エルトン・ジョンが乗り移ったかの様な歌声『ロケットマン』は一瞬も見逃せない極上ミュージカル

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あらためて聴くと、なんてすばらしい曲ばかりなのでしょうか! 8月23日(金)公開の映画『ロケットマン』は、50年前のデビュー以来、現在も世界中にファンを増やしている偉大なエンターテイナー、エルトン・ジョンの半生を描いた、唯一無二のきらめきを放つファンタスティックなミュージカルドラマです。

イギリス郊外の小さな町で生まれた少年レジナルド・ドワイト。常に孤独に苛まれていた彼の夢は、音楽家になること。彼の才能を信じた祖母のあとおしにより、15歳で王立音楽院に入り、ピアノの才能をめきめきと伸ばしていったレジナルドは、憧れのロックミュージシャンになることを決心し、エルトン・ジョンと改名します。

音楽紙に載っていた募集広告を見てレコード会社を訪れたエルトンは、生涯のソウルメイトとなるバーニー・トーピンと出会います。バーニーの書いた詩はエルトンの心を動かし、次々と美しいメロディを作り上げます。そうして世紀の共作は始まったのです。

エルトン・ジョンを演じるのは『キングスマン ゴールデン・サークル』でエルトンと共演したタロン・エジャトン(エガートン)。驚くことに、彼がすべての曲を歌っています。まるでエルトンが乗り移ったかのようなそのパフォーマンスの数々は、うっかりすると映画を観ていることを忘れてしまいそうな熱演で、名曲の数々に新しい命を吹き込んでいます。そういえば2016年のアニメ映画『SING』では、タロンが演じたゴリラのジョニーはエルトンのヒット曲『アイム・スティル・スタンディング』を歌っていました。

本作では、タイトル曲『ロケットマン』の堂々たる歌いっぷり、『土曜の夜は僕の生きがい』の若さみなぎる歌声、そして『僕の歌は君の歌』の、心の琴線に触れるような繊細で情感あふれる歌唱シーンは、エルトン本人も太鼓判を押したのもうなずけるほど圧巻の一言。劇中では全部で22曲が使われていますが、どの曲も歌詞の内容とドラマを見事に一致させていて、これぞミュージカル!の醍醐味をたっぷりと味わえます。加えてダンスシーンはゴージャスだったり楽しかったり幻想的だったりと、どのシーンも一瞬も見逃せません。

ストーリーは実話をベースにしてはいますが、エルトンの大ファンでもあるデクスター・フレッチャー監督は、その驚くべき半生をそのまま描くことはせず、夢と希望、愛と信頼、裏切りと決裂、挫折と再生などのあらゆる要素を、エルトンとバーニーが生み出した素晴らしい楽曲と見事に融合させ、壮大なファンタジー仕立てに作り上げました。

ブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデンといった豪華共演者の中でもとりわけ印象に残るのが、バーニー役のジェイミー・ベル。『リトル・ダンサー』のリー・ホールが手掛けた脚本は繊細でなおかつ優しく、二人の運命の出会いのシーンは、ずっと心に残るにちがいない名場面といえましょう。

エンドクレジットでは、この映画のためにエルトンとバーニーが書き下ろしたごきげんな新曲が流れます。タロンとエルトンのデュエットが劇場中に響き渡るこの瞬間、どうか聞き逃されませんように!

【プロフィール】♪akira
翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、「映画秘宝」等で執筆しています。

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