増税で注目されるキャッシュレス化 好調PayPayが示す普及のカギは「不安の解消」にあり

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消費税が10%に引き上げられた2019年10月1日。増税で注目が集まるキャッシュレス決済サービスのひとつPayPayは、サービス開始からわずか1年足らずで登録ユーザー数が1500万人に上り、順調に成長を遂げていることを発表した。

そもそも2018年に翌年の消費増税を見越した「キャッシュレス・ビジョン」が政府から公表され、国を挙げてキャッシュレス化を推進する動きが出ていた。訪日外国人に向けた対策、事業者の生産性の向上、コストの削減、消費者の利便性や安全性の向上が目的とされ、「2020年までの主要な商業施設や観光スポットなどにおけるクレジットカードや決済端末の完全対応」と、「2025年までのキャッシュレス決済比率を40%程度に引き上げ」が目標として掲げられた。

こうしたキャッシュレス普及の追い風となるような社会情勢の反面、先述のPayPay社が実施したアンケートによれば「スマホ決済サービスを利用しない」理由のひとつに不正利用に対する不安があり、関連して不正発生時の補償対応へのニーズの高さも見られるとのことで、依然として現金主義の勢力の強さもうかがえる。

他にもリサーチ・コンサルティング会社J.D.パワーが20~60代の男女400名を対象に行ったアンケートでは、約6割(62%)がキャッシュレス決済の一種、スマートフォン決済を1か月以内に利用しなかったとの回答が。さらにスマートフォン決済に対するイメージは、全体では「不正利用への不安(50%)」、「個人情報漏洩への不安(42%)」といったネガティブなイメージがトップ2を占めた。非利用者に限っては、「不正利用への不安」、「個人情報漏洩への不安」が半数前後から挙げられ、セキュリティ面に対する不安感は非利用者にとって、より強いようだ。

上記の調査結果から非利用者にキャッシュレス決済の利用を促すのは困難なことのように思える。PayPayが、増税にかけて登録ユーザー数を伸ばすことができたのは、非利用者の傾向を理解し、適切に策を講じてきたからだ。

PayPayは、クレジットカード登録における本人認証サービス(3Dセキュア)の対応をはじめ、これまでさまざまな不正利用対策を行ってきており、不正発生率はサービス開始当初に比べて大幅に低減するに至っているそうだ。増税直前の2019年8月にも、第三者による不正行為被害に遭った場合に全額補償する内容を利用規約などに規定し、ユーザーがPayPayの使用に際して不正利用による被害に遭った場合、原則PayPayが被害の全額を補償する意向を明示した。こうした手厚い補償の方針はユーザーのみならず、加盟店向けにも整備されている。

増税後、ますますキャッシュレス決済サービスを展開する各社が凌ぎを削る状況は過熱しそうだが、そのキーとなるのは「不安の解消」という心理的アプローチとなるようだ。

※グラフの出典:「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」2019年/J.D. パワー ジャパン

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