吉岡里帆主演のノンストップ・スリラー『見えない目撃者』で盲導犬役を熱演! ドックトレーナーの宮忠臣さんに聞く“パル”の凄さ
吉岡里帆さんが主演を務める究極のノンストップ・スリラー映画『見えない目撃者』が、本日9月20日より公開となりました。
本作は、事故で目が見えなくなったなつめ(吉岡)が車の接触事故に遭遇し、偶然同じ現場に居合わせた”もう一人の目撃者”で高校生の春馬(高杉真宙)と共に恐ろしい事件の全貌を暴いていくという物語。目が見えないというハンディキャップがありながら迫りくる危機に果敢に立ち向かうなつめの強さを感じる事が出来る、吉岡さんの新境地とも言える熱演にも注目です。
本作で、なつめを支える盲導犬「パル」の名演技も素晴らしく、なつめとパルの絆に涙するシーンも。このパル役の俳優犬を演技指導しているのが、ドックトレーナーの宮忠臣さん。『南極物語』(1983)、『ハチ公物語』(1987)、『マリと子犬の物語』(2007)、『旅猫リポート』(2018)などなど、数多くの動物映画をサポートしています。
宮さんに『見えない目撃者』について、パルの演技について、色々とお話を伺いました。
――目の見えない女性なつめを支えるパルの名演技がとても素晴らしかったです。特になつめを守ろうとするシーンでは涙が出そうになりました。
宮:犬は喋れないから、観ている人の感情が入ってくるんです。観ている人の感情が犬に移って、その表情に見えてくる。だから犬は良い。あれで犬が喋ったらうまくいかない。人間みたいにペラペラ喋ったらダメなんです(笑)。
――常に吉岡里帆さんと一緒のシーンだったと思いますが、印象的なエピソードはありますか?
宮:吉岡さんは気さくで、素晴らしい方です。2回目の撮影所で、パルもきちっとした訓練に入っていない時だったのですが、吉岡さんが率先して練習をはじめました。吉岡さんは、午前中に盲導犬協会に行って、実際に習って歩いてきたそうで、アイマスクをつけてパルと歩くと。盲導犬協会も実際そうやって訓練するんですけど、いきなりアイマスク付けてっていうからビックリして……。なんとかパルと撮影所を1周歩くことが出来たのですが、彼女の仕事への熱意を感じた瞬間でした。
――「アイマスクをつけて外を歩く」って言葉にすると簡単に思えますけど、実際はすごく怖いですし、なかなか出来ることではありませんよね。宮さんは盲導犬について何か調査はされましたか?
宮:以前、映画『クイール』(03)という作品に関わった時に、盲導犬についてリサーチしていたので、その時に基本的な動きは教わりました。今回久しぶりでうろ覚えなところもあったので、また聞いたりして。それを基にパルに教えました。盲導犬というのは、横について歩く。人間との指示に沿って右左、一緒に歩く。それが基本です。あとは、「待て」がきちんと出来るかが大切なのです。
――今回盲導犬を演じたパル(役名=本名)はどんな素質を持っていますか?
宮:盲導犬は噛んだり、吠えたりしてはいけないので、完全に盲導犬に向いている犬だとこの役はできないんです。本来の盲導犬の姿ではないんですが、この作品では吠える所が重要なシーンとして描かれてますよね。盲導犬の動きができて、そうじゃない動作もできる。パランスの良い犬を探し出すのが大変でした。大人しすぎたり吠えすぎてもダメ。あちこち探しまわったけどいなくて、たまたま昔の知り合いと仕事した時に聞いてみたら、いるっていうんで会いに行ったんですよ。今回パルを見つけるのはとても苦労しました。本当にこの仕事は、いかにいい犬に出会うかが大事なんです。
――なるほど、「盲導犬の動きができて、そうじゃない動作もできる」まさにこの子の演技力ですね!
宮:映画の中でも、明るい盲導犬なのが一つの魅力だと思います。尾っぽを振って喜んで吉岡さんと歩いているんです。それは僕が教えたわけじゃない。この子と吉岡さんのコンビが上手くいってるから、パルも喜んで歩いたんです。犬が出る作品で重要なのは、犬と俳優さんが慣れること。指示を出すのは訓練士の仕事ですが、犬がその俳優さんに喜んで尾っぽふるようになるのが大事なのです。パルは吉岡さんが本当に大好きなんですよ。先日舞台挨拶で再会してしっぽを振って喜んでいました。その姿を見ると盲導犬には見えないけど(笑)。
――ぜひ多くの方になつめとパルの息ぴったりのシーンを楽しんでいただきたいと思います! 今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
【ストーリー】警察官として将来を有望視されながら、自らの過失による事故で視力も大切な弟も失い、失意の底にあった浜中なつめ(吉岡里帆)は、ある夜、車の接触事故に遭遇。なつめは慌てて立ち去る車の中から助けを求める少女の声を耳にするが、彼女の訴えは警察には聞き入れてもらえない。視覚以外の人並外れた感覚、警察学校で培った判断力、持ち前の洞察力から誘拐事件だと確信するなつめは、現場にいたもう一人の目撃者で高校生の国崎春馬(高杉真宙)を探し出す。 事件に気づきながら犯人を見ていない目の見えないなつめと、犯人を見ていながら少女に気づかなかった高校生の春馬。 “見えない目撃者”たるふたりの懸命の捜査によって、女子高生連続猟奇殺人事件が露わになる。 その真相に近づくなつめたちに、犯人は容赦なく襲いかかる。絶命の危機を前に、彼女らは、誘拐された女性を助けることができるのか。
映画『見えない目撃者』は9月20日より全国公開。
出演:吉岡里帆 高杉真宙
大倉孝二 浅香航大 酒向 芳 松大航也
國村 隼
渡辺大知 栁俊太郎 / 松田美由紀
田口トモロヲ
監督:森淳一
脚本:藤井清美 森淳一
(C)2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ (C)MoonWatcher and N.E.W.
Based on the movie ‘BLIND’ produced by MoonWatcher
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