ジンバブエ一周、2500kmの旅。

Tokyo Life

この記事はkenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

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ジンバブエ一周、2500kmの旅。

南部アフリカの中堅国、ジンバブエ。
2009年まで続いた天文学的ハイパーインフレの印象が未だに根強く、ムガベ大統領の独裁政権が続く国としても悪名高い国ですが、本来は豊かな自然に恵まれ、穏やかな人々が暮らす魅力的な国です。かつては英国の南部アフリカ開拓の要衝、南ローデシアとして知られ、英国系を中心にヨーロッパ系の人々も未だに暮らしていて、植民地時代の名残も留めています。ザンビアとの国境には世界三大瀑布(ばくふ)のひとつとして知られるヴィクトリア・フォールズを擁し、欧米、また日本からも数多くの観光客が訪れています。
2012年6月、そんなジンバブエ(+ちょっとだけボツワナ)を、自分で車を運転して一周してみました。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

首都ハラレを出発してグレートジンバブエ遺跡(UNESCO世界遺産)で2泊、ジンバブエ第2の街ブラワヨで1泊してカミ遺跡(UNESCO世界遺産)を見物。ワンゲ国立公園の中のキャンプで2泊し、ヴィクトリア・フォールズ(UNESCO世界遺産)で2泊。その間に国境を越えてボツワナ側のチョベ国立公園に日帰りのサファリ旅行。ブラワヨに戻ってマトボ遺跡(これもUNESCO世界遺産)にあるキャンプで1泊して、ハラレまで。計8泊9日、走行距離は2500kmを超えました。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

「ジンバブエ」の国名の由来にもなっているグレートジンバブエ遺跡。11世紀〜15世紀頃に栄えたサブサハラ最大の都市の遺跡です。最盛期には1〜2万人が住んでいたと言われます。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

高さ11mに達する石積みは、モルタル等は使っていません。ひんやりと涼しい風が吹きます。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

ローデシア時代には、アラブ、フェニキア、ユダヤ、ギリシャあるいはエジプトなどの文明の一部ではないか考えられていましたが、現在ではアフリカ固有の文明の遺跡であることが分かっています。15世紀頃、人口が増え過ぎ森林資源等を使い尽くしたために滅びたと言われています。

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グレートジンバブエ遺跡に隣接する宿も、遺跡を模した石積みの壁です。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

グレートジンバブエ遺跡はカイル湖(ムティリクウェ湖)の近くです。カイル湖はジンバブエで二番目に大きいダム湖です(一番大きいのはカリバ湖)。

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UNESCO世界遺産・カミ遺跡。石器時代から人が住んでいたところで、グレートジンバブエが衰退した後の15世紀にトルワ国の首都と定められ、17世紀に北部から侵入したロズウィ国に滅ぼされるまで繁栄しました(トルワはグレートジンバブエの末裔(まつえい)か、少なくともその影響を受けた国だそう)。ジンバブエ第2の街、ブラワヨの郊外にあります。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

ジンバブエ最大の動物保護区、ワンゲ国立公園。広さはスイスと同じくらいだそうです。写真は今回泊まったキャンプの全景。水辺の前にあるので、特に乾期には動物が集まってきます。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

宿の前の水辺。ウッドデッキで冷えたワインを飲みながら見られる景色です。乾期が始まり、紅葉の美しい季節で、車で走っていると軽井沢かどっかのような感じなのですが、いきなりゾウの群れが車の前を横切るような場所です。

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ナツメヤシの木は誰かが植えたはずなんですけど、今となってはいつ誰が何のために植えたのか分からない、っていう話でした。サルにとっては木の実が取れるし木の上は安全なねぐらになるし、といことで好都合なようです。

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ヴィクトリア・フォールズ・タウンから70km、国境を越えてボツワナ側のチョベ国立公園。この先でザンベジ川に合流するチョベ川のボツワナ側に広がる動物保護区です。対岸はナミビア。ゾウがたくさん。キリン、セーブル、クドゥ、インパラ、バッファロー、ヌーなどなども。

