【多様な人材が活躍】究極のアナログ・サブスクリプション「不動産“管理”」ビジネスの可能性とは?――大和ライフネクスト代表取締役社長・石﨑順子氏
2020年に開催される世界的イベントも追い風となり、明るいニュースも目立つ建築・不動産業界。しかし、業界全体のトレンドとしては、少子高齢化に伴う人口減少を背景として新築住宅着工戸数は年々減少。2020年以降には大型案件も頭打ちになる見込みで、未来は決して明るいとは言えない状況にある。
一方で、既存の建物を管理(維持・価値向上)する「不動産管理ビジネス」は元気だ。「新しい建物を壊して、建てる」時代から、「既存の建物を修繕しながら、大事に長く活用する」時代に移り変わりつつある中で、時流に乗り、業績を伸ばしている。
今回はそんな「不動産管理ビジネス」で成長を遂げている、大和ライフネクスト代表取締役社長・石﨑順子氏に、同社の事業展開や今後不動産業界全体で求められる人材、働き方についてお話を伺った。
▲大和ライフネクスト株式会社 代表取締役社長 石﨑順子氏
「今ある建物を修繕し、長く活用する時代」への転換
新築住宅の着工戸数の減少など、ビジネス環境は決して明るいとは言い切れない建築・不動産業界において、「既存の建物を修繕し長く活用する」という潮流の中で成長を続けている、不動産管理ビジネス。
このビジネスをけん引する存在なのが、マンション、ビル・商業施設、ホテル等などの不動産管理サービスを手掛ける、大和ライフネクストだ。マンションやビル、商業施設などの不動産管理サービス全般を手掛け、業容の広さと豊富な実績が注目されている。
「建築・不動産業界と言えば、ディベロッパーやゼネコンをイメージする人が多く、不動産管理分野はどちらかというと地味な存在でした。しかし、いよいよ私たちの時代がやってきたと捉えています」と石﨑社長は話す。
「当社は修繕コンサルティング、修繕計画の立案・調整、工事の実施、もちろんその前後の日常の建物管理・サポートなど、不動産管理に関する業務を一気通貫で手掛ける会社。長らく『今ある建物を長く快適に保つ』ために尽力してきました。日本においては現在、経済成長の鈍化や少子高齢化による不動産マーケットのシュリンクなどを受け、既存の建物をどう管理し、長く使い続けるかが問われており、当社の力が求められる場がますます増えてきていると実感しています」
安定した収益基盤を武器に、「新しいの収益柱」の種蒔きを積極化
石﨑社長は、自社のビジネスを「究極のアナログ・サブスクリプション」と表現する。ディベロッパーやゼネコンは、大型開発案件の規模や数により売り上げ・収益にどうしても波が出るが、マンションやビルの管理業務は、継続的に収入が得られる安定的なビジネスモデルであり、ゼロになることはない。そして、不動産管理への注目度の高まりを背景に、この安定的な収益基盤がより強固である。
そんな時代・潮流の変わり目の中、同社では、「今が攻めの好機。まさに私たちの時代がやってきた」と捉え、新しいチャレンジを積極化している。
「例えば、高齢者向けのサービス展開。以前から、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅のご紹介や在宅ケアサービスなどを手掛けていますが、このほど高齢者向けワンストップ紹介サービス『プレシャスライフ相談室』を開設しました。いまや、シニア層のニーズは、複合的かつ幅広く、多くの情報収集や知識が必要となります。加えて、窓口となるさまざまな事業者や専門家とのやりとりも必要となり、ご本人やご家族に時間と労力の負担が生じます。こうした困りごと全般を当社で受け付け、ワンストップでサービスを提供したいと考えています」
「海外展開にも本腰を入れる計画。現在中国に子会社を持っていますが、今冬には、インドネシアに現地法人を設立予定。ASEAN各国では、大規模開発が進み、新しい建物も数多く建設されており、それに付随して不動産管理や不動産の有効活用というニーズも拡大しています。そういうニーズをつかみ、地域ごとに根差したサービスを展開していく計画です」
このほか、都心での宿泊型研修施設やデザインホステルの企画・運営、オフィスの移転・レイアウト変更サポートなどにも着手している。
