Interview with Beabadoobee about “She Plays Bass”/ベアバッドゥービー “She Plays Bass”インタビュー

ベアバッドゥービー。フィリピンのマニラ出身で、いまはロンドンを拠点に活動している18歳のシンガー・ソングライター。2年前、YouTubeにポストした曲“Coffee”が話題を呼び、今年、The 1975やペール・ウェーヴスを擁する〈Dirty Hit〉と契約。そのデビューEP『Patched Up』について、彼女は“18歳になるまでの10代の不幸の歴史を継ぎ接ぎした曲のコレクション”と説明する。初々しくギターをかき鳴らして歌われる、リリカルでユーモラスなティーンの憂鬱。その、こんがらがっていて夢見心地なベッドルーム・ポップには、等身大の彼女がありのままの姿で写し出されている。カリードもラヴコールを送る彼女は、この秋、クライロのアメリカ・ツアーでサポートを務めることが決定。つい先日にはニュー・シングル“She Plays Bass”もリリースされたばかりの彼女に、メールで話を聞いてみた。(→ in English

――出身はフィリピンのマニラで、3歳の時に家族とロンドンに引っ越してきたそうですが、どんな子供時代を過ごされていたのですか。家族のことや、学校での出来事、当時夢中になったことなど、特別思い出に残っていることなどあれば教えてください。(今のあなた自身に繋がっているエピソードだと嬉しいです)

Beabadoobee「私は(フィリピンの)イロイロ市というところで生まれて、音楽に親しみながら育ってきましたが、私の両親が聴いていたものを今も聴いているというわけではありません。私は7年間ヴァイオリンを習っていて、少しの間ワン・ダイレクションのファンになって、そのあとグリーン・デイを聴くようになりました。でも今私が聴いているのはほとんどソニック・ユースかペイヴメントですね」

――音楽を聴いて初めて心を動かされた時のことを教えてください。

Beabadoobee「エリオット・スミスを初めて聴いたときですね。ベッドルームで涙を流したことを覚えています(笑)」

――ギターを手にしたのは比較的最近になってからで、それ以前は長年ヴァイオリンを学ばれていたそうですね。ただ、曲を作ることは前々からされていたそうですが、どんな曲を書いていたのでしょうか。「痰(phlegm)」についての曲を書いたことがあるとインタヴューで読みましたが、どんな内容だったのか気になります。

Beabadoobee「痰についての曲も書いたし、リスに追いかけられる曲も書いたことがあります。そういう楽しいやつをね」

――日々音楽を聴いたり作ったりする上で、どのような要素やテイストを持つ楽曲が好みですか。

Beabadoobee「印象的なギターラインや良いメロディ、強い物語性のある歌詞がある曲が好きです」

――ベアバッドゥービーを構成する3人のミュージシャン、音楽の先生をあげるとするなら誰になりますか。自分で曲を作り始めて、やがてミュージシャンになることを心に決めたとき、自分の背中を押してくれた存在だったりロールモデルとなったミュージシャンは誰でしたか。理由も併せて教えてもらえると嬉しいです。

Beabadoobee「エリオット・スミス – 彼は素晴らしいリリシストでありギタリスト。キミヤ・ドーソン(※モルディ・ピーチス) – 彼女の偽りのなさ。キム・ゴードン – どうやったら彼女のようなイカした人になれるか教えてほしい」

――2年前に“Coffee”を発表したことでベアバッドゥービーの名前は世界中の音楽ファンの間で知れ渡ることになりました。当時寄せられたリアクションの中で一番驚かされたこと、クレイジーだと感じたことはなんでしょう?

Beabadoobee「自分の音楽を本当に気に入ってもらえたという事実。そんなことが起こるなんて思ってもいませんでした」

――曲作りはどんな感じで行われているのでしょうか。新しいEP『Loveworm』を聴いて、ギターのスタイルや、ソングライティングやプロダクションもスケールアップした印象を受けましたが、最初の頃と比べて変化したところなどあれば教えてください。

Beabadoobee「私の今の曲は歌詞よりもギター中心になっていると思うんだけれど、それは今バンドで音楽がやれているからだと思います。でも、最初の頃からいつも歌詞やメロディーの前にコードを考えていました。いつもコードを考えることが優先です」

――その『Loveworm』には“Soren”というボーイフレンドの名前から取られた曲がありますが、彼はあなたにとって創作上のミューズでもあるそうですね。Sorenがあなたをエンパワーメントしてくれたことの中で、もっとも大きかったことをあげるとするならそれはどんなことですか。Sorennとの関係はあなたの音楽にどのような影響を与えていると思いますか。

