISQチップを構築。2個の光子がチップに入力されると、光子の経路を変換する変換器を通って互いに干渉する。これにより、ランダムな量子状態が生成され、最終的な出力が外部光子検出器によって観測される。
観測結果がQNNに送信されると、まず最初のレイヤーで、スクランブルにて情報が拡散したなかから単一光子のを特定。どういった量子回路を経れば入力状態になるかを解読するとのこと。
レイヤーごとに同様の計算を実行し、すべての光子でスクランブルを解読するまで続ける。結果が、設計した量子回路と正確に一致すればOKだ。
一般的に量子優位性を実証するために使用される「ボソンサンプリング(光子の入力から特定の出力確率を計算)」と呼ばれる演算タスクを実行し、2つの光子での検証を効率的に完了させたとのこと。
今後量子コンピュータの開発が進むにつれて、検証を正確で効率的に行うことがより重要になるだろう。
How to verify that quantum chips are computing correctly/ MIT News
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