『ジョーカー』観てきたレポ!

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ジョーカー1
10月頭の公開から現在までに世界興行収入8億5,380万429ドル(約939億円)を稼ぎ出し(※)、R指定映画としては史上最高のヒットを記録している映画『ジョーカー』。
ホアキン・フェニックス演じる主人公アーサー/ジョーカーの狂気に満ちながらも、哀しく、どこか妖艶さすら感じさせる姿を描いた同作は、DCコミックスのヒーロー作品『バットマン』に登場する悪役“ジョーカー”の物語を下敷きとした作品ながらも、これまでに発表されたどの実写化作品とも一線を画す、独特の存在感を放っていると高い評価を得ている。
と、突然『ジョーカー』事情を明記しましたが、皆さんはご覧になったでしょうか?私は観てまいりましたよ! 感想は「とにかく素晴らしい」の一言。映画冒頭、タイトルが出るまでの流れだけでやられました。映画『ラ・ラ・ランド』でも、冒頭から衝撃だったのですが、『ジョーカー』の冒頭の衝撃はそれとはまたベクトルが違うものです。
まだ観ていない方がいらっしゃることを考慮し、詳細を書くのは控えます。と言いたいところですが、なにも吐き出さないわけにもいかず、ここを借りて少しだけ話させてもらえればと思います。
※ネタばれあり!! というか、観た人に向けて!!

原作や、映画『ダークナイト』と比べてみると

ジョーカー2
私たちがジョーカーと聞いて、一番最初に思い出すのは映画『ダークナイト』で、ヒースレジャーが演じたあの“ジョーカー”かと思います。どちらが良いかという不毛な議論ではなく、ヒース版ジョーカーは今回のジョーカーとは全くの別物と考えてよいでしょう。まず決定的な違いは、“何者であるか”という事。ヒース版ジョーカーは、“何者なのか”が全く分からなく、だからこそ恐ろしく、歪なものだったと思っております。
しかし今回のホアキン版ジョーカーは“何者なのか”という所がスタート地点になっており、そこから物語が進んでいきました。この点で、「ヒース版ジョーカーのような“異物”が観たかった」という意見があるのも理解できます。
ですが、原作と違うかと言われるとそうではないのです。バットマン原作の一つ、名作『キリングジョーク』では、ジョーカーの過去が描かれ、どのようにして“道化”になっていったかが描かれています。この『キリングジョーク』を『ジョーカー』はかなり意識した映画になっており、『ジョーカー』単体として一人の人間を描こうとしたとき、これをリスペクトした作りにしたのは素晴らしい判断だと思います。なぜなら、『ダークナイト』で“異物”がスクリーンの中で愛されているのは、タイトルにもなっている『ダークナイト』ことバットマンの存在がいたからです。

“ジョーカー”と“バットマン”

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バットマンとジョーカーの戦いが描かれた『ダークナイト』が、あれほど魅力的だったのは、「正義と悪」が鏡写しで描かれていた点だと思います。「正義のバットマンと悪物のジョーカー」。確かにその通りです。しかし、バットマンがいなければジョーカーは生まれなかったかもしれませんし、トゥーフェイスだって生まれなかったかもしれません。そもそも、バットマンは正義の味方ではありません。彼は自分自身を「ゴッサムの監視人」とダークナイトの中で公言しています。つまりは表裏一体、どちらも日陰者です。どちらも狂った犯罪者かもしれません。
だからこそ『ダークナイト』の中では、バットマンを描くことで、同時にジョーカーの内面や、人間性を描くことが出来たと言えます。しかし、今回の『ジョーカー』にはバットマンは出てきません(厳密にいえば“出てる”のですが)。その中でジョーカーを描くためには、過去を描く必要が必須だったのです。

悪は誰だったのか

ジョーカー4
今作の中で、ジョーカーは“何者”だったのでしょうか? 映画を観終わった後、感傷にふけりながら考えていました。
そして、出た答えは単純です。ジョーカーは悪。間違いありません。ですが、勘違いしないで頂きたいのは、これは正義の立場から見たジョーカーです。
そもそもアーサー(ジョーカー)は“悪い事”をしたでしょうか? もちろんロバートデニーロ演じる、
マレーフランクリンを銃殺したのは確実に“悪い事”ですが、そのほかに殺したのは電車で絡んできた3人の男だけです(観てから少し経っているので間違えているかも)。さらに、殺したといってもあれは完全に正当防衛です(最終的に殺意バリバリでしたけど)。マレーを殺したのだって、映画を観ている私たちからみても自業自得にしか見えません。
何が言いたいかというと、アーサーは自己を守っただけ。さらには、電車にいた“悪”を裁いただけではないでしょうか。その結果、ゴッサムシティは喜んでいたではないですか。
終盤のあのシーン。アーサーは個人的思想、行動だけでゴッサムに希望を与えました。はたから見れば“ヒーロー”です。さらに言ってしまえば、個人でゴッサムを救うという行為は“バットマン”となんら変わりません。ゴッサムの市民から見たアーサーはあの瞬間“正義”であったように感じますし、政治家・トーマスウェイン側から見れば“悪”。行きつく先は違えど、やはりここでも正義と悪は表裏一体と言えるのではないでしょうか?

“現実”と“ジョーク”

ジョーカー5
映画のラストにのあのシーンだけでも、たくさんの考察が出来ます。どこまでが“現実”で、どこからが“嘘”なのか。気になりますが、どうでもよいのかもしれません。ジョークなんていうのは面白ければ良いわけで、それこそアーサーにしか“理解”できない事だと思うからです。
彼は満たされたのか、そうでないのかは分かりませんが、特徴的な笑い声(笑っているのか、泣いているのか)と、ラストにアーサーが笑っていた声は明らかに違い、抑圧された人間が“解放”された瞬間を感じました。

終わりに

とりあえず、印象に残ったことを恥ずかしげもなく並べてしまいましたが、皆さんはどうご覧になったでしょうか? まだまだ話したいことはたくさんあるのですが、この辺で自重させていただきます。もちろん、一人ひとり感じること、受け止めることは違うと思います。なので、どうかこの記事を叩くのだけはやめてください!とにかく、今、この時代に見るべき映画です! お早めにご観賞を!
因みにこの『ジョーカー』。続編の可能性もあるそう。まだ、なんとも言えない状況ではありますが、ホアキン版ジョーカーにまたスクリーンで会えるのが、今から楽しみでなりません。
以上です。
(Written by アーサー・くりすけ)

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