Beabadoobee「(無回答)」

――“your bones are only painted gold”という歌詞が印象的な “Angel”ですが、この曲はひどく落ち込んでいた時期に書かれた曲だそうですね。差し支えなければ、この曲が書かれた時のことを教えてもらえますか。

Beabadoobee「私はその時とても不安定で、そのせいで10代の時にバカなこともたくさんやってきました。でも、そのおかげで今の私があると思っているので、後悔はしていません」

――“eighteen”という曲では、歳を重ねること、大人になることへの不安や戸惑いといった心の揺れ動きが繊細なタッチで描かれています。あなたが書くリリックの多くは、あなたの個人的な体験や心情をもとにして生まれたものが多いのではないかと思います。ただ一方で、自分だけではない、同世代のリアルな感覚を歌っている――という自負もあなたのなかにはあるのでは?と思うのですが、いかがですか。

Beabadoobee「そうですね。自分のことについて曲を書くことが多いので、それが同じような悩みや感情を持つ他の若い人たちの共感を得ているんだと思います」

――同世代のミュージシャンとして、例えばビリー・アイッシュはどのような存在としてあなたに映っているのか、とても興味があります。彼女の音楽的な部分だったり、あるいは投票行動の呼びかけやメンタル・ヘルスの問題についてメッセージを発信しているところなどについて、共感できるところ、あるいは自分とは違うと感じるところなどあれば、ざっくばらんとした意見でいいの教えてもらえると嬉しいです。

Beabadoobee「(無回答)」

――アジアン・ルーツを持つミュージシャンであることは、あなたの中でアイデンティティの重要な一部になっていますか。ベアバッドゥービーとして音楽を作る上で、その影響を意識したり自覚するような部分はありますか。

Beabadoobee「あまりそんなことはないですね。ただそれを自分の一部として捉えていて、100%フィリピン人であるということにも誇りを持っています」

――今年のthe BRIT Awardsの壇上で、〈Dirty Hit〉のレーベルメイトでもあるThe 1975の マット・ヒーリーが音楽業界にはびこるミソジニー、ジェンダーギャップについてスピーチをして話題になりました。何事においても、ジェンダーやエスニシティで差別したりカテゴライズすることはあってはならないことであるのは言うまでもありません。この問題についてあなたなりに思っていることや感じていることが何かありましたら、ぜひ聞かせてください。

Beabadoobee「幸運なことに私はそのような経験をしたことはないのですが、そういう経験をしてきた女の子たちには同情します。そういう状況について取り上げて話すことは、人々が気付くきっかけになるので良いことだと思います。アーティストとして、そのような状況について光を当てるために自分のプラットフォームを使うことも大切だと思います」

――曲を作る上で一番大事にしていることはなんですか。音楽的なことでも、気持ちやアティチュードの部分でもなんでも。

Beabadoobee「特定の瞬間の自分の感情を曲の中に閉じ込めることです。たいてい自分が怒っているときか、あともちろん悲しんでいる時の感情ですね」

――最近ハマっていることはなんですか。

Beabadoobee「音楽、映画、食べ物、服、あと一番大切な睡眠です」

――新曲が出たら必ずチェックするアーティストは誰かいますか。

Beabadoobee「アレックス・G」

――今後やりたいことを教えてください。アルバムについても気になります。

Beabadoobee「保育園の先生」

――最後に、日常生活の中で必ずやること、ルーチンになっていることが何かあったら教えてください。

Beabadoobee「;)(ウィンク)」

text Junnosuke Amai
edit Ryoko Kuwahara


Beabadoobee
『Loveworm』
Now on Sale
(Dirty Hit / Hostess)
https://music.apple.com/jp/album/loveworm/1460348235?app=music
https://open.spotify.com/album/475CNcvlqtRpaXjTcn4hCP

Beabadoobee/べアバッドゥービー
マニラ生まれロンドン育ちのベア・クリスティによるソロ・プロジェクト。2017年から本格的に音楽活動を開始し、ティーンエイジャーの持つ不安 定さを上手く捉えた楽曲がZ世代の若者を中心に人気を集める。ファンによりアップロードされたファースト・トラック「Coffee」が数日で30万回以上ストリーミングされ、セルフ・リリースした楽曲や2018年12月に<Dirty Hit>からリリースしたEP「Patched Up」もNoisey、Nylon、The Fader、Time Out、The Guardianなど数多くの有名媒体から取り上げられさらに注目を集める。2019年4月、新EP「Loveworm」をリリースした。
http://hostess.co.jp/artists/beabadoobee/

This interview is available in English

――It would probably be your first Japanese interview so we’d like to start by asking about your background as well as your current music career. We heard that you were born in Manila, Philippines and then moved to London when you were three years old. What was it like growing up in different countries? Are there any special memories you made with your family when you were little?

