たまには母と娘で旅してみない?伊豆の温泉宿でおこもり旅

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たまには母と娘で旅してみない?伊豆の温泉宿でおこもり旅

はじめまして、ライターの生湯葉シホです。普段、Webを中心にエッセイやコラムを書いているのですが、仕事場が家ということもあり、基本的にほぼ外に出ない生活を送っています。

たまに友人と行く旅行も、急にアクティブに動くと日常とのギャップで体がびっくりしてしまうので、旅をするならもっぱら宿から出ないおこもり派。今回は、1月に還暦を迎えたばかりの母のお祝いと自分の誕生日祝いを兼ね、母を連れて東伊豆に1泊2日のおこもり旅行に行ってきました。

東京駅

母娘の会話が弾む、スーパービュー踊り子号

スーパービュー踊り子号

スーパービュー踊り子号

母娘ふたりで旅行するのは人生で初めて。今年還暦を迎えた母は、半ば引きこもりの娘とは違い、ゴルフや遠出が大好きなタイプです。

2カ月ほど前、「ふたりで旅行行かない?」と実家に電話をかけたときは「あんたとふたりで? どうして? わざわざ?」と怪訝そうにしていた母でしたが、待ち合わせ場所の東京駅ではけっこう楽しそうに駅弁を選んでいて、ホッとしました。
美濃吉のお弁当

東京駅で大人気だった美濃吉のお弁当

目的の伊豆熱川駅までは、JR東京駅からスーパービュー踊り子号で約2時間。
駅弁をいただきつつ車窓からの景色を眺めて、のんびりと過ごします。
筆者の母

どのおかずから食べようか迷う母

「伊豆って初めてだよね?」と聞くと、「何言ってんの、あんたが3歳のころ、私たち住んでたのよ伊豆に」と母。私のぜんそくの療養のために1カ月ほど伊豆高原に滞在していたことがあるらしいのですが、まったく記憶がなくて驚きました。

「でもあのころは車で行ってたからね。列車だとゆっくりできていいわねえ」と母。その言葉通り、駅弁を食べ終えた母は列車の心地よい揺れの中で熟睡していました。

伊豆熱川駅

おこもり旅行の舞台「つるや吉祥亭」へ

伊豆熱川駅からの景色

伊豆熱川駅に到着。運よく空は快晴で、趣のある旅館やペンションが立ち並ぶ合間から、青々とした海が見えます。
つるや吉祥亭

海が目の前にある「つるや吉祥亭」

今回宿泊する旅館「つるや吉祥亭」には、伊豆熱川駅から送迎バス(予約不要)に乗って10分ほどで着きました。

時刻は14時。チェックインして、館内をゆっくり見て回る予定です。

つるや吉祥亭の客室

期待に胸を膨らませながら泊まるお部屋に入ると、中は広々とした和室。大きな窓からはすぐ目の前に海が見え、あまりの絶景ぶりに、「えっ、こんなに海見えていいんですか……?」と思わず仲居さんに聞いてしまったほど。

客室からの景色

オーシャンビューとは聞いていたけれど、ここまで目の前だとは。

浴衣に着替え、窓を開けてしばらく贅沢な景色を堪能したあとは、貸切風呂に向かいます。(貸切風呂は当日先着予約制・50分間無料)

貸切風呂

貸切風呂は半露天の岩風呂。ここでもお部屋と同じく目の前に広がる海を眺めながら、久々に母娘水入らずの時間を楽しみました。

つるや吉祥亭

縁日遊びで、思いっきり童心に帰る

つるや甘酒横丁

夕食までの時間、部屋でくつろごうとお茶をいれて本を読んでいると、「ホラ、旅館の中見て回るわよ、せっかく遠くに来てるんだから」と私をせっつく母。室内にいるだけでも、インドア派/アウトドア派って顕著に出るんだな……と感じさせられます。

そんな母に連れられて館内をぶらぶらと見て回っていると、見つけたのが「つるや甘酒横丁」。なんでも、昭和レトロを再現した中で、射的やヨーヨー釣りのような縁日遊びをしたり、甘酒やご当地グルメを味わったりできる場所なのだとか。

つるや甘酒横丁

子供のころに行ったお祭りを思い出して、一気にテンションが上がります。私はさっそくヨーヨー釣りにトライしてみましたが、いちばん大きいヨーヨーを狙ったせいであえなく失敗。
ヨーヨー釣り

一個もとれなかった

母は「あんたは昔から強欲だった」と娘をディスりつつ、射的で狙った的を百発百中で倒し、ほかのお客さんからコツを聞かれていました。我が母ながら、すごいな……。

つるや吉祥亭

お刺身、酒蒸し、天ぷら……魚づくしの夕食

つるや甘酒横丁で存分に遊んだあとは、いよいよ夕食の時間。新鮮なお刺身や蛤(はまぐり)のお吸い物、小鯛の酒蒸しなど、海沿いの宿らしい豪華な魚づくしのメニューに舌鼓を打ちました。

小鯛と新わかめの酒蒸し

小鯛と新わかめの酒蒸し
野菜と海老の天ぷら

野菜と海老の天ぷら

何よりうれしいのが、天ぷらがお代わりし放題であること! 揚げたてを何度でもテーブルに運んできてもらえます。私たちは新じゃが天ぷらのホクホクさに感激し、母とふたりで何度もお代わりしてしまいました。
筆者親子

