超人気作家・横山秀夫 唯一映像化されてこなかった作品『影踏み』とは?

「64-ロクヨン-」「クライマーズ・ハイ」などで知られるミステリー界の巨匠・横山秀夫の「影踏み」(「祥伝社文庫」)。警察小説の旗手である横山作品の中でも犯罪者側を主人公にした異色の犯罪ミステリーが、ついに映画化! 監督に『花戦さ』の篠原哲雄、主演に山崎まさよしを迎え11月8 日(金)群馬県先行/11 月 15 日(金)全国公開となります。

本作では、深夜に寝静まった民家を狙い現金を盗み出す忍び込みのプロ<ノビ師>という、孤高の泥棒を山崎まさよしさんが演じます。

証拠も残さず決して口を割らない、その高く強固な壁を思わすしたたかさかから、名前をもじって“ノビカベ”とあだ名される凄腕の泥棒。そんな主人公・真壁修一(山崎まさよし)は、ある日忍び込んだ先で偶然遭遇した事件をきっかけに逮捕されてしまう。2 年後、刑期を終え出所した修一は、まだ自分が逮捕された事と、あの時遭遇した事件に対しての疑惑を抱えていた。何故あの日 の侵入がバレていたのか?そして、あの時侵入した家の寝室で夫を殺そうとしていた女(中村ゆり)の行方……。幼馴染みで恋仲 の久子(尾野真千子)の制止を聞かずに、修一は相棒であり弟の啓二(北村匠海)と共に事件の真相を求め行動を開始す る。しだいに事件と女の裏に潜むいくつもの影が浮かび上がっていく。ただ、事件の謎が解き明かされていくにつれ、修一自身が封印 した 20 年前の悲劇もよみがえる……1つの事件が“過去”の事件を呼び醒すとき、修一、啓二、久子の止まったままの運命の歯車 も再び動き出す!真実は、いったいどこにあるのか!?

【巨匠・横山秀夫作品で映像化されてこなかった“最後の一作”映画『影踏み』】

大学卒業後、群馬県の上毛新聞社の記者として12年間働き、「ルパンの消息」(1991)が第9回サントリーミステリー大賞の佳作を受賞したことをきっかけに、退社して作家の道を志し、「影の季節」(1998)で作家デビューをした横山秀夫。個人と組織の葛藤をリアルにえぐり出す筆致は幅広い読者から圧倒的な 支持を得ています。これまで多くの作品が映画化、ドラマ化され日本を代表する名だたる俳優たちが主演を務めています。そんな横山作品に登場する信念を貫く人間の勇姿は映像作品でも多くの人を魅了してきました。

『半落ち』(2004)では寺尾聰が演じる元敏腕刑事・梶聡一郎がある事情から妻を殺害、自首をするが、元刑事の犯行ということもあり世間体を気にする警察は穏便に事を収めるため梶に虚偽の供述を強制する。『クライマーズ・ハイ』(2008)では堤真一演じる北関東新聞社の記者・悠木が日航ジャンボ機墜落 事故の特ダネニュースの真偽をめぐり会社と対立。『64-ロクヨン-』(2016)は 7 日間で幕を閉じた昭和 64 年に起きた少女誘拐殺人事件を巡り警察組織、 マスコミ、被害者家族の周囲で巻き起こる対立や葛藤をリアルに描いています。

このように個人と組織の対立を描く横山作品の中でもその小説的仕掛けゆえに長らく映像化不可能と言われてきた“最後の一作”(2016年企画当時) 「影踏み」が主演に山崎まさよしを迎えて映画化。本作で山崎は人の寝静まった住宅に忍び込む凄腕の「ノビ師」として生きる主人公の真壁修一を演じます。 真壁はある夜に忍び込んだ先で中村ゆり演じる葉子が夫の眠る寝室に火を放とうとしている所を目撃します。咄嗟の判断で葉子を止めた真壁は姿を見られて しまったためその場を離れようとするが、そこにいるはずのない刑事に先回りされ逮捕されます。

しかし出所後事件を調べてみると真壁は警察の都合の良いように 罪を擦り付けられていた事実を知り、警察が隠している事件の真相を盗み出すため組織を相手に奔走します。世間のルールから外れ過去の大きな事件への 責任を感じて影を背負いながら生きていく真壁を山崎さんは見事に体現しており、14 年ぶりの主演映画とは思えない好演を見せています!

横山作品の大ファンで あるという山崎さんは「お目にかかる前から刊行されたものは好きで全部読んでいました。横山さんの小説って警察組織という究極の“官”を描きながら、弱い 立場の人に目が向いているでしょう。巨悪に立ち向かう捜査員より、むしろ陽の当たらない部署で働く人の葛藤だったり、彼らの人生を掘り下げることが 多い。文章は硬質だけど、そういう眼差しは優しいと思います。僕自身ずっと組織に属さずに生きてきたので、警察という集団内で生まれる軋轢とか力学を リアルに描き出す筆致が新鮮であり、痛快だったんです。」とコメントを残しています。

警察小説の名手としても知られる横山作品の中で、犯罪者が謎を解き 明かす小説は「影踏み」以外になくミステリーファン、映画ファンの双方が映像化を待ち望んだ異色作が最高の出演者とスタッフを得て、ついにスクリーンに登場 します。予想のつかない展開に加え、重厚な人間ドラマが繰り広げられる本作の公開に期待が高まります!

映画『影踏み』公式サイト
https://kagefumi-movie.jp

(C)2019「影踏み」

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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