Beabadoobee : I was actually born in Ilo Ilo City and pretty much grew up on music but the music my parents used to play wasn’t necessarily the music I listen to now. I spent seven years of my life learning to play the violin and I was a One Direction fan for a bit but then I moved on to Green Day. Now all I listen to is pretty much Sonic Youth and Pavement.

ーーWhen was the first time you were moved by a piece of music? Who was it and what was it like?

Beabadoobee : When I listened to Elliot Smith for the first time. I just remember being in my bedroom crying lol

ーーWe heard you used to practice the violin and occasionally make songs when you were younger. What kind of songs did you write with the violin before you started playing the guitar? Also we saw an interview where you mentioned you wrote a song about phlegm, which I’m really curious about.

Beabadoobee : Yes I wrote a song about phlegm and another song about a squirrel chasing me. Fun stuff.

ーーWhat kind of musical elements or styles do you get attracted to?

Beabadoobee : A memorable guitar line and a really good melody and strong story telling lyrics.

ーーCould you give us your three favorite musicians/bands who are your role models/made you want to be a musician, and why?

Beabadoobee : Elliot Smith – he is a great lyricist and guitarist.

Kimya Dawson – her genuinity.

Kim Gordon – I want her to teach me how to be as badass as her.

ーーYour song ‘Coffee’, which was released two years ago, made your name internationally recognized. What was the most surprising reaction you got at the time? Was there anything that you thought was crazy?

Beabadoobee : The fact that people genuinely liked my music. I didn’t think that would ever happen.

ーーWhat is your songwriting/production process usually like? Did your approaches to songwriting, singing or play style change when making “Loveworm” compared to your previous work?

Beabadoobee : I think now my songs have become more guitar driven rather than lyrically which helps now because I have a band but even from the beginning I’d find the chords first before finding lyrics and the melody. For me chords will always come first.

ーーThere is a song that’s named after your boyfriend Soren, and he obviously is a muse for your artistic creation. What is the most empowering/inspiring thing about him? Has your relationship with him influenced your music in any way?

No Answer

ーーIn the song ‘Angels’, there’s a lyric where you say “your bones are only painted gold”, which is one of my favorite lyrics of yours. And I heard that the song was written when you were feeling very sad. What kind of experiences or feelings did you reflect in the song?

Beabadoobee : I was at a vulnerable place at the time which led me to do stupid things as a teenager but I don’t have any regrets because it taught me how to be the person I am today.

ーーWe feel as if your lyrics are written based on your very personal experiences and feelings, but are also relatable for the people of your generation. What’s your take on this?

Beabadoobee : Yes I tend to write for myself and somehow it is relatable to the rest of youth today, going through the same things and feelings.

ーーWe’re very curious about how you see artist in their teens like Billie Eilish
as a musician. Do you sympathize with her music, message, or actions? Or, do you find her different?

No Answer

ーーBeing from Manila, do you think your identity as being Asian takes an important role in making music? Did your background have an effect on your music in any way?

Beabadoobee : No not really i just see it as a part of myself and i am very proud of being full Filipino

ーーThis year, one of your label mates The 1975 talked about misogyny during their acceptance speech for BRIT awards. As a young woman who works in the music industry, what’s on your take on these issues?

Beabadoobee : Thankfully I haven’t experienced anything like that but I sympathise for girls who do. I think it’s good that they’ve taken that situation and talked about it so people will become more aware of it. As an artist I think it’s important to use your platform to shed light for certain situations.

ーーWhat is the most important thing when making music? Music, attitudes, feelings, etc.

Beabadoobee : To be able to in capsulate my feelings in that song in that particular
moment – usually when im angry – rah – or when I’m sad of course.

ーーWhat are you into these days?

Beabadoobee : Music, movies, food, clothes and most importantly sleep

ーーWho is your favorite artist you always check out?

Beabadoobee : Alex G.

ーー What would you like to do/try in the near future?

Beabadoobee : Nursery teacher.

ーーIs there anything you do every day without fail?

Beabadoobee : Write a song.

ーー Lastly, do you have any plans for releasing a new album?
Beabadoobee  ;)

text Junnosuke Amai
edit Ryoko Kuwahara

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