旅館の方にお願いし、母娘で記念に1枚

実家を離れてから、母娘で出かけることはたまにあっても、ふたりだけで向かい合ってゆっくりと食事をするというのは本当に久しぶり。

「あんた、いつの間にか、酢の物なんか食べられるようになってたのね」と驚く母に、お酒も入っていたせいか、ちょっと感慨深い気持ちになってしまいました。

夕食後、母と一緒に撮った写真を父にLINEで送ると、2秒ほどで既読がついて「おいしそう」と返信が。「パパ家にひとりだから、何していいかわかんないんだろうね……」と母と苦笑しつつ、のんびりお酒を飲みながら夜を過ごしました。

つるや吉祥亭

朝食の後は、干物作り体験

黒根岩風呂

翌朝は起きてすぐ、宿から歩いて3分ほどの場所にある野天風呂「黒根岩風呂」に。朝からゆったりとお風呂を満喫し、昨日に引き続いて海の幸たっぷりの朝食をいただきました。
朝食

テラス席なら海を眺めながらいただける

朝食のあとは館内で、事前に予約していた干物作り体験を。干物作りは天日干しの部(作った干物を自宅に郵送してもらえる)と一夜干しの部(作った干物を翌日の朝食でいただける)を選べるのですが、私たちは干物を父へのお土産にしたいこともあり、天日干しの部で申し込んでいました。

干物作り体験

旅館の方にお手本を見せていただき、アジをひとり3尾さばいていきます。
魚をさばく母

1尾30秒ほどで魚をさばいてしまう母

主婦歴30年の母の手つきは、さすがの一言。手早く包丁を入れていく母とは対照的に、もたつきながらアジの身を開く私。「あんたは実家でろくに料理しなかったから……」と説教を受けつつも、どうにかすべての魚をさばくことができました。
魚をさばく筆者

左右対称に身が開けず苦戦する私

魚をさばき終え、身を真水でよく洗い、海水に近い濃度の水に漬け込みます。

干物作り体験

この塩水に漬けた魚をひと晩干したら、干物ができあがるとのこと。後日、自宅に届けてもらえるのが楽しみです……!

※編集部脚注:干物作り体験の開催日は公式サイトで要確認

伊豆高原駅

フォトジェニックなフラワーガーデンへ

伊豆急行線

車両ごとに違ったモチーフの装飾がされていた伊豆急行線

「あと20泊くらいしたかったね……」と後ろ髪を引かれつつ、おもてなしレベルの高さに驚かされてばかりだったつるや吉祥亭をあとにし、送迎バスで伊豆熱川駅まで戻ってきました。

今回の旅のテーマは、あくまで「おこもり旅行」。とはいえ帰る前に1カ所くらいは伊豆ならではの観光スポットにも行ってみたい、ということで、2017年にリニューアルオープンしたばかりだという「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」を目指すことに。

伊豆急行線の車窓

伊豆急行線の大きな窓から海を見下ろしつつ、伊豆高原駅に向かいます。伊豆熱川駅から伊豆高原駅は伊豆急行線で10分ほど。伊豆高原駅から東海バスに約15分揺られ「伊豆海洋公園」で下車すると、ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデンに到着です。
ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン

ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン

ここはその名の通り、アンティークのニューヨークランプの展示と四季折々の草花を、どちらも楽しむことができる施設。

ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン

展示室で約120年前に作られたというティファニーのテーブルランプやステンドグラスをじっくり鑑賞したあとは、外のフラワーガーデンを散策します。

ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン

このフラワーガーデンが、とにかく抜群のフォトスポット! 海を背景にアネモネやネモフィラなどの色とりどりの花が咲き、パラソルやベンチが並ぶ光景は、日本ではない場所に来てしまったかのよう。

また、5月下旬から7月上旬までは、「城ケ崎あじさいフェスタ」が開催され、200種類以上のあじさいが見頃を迎えるのだそうです。
園内でくつろぐ筆者の母

「伊豆も20年で変わったねえ……」と母

普段はあまり写真を撮りたがらない母も、「ちょっと私ここ座るから、向こうから撮って」とノリノリで被写体になるほど。

カメラロールがフォトジェニックな母の写真で埋まっていくのをちょっと複雑な気持ちで見返しつつ、一緒に遠出をしないと、こんなに生き生きとした母は見られなかったかもしれないな……とも思ったのでした。

ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデンからは、再びバスで伊豆高原駅に戻り、東京へ帰ります。

筆者の実家

お土産の干物を肴に晩酌を

実家の食卓

干物、ちょうどいい塩加減でした

旅行から帰って3日ほどで、干物作り体験の干物が届いたという連絡を母から受けて実家へ。久しぶりに会った父も入れて3人で、干物を肴に晩酌を楽しみました。

最高の宿で、時間を気にせずにゆっくりできたのはもちろん、普段はなかなか足を延ばさない実家に帰省するきっかけまでくれた、今回のおこもり旅行。母娘で話すきっかけって、自分から作らないと逃し続けてしまうのかもしれない、と初めて気づきました。

これからも、年に一度くらいは父や母を連れて、アクティブすぎずのんびり景色を楽しめる旅行に行きたいな……と思います。

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びゅうたび

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