「既存クライアントから自社不動産の有効活用を相談されたことを機に、新しいビジネスが生まれることも多いですね。自社の役割を枠にはめることなく、自由な発想でビジネスを発案してたくさんの種を蒔き、多くの芽を生み出したいと考えています。また、当社が率先して新規事業拡大に動くことで、不動産管理業界全体の活性化し、牽引していきたいという思いもあります」
誰もが自由に意見を言え、やりたいことに手を挙げられる風土
ディベロッパーやゼネコンにおいては主に、大規模なプロジェクトをけん引するリーダーシップや構想力、緻密な調整力、関連各所と協業する力などが求められるケースが多い。
不動産管理ビジネスにおいても、もちろんリーダーシップや調整力、協業する力も求められるが、その事業領域・関わることのできるフィールドの広さから、領域を超えたビジネスアイディアを発想できる力、新規事業を0→1で立ち上げ、推進していく力なども求められている。
新規事業展開を積極化している同社では、特にその思いが強く、社員からのビジネスアイディアを広く募る機会を設けている。例えば、新規事業、業務改善を目的とした「NCC」(Next Create & Challenge)と題する社内提案制度を設けているほか、普段から社員が積極的に意見、アイディアを出せるような土壌を整備している。
「当社には建物修繕コンサルタント、マンション運営コンサルタント、シニアライフアドバイザー、会計事務スタッフのほか、マンション管理員や警備スタッフ、ケアアメニティスタッフなどといった専門スタッフを含め、80以上もの職種がありますが、どの仕事も一人ではできないものばかり。そのため、お互いの意見を尊重し、皆で新しいものを生み出そう、皆で一致団結して新しい可能性にチャレンジしようという風土が自然に醸成されています」
そんな同社では、中途採用においてもチャレンジングな人材を求めている。
安心して、長く働くことのできる環境があるからこそ、チャレンジに積極的な人材が活躍できる環境だ。
「自分の強みを活かしながらいろいろな仕事にチャレンジしたいと考える人に来てほしいし、積極的にアイディアを出してほしい。新規事業を積極化している今、仕事内容や働き方のバリエーションも広がっている状態。チャンスは社内にたくさん転がっているし、チャレンジし続けられる土壌も整備ある。個人の『やりたい』は、全力で応援します」
「自分の可能性を広げる場」として会社を利用してほしい
ダイバーシティの推進にいち早く取り組み、年齢やキャリア、社歴、障がいの有無などに関係なく、皆に平等にチャンスが用意されているのも同社の特徴。「管理業は人が財産。社員一人ひとりがやりたい仕事に就き、イキイキ働けることが第一」と考えている。
「もちろん、男女差も当然ありません。建築・不動産業界は女性が少ないイメージがありますが、当社では男女関係なく意欲のある人が活躍し、仕事を任せています。工事の監理や積算など、建築系の分野で活躍している女性も多いですね。育児による時短勤務をしている人の中には、今は育児の比重を増やしたい、限られた時間の中でも責任ある仕事に取り組みたいなど、さまざまな志向の社員がいますが、基本的には立場によって業務制限することはなく、ライフステージを考慮しながら本人の希望に沿って業務を任せる方針。時間的な制約があったとしても、本人の意欲や能力に変わりはない。今後、『時短勤務の管理職』も出てくるような会社でありたいと思っています」
人材育成においても、新しいチャレンジを続けている。「社内での」副業OK、別部署のプロジェクトに手を挙げ参加するのも自由。社外ベンチャー企業との人材交流(出向形式)や、3か月間別部署を経験する「社内留学」も行っている。主体的に動けば、いくらでもやりたい仕事に就くことができるのだ。
「いろいろな仕事、環境、役割を経験したほうが、自分の適性がつかめるし能力開発も早い。事業フィールド、不動産管理業の可能性が多方面に広がっている中、当社の社内でパラレルキャリアを作り上げることも可能。ありたい働き方や実現したいキャリアを持って、自分の可能性を広げる場として会社をとことん利用してほしいですね」 WRITING:伊藤理子 PHOTO:中恵美子
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