あなたのおうちは何宗ですか?
ようやく僕が住む関西でもタモリ倶楽部「歌い継がれて幾千年 最新 お経ヒットチャート」の回が放送されました。撮影から4ヶ月、関東での放送から3ヶ月あまりたっておりましたので過去の自分の読経姿に赤面しながらも楽しく視聴させて頂きました。
浄土宗名物の裏打ちとご紹介頂きましたが僕にとってはあまりにも普通の作法過ぎて皆さんが驚かれる様子が逆に新鮮でした。ちなみに放送では説明が流れませんでしたがこの裏打ちには理由があります。せっかく読経しているお経が鳴り物で聞こえなくなることを防ぐために声に出す文字と文字のあいだに木魚を叩くのです。そう、まさにユーザー目線での作法なんです。
さて、この「歌い継がれて幾千年 最新 お経ヒットチャート」という企画。お話を頂いた時はタモリさんやみうらじゅんさんに会えるのか!とミーハー心満開でおりました。しかし実際に現場に入り、各宗派のお経を聞いてみますとその多様性に驚くばかりでした。同じお経を読む浄土系でも節や作法が違います。タモリさんやみうらじゅんさんのお経やお坊さんに対するツッコミも一般人視点にたったコメントが秀逸で、改めて我々お坊さんは特殊な生き方をしている存在なんだなと感じました。
そして、何より一番興味深かったことは、この放送を見ながら眺めていたTwitterやFacebookでの実況です。
「あの般若心経が5位かよ!」「裏打ちw」「このリズム感はんぱねぇ」
「やっぱお坊さんの声量すげ〜なぁ」「うちの法事でこのお経聞いたことあるかも!?」
「こうして聞いてみるとお経っていいよね」
「そういえば、うち何宗だっけ…」
同年代の僕の友人知人もそうですが、普段は自分の家が何宗なのかなんて気にしませんよね?どこのお寺のどんなお坊さんが法事をしてくれているのか?もしかしたらお墓がどこにあるのか?知らない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
「あなたのおうちは何宗ですか?」
いつか必ずやってくる死に対してできることの一つとして自分のおうちの宗派を確認してみるのはいかがでしょうか?どうしてその宗派になったのか?その宗派はどのような教えなのか?(実は仏教じゃなかった!なんていう大発見があるかもしれません。)
家族のみんなはどう思っているのか?仮にご自身のお父さんやお母さんのお葬式をするとして、その宗派やお寺さんでいいのか?考えてみるといろいろな疑問が湧いてくると思います。
現在、お葬式の90%が仏式で行われているそうです。お葬式は年々小規模になり、お坊さんなしのお別れ会や読経なしの直葬という今までになかった現象も増えてきているそうです。死は突然訪れるものであり、なかなかお葬式の準備を生前に余裕を持っておこなうことは難しいかもしれません。しかし、人生の最後をどのように設計するか、そのような大切な場面でどのような教えにもとづいて送られるのか、とても大切なことだと思います。
そのようなことを考えるキッカケにこのタモリ倶楽部の企画がなったとしたら何より嬉しいです。
まもなくお盆です。是非皆さんご実家のお仏壇やお墓にお参りされ、おうちの宗派を確認してみてくださいね。
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。