週刊少年ジャンプのカラー原稿について

週刊少年ジャンプのカラー原稿について

この記事はpsychobindさんのブログ『倩』からご寄稿いただきました。

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週刊少年ジャンプのカラー原稿について

先に断っておきます。
この記事を読み終えた時、あなたは
「だからどうした」
と思うことでしょう。

ジャンプの巻頭カラーやセンターカラーについて思うことをつらつらと。

【掲載順への影響】

ジャンプの掲載順についてはいろいろな噂がまことしやかにささやかれておりますが、その中の一つに
「カラーの前後の回は掲載順が落ちる」
というものがあります。

例えば100話記念でカラーをもらった作品があったとして、そのカラー回の前後回である99話や101話は掲載順が妙に低くなるというものです。

なにゆえこんな現象が起きるのかなと考えてみた次第。

まず、ジャンプ作品の掲載順が落ちる理由としては、アンケート人気が低い、というものの他に「原稿の入稿遅れ」というのがあります。
尾田先生の巻末コメで証明済み。

カラーの前後回で掲載順が落ちる理由として最も単純なのは、単にカラー作業のせいで原稿執筆が遅れた、というものでしょう。

カラーは色を塗る分手間がかかるということの他、「モノクロ原稿よりも〆切が早い」ために作業への負担が大きいと考えられます。

〆切の早さについてはバクマン。から読み取ることができます。
バクマン。で「PCPのカラー扉に仕掛けを施そう」ってやってた回で、亜城木はカラー扉の原稿のみを先に服部さんに渡しています。
つまりカラー関係の〆切は原稿よりも早いってことです。

するとどうなるか。
前述したような「100話でカラーを貰った作品」を例にすると、その作業スケジュールは以下のようになると予想できます。

作業スケジュール1

https://px1img.getnews.jp/img/archives/201204071341561ce.jpg

100話のカラーは100話のモノクロ原稿よりも〆切が早いため、どうしても99話の原稿と同時並行に作業を進める必要があります。
故に99話の原稿作業が圧迫され、完成が遅れて入稿が遅くなり、結果として99話の掲載順にまで影響を及ぼすというわけです。

また、99話の作業スケジュールが遅れると、100話以降の原稿にも影響を及ぼしてしまうでしょう。

例えば、カラーがなければ下図の上半分のようなスケジュールで作業ができていたものとします。

作業スケジュール2

https://px1img.getnews.jp/img/archives/201204071341551de.jpg

ここにカラー作業が加わることで99話、100話のモノクロ原稿の作業が圧迫され、スケジュールが後ろにずれ込みます。
すると、101話の作業も余裕がなくなってきて、結局99話と101話という「カラー回の前後」で入稿遅れが発生するという事態になっているのではないでしょうか。

黒子のバスケとか、巻頭カラーの次の回で一気に巻末近くまで落ちていたことがありましたが、カラー作業で圧迫されたスケジュールを元に戻せていないから、なんじゃないですかねと。

【巻頭カラーの「カラー原稿」】

昔のジャンプでは、巻頭カラーといえば「カラー原稿1P」と「見開きのカラー扉絵2P」の合計3Pのカラーがあるのが普通でした。

ところが今は、「カラー扉絵2P」のみでカラー原稿は描かないという作品が増えてきました。ONE PIECEとか。

これもなんでなのかなと考えてみた次第。

前述した「カラーは〆切が早い」というのから、カラー原稿がなくなりつつある現状についてなんとなく答えは見えてくる気がします。

巻頭カラーの場合、カラー3Pに加えて下手すると表紙まで描く必要が出てきますから、2週以上前からカラー作業に取り掛からねばならないこともあるでしょう。

例えば100話で巻頭カラーを貰った作品の場合、下図のように98話かそれよりも前からカラー作業を進めておかないとならんかもしれません。

作業スケジュール3

https://px1img.getnews.jp/img/archives/20120407140554d50.jpg

この場合、原稿遅れとはまた別の問題が出てきます。それは
「98話を描きながら100話冒頭(カラー原稿)を描かなきゃならない」
ということです。

つまり、100話の巻頭カラーでカラー原稿を描こうと思ったら、99話がまだ影も形もないころから、100話の冒頭だけは先に決めておかなきゃならんというわけです。

各話が独立している1話完結型の作品や、作画と原作が分かれていて作業に余裕がある作品ならまだしも、1人で描いてるストーリー系作品はかなりやりにくいでしょうこれ。

例えば、99話を描くときに「やっぱり話の流れを変えたい」と思ったとしても、100話の冒頭がすでに出来上がっているのなら路線変更できませんからね。

そもそも99話に取り掛かっていないのだから100話の冒頭がどうなるかなんて決められない、という作家さんもいるでしょう。

だから最近の巻頭カラーでは、扉絵だけでカラー原稿がなかったり、あるいは「登場人物が人気投票の告知をする」みたいな番外編的内容をカラー原稿で描いたりする作品が多いのではないかと。
番外編なら話の辻褄に関係なく描くことができますから。

そんなこんなで最近巻頭カラーのカラー原稿が少なくなった理由はこうなんじゃないかなと。

18号のめだかと黒子は両方ともカラー原稿あったけど、その前の14~17号は
どれもカラー原稿無し、または番外編でしたからねえ。

もちろんカラー原稿もやってやれないことはないんでしょうが、描かなくていいなら描きたくない作家も多いんじゃないでしょうか。

自分はPSYREN好きでしたが、作者が遅筆な上にストーリー漫画なのでこれほど巻頭貰いにくい作品もなかったんだなーと改めて思う。

というわけでこの記事は終いです。
特に結論めいたものはなく。

だから言っておいたでしょう。
「だからどうした」と。

執筆: この記事はpsychobindさんのブログ『倩』からご寄稿いただきました。

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