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そして、川沿いなのでカバも。

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ワニもいる。

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泳ぐゾウ。中州に生えている草を食べに行くところです。

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そしてこれ。ライオン。ちなみに雄ライオンは縄張りのパトロールをしていて、サファリのガイドの人でも3ヶ月に1回くらいしか出会わない、と言ってました。

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そして旅のハイライト、ヴィクトリア・フォールズ。幅1.7km、最大落差100m超。滝というか、地の割れ目にザンベジ川の水が落ちる、というところです。

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やっぱちょっと、その場に行ってみないとこの迫力は伝わりませんねぇ。

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日暮れ頃。

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ヘリコプターに乗って上空からも見てみました。水煙はかなり遠くからでも見えるし、ゴーって音も聞こえる。

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滝を境に左側がザンビア、右側がジンバブエ。谷に架かっている橋は100年以上前にスコットランド人が建設したもので、ザンビアとジンバブエの国境です。ちなみにこの橋でバンジージャンプができます。

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ホテルのバーから見えるヴィクトリア・フォールズの夕暮れ。

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ビールは地元ブランドの「ザンベジ」。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

ハラレに戻る途中、ブラワヨからちょっと逸れてマトボ(UNESCO世界遺産)へ。巨石がゴロゴロした景観も面白いけど、ここが世界遺産なのはそれだけが理由じゃない。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

こんな壁画がマトボの丘陵地帯の中に大小数千か所もあり、まだ見つかってないものもきっとある。この地に住んでいた先史時代の人々(サン族)が残したもので、概ね6000年前までに描かれているそう。その後、この地にはあまり人が住まず、再び人が住み始めたのは2000年前からとのこと。

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この洞窟から見つかった若い女の骨は9000年前のものだったと聞きました。

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そして、マトボが世界遺産になっているもうひとつの理由は、ここがこの地の民族・ンデベレ人の聖地であり、同時に英国の南部アフリカ開拓の先駆者たちの聖地になっていたことです。「ローデシア」の名前の由来になっているセシル・ローズ、ローデシアの総督を務めたジェイムソンの墓が「View of The World」と呼ばれる丘の上にあります。

*   *   *

ジンバブエ。旧英領ということもあり、欧米からの旅行者はそれなりに多く、要所要所にはアフリカのクラッシックなサファリの味わいたっぷりの快適なキャンプや、コロニアルな香りの残る素敵なホテルがあります。UNESCO世界遺産は5か所あり(今回はそのうち4か所を制覇)、首都ハラレには国際大会が開けるレベルのゴルフ場もあったりする。年を通じて暑くもなく寒くもなく、特に乾期はお天気の心配をする必要のない日が続き、観光地としてかなり魅力的だと思います。

しかし、いかんせん日本からは遠い。パッケージツアーで南アフリカのケープタウンと組み合わされているヴィクトリア・フォールズに行くのは定番ですが、それ以上に足を延ばすのはなかなか難しいところでしょうね。日本とほぼ同じ広さの国土ですが、国内交通はもっぱら車しかない、というのも難点か。

このご時世なので、行こうと思えばネットで宿を予約して個人旅行もできますが、宿代がもともとそんなに安くないところなのに、日本人観光客価格でさらに高くつくことも覚悟しなくちゃいけない。土地勘がないといきなり個人旅行は難しいかもしれないなぁ。

幸い私の場合は南部アフリカ滞在が長く、なんとなく勝手も分かっていたので、物好きな友達がわざわざ東京から遊びに来てくれるという機会を捉えて決行できました。そうでもないと「ジンバブエ一周2500kmを車で」なんて旅行はあまり思いつかないですよ。たぶんこんな旅行をした日本人はほとんどいないんじゃないですかねぇ。

しかしまあ、盛りだくさんでとってもよい旅になりました。ハードルは高いですが、南部アフリカの魅力を味わう旅、オススメです。

ジンバブエ一周、2500kmの旅。

執筆: この記事はkenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

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