獣医師監修!猫のご飯の選び方|食事の回数・量など

獣医師監修!猫のご飯の選び方|食事の回数・量など

猫のご飯の適切な量から回数、キャットフードの選び方など・・・。猫の食事にまつわる疑問をプロに徹底レクチャーしてもらいました。猫を飼っている方はもちろん、これから飼う方も必読の情報ばかりです。猫のご飯にまつわる素朴な疑問を集めた「猫のご飯Q&Aコーナー」もあり。

目次

猫のご飯の選び方

猫のご飯で気をつけること

猫のご飯を手作りする時の注意点

猫のご飯Q&A
服部幸(はっとり・ゆき)

東京猫医療センター院長。JSFM(ねこ医学会)CFC理事。北里大獣医学部卒。2005年から猫専門病院長を務め、2012年に東京猫医療センターを開院。2013年には国際猫医学会からアジアで2件目となる「キャット・フレンドリー・クリニック」のゴールドレベルに認定される。著書に『猫を極める本』(インターズー)、『もっと!ネコにウケる』(ワニブックス)、『イラストでわかる ネコ学大図鑑』(宝島社)など。
東京猫医療センター

猫のご飯の選び方

© PIXTA

猫のご飯は、栄養バランスを考えられて作られたキャットフードを与えるのが基本。
キャットフードと一口に言っても、ドライやウェットなど種類がたくさんあったり、年齢別に変える必要があったりと、意外と悩みやすいもの。

そんな悩みをなくすべく、キャットフードの基本的な選び方をご紹介しましょう。

 

キャットフードの種類

キャットフードには目的別に大きく分けて、主食となる総合栄養食、おかずとしての一般食、おやつやふりかけなどの間食、療法食の4つがあります。

日々の食事としては、総合栄養食と水で十分です。
猫は肉食動物なので、たんぱく質や脂質は欠かせません。総合栄養食は、鶏肉や牛肉などの肉類、サーモンや白身魚などの魚類を主な原材料に、成長段階に合わせて猫に必要な栄養素がバランスよく配合されています。

一方、一般食やおやつは単体では栄養に偏りが・・・。毎日の食事のトッピングやしつけのご褒美として、カロリーオーバーにならない程度に補助的に与えるものです。

療法食については、病気をした際の食事となるので、獣医師の指導のもと選ぶのがベストです。

さらに、キャットフードは含まれる水分量によって、ドライ、ソフトドライ、セミモイスト、ウェットの4つの形態に分けられます。
水分量によって保存方法や食感に違いが出てくるので、飼い主のライフスタイルや猫の好みで選ぶといいでしょう。

ドライフード
含まれる水分が10%以下で、その名のとおり、乾燥しており、カリカリの食感のキャットフードです。カリカリなので、歯石がつきにくいというメリットも。また、水分が少ない分、カビや細菌も繁殖しにくく、日持ちもします。1食分ごとに小分けにしておくのがおすすめです。

 

ソフトドライフード
25〜35%ほどの水分含有量で、加熱発泡処理をしたキャットフードを指します。ドライフードと形状は似ていますが、ドライフードよりも柔らかく、しっとり感が増して食べやすくなっています。水分量が多い分、長期保存には向いていません。

 

セミモイストフード
ソフトドライ同様、水分含有量は25〜35%程度ですが、発泡していないキャットフード。いわゆる「半生タイプ」と呼ばれるものです。嗜好性が高く、柔らかい食感のため、歯やあごの力が弱くなった猫におすすめ。ただし、保存が難しく、キャットフードにはほとんど見られないタイプで種類もあまりありません。

 

ウェットフード
75%ほどの水分量で、殺菌処理された後、缶詰やレトルトパウチなどに入れられます。開封後は日持ちしないので、食べ切らなければなりません。水分量が多いので、あまり水を飲まない猫におすすめです。ただし、歯石がつきやすいので、歯磨きも忘れずに。

 

【オーガニックのキャットフードって?】
キャットフードの中にも「オーガニック」とうたわれているものがあります。
オーガニックのキャットフードは、農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術などを使わずに、自然の中で有機的に栽培された原材料で作られています。

やや価格は高めになりますが、ナチュラル志向への強いこだわりがあれば試してみてもいいでしょう。

 

キャットフードは年齢に合わせて変える

© PIXTA

猫も人間同様に年を重ねるごとに体が変化していきます。

大まかには、生後12ヵ月ごろまでの子猫、1歳以上の成猫、7歳以上の老猫と3つのライフステージに分けられます。

それぞれのライフステージで必要な栄養素のバランスも変わってくるので、猫の成長に合わせてキャットフードも切り替えていくようにしましょう。
切り替えは、新しいフードを少しずつ混ぜるなどして、様子を見ながら徐々に行うこと!

子猫(~生後12ヵ月)の場合
子猫の成長は著しく、その変化に合わせて食事も変えていかなければなりません。生まれてから4週目ごろまでは子猫用ミルクを与え、生後1ヶ月を過ぎるころには子猫用の離乳食、乳歯が生え揃ってくる生後1ヵ月半から2ヵ月ごろには子猫用のキャットフードへと切り替えていきます。また、生後6ヵ月前後には去勢・不妊手術が受けられるほどに成長します。手術後は太りやすくなるため、去勢・不妊手術後用のフードや、子猫用よりも低カロリーな成猫用のキャットフードに変えて肥満を予防しましょう。

 

成猫(1歳以上)の場合
猫の体はおよそ1年でほぼできあがります。去勢・不妊手術をまだ受けていない場合は、1歳をめどに成猫用のキャットフードに切り替えます。その前に去勢・不妊手術を受けた場合は、手術後から成猫用キャットフードに切り替えを。主食は必ず栄養バランスが優れた「総合栄養食」の表示があるものを選びましょう。

 

老猫(7歳以上)の場合
猫の7歳は人間の年齢に換算すると44歳。少しずつ老化が始まってくる頃です。老化を感じ始めたら、成猫用からシニア猫用フードに切り替えるタイミングです。猫によって個体差はありますが、7歳から11歳ごろが適齢期。シニア猫用のフードは消化がよく、加齢によって不足する栄養素を多く含みます。歯が悪くなっている場合は、ドライフードをお湯でふやかしたり、やわらかいウェットフードを取り入れたりするなど、食べやすいように工夫してあげるのも大事です。

 

トラブルに合わせてキャットフードを選ぶのも手

キャットフードも猫のお悩みに特化したものが売られています。

肥満が気になる場合はカロリーが低めでも栄養バランスのいいダイエット用のキャットフードにしたり、毛玉ケアをしてあげたい場合には食物繊維が多く毛の排出を促してくれる毛玉対策フードにしたりするなど・・・。
猫が抱えるトラブルに合わせてキャットフードを切り替えるのも一つの手です。

また、去勢・不妊手術後には、ホルモンバランスの変化によって基礎代謝が落ちて太りやすくなるため、去勢・不妊手術後用のフードを活用して、カロリーコントロールするのもよいでしょう。

 

病気中のご飯は獣医師に相談を

猫には、尿石症や腎臓病など食事制限のある病気があります。
キャットフードには療法食という病気をした時用のものがあると説明しましたが、病名がわかっていたとしても、これらのフードはかかりつけの獣医師の指示に従って与えるようにしましょう。

動物病院によっては病気や症状にあったキャットフードを購入することができるところもあるので、まずは相談をするのが第一です。

 

猫のご飯で気をつけること

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1日に与える回数や、分量など・・・。ここでは、猫にご飯を与える時に気をつけることをご紹介します。
すでに猫を飼っている方は、ご飯の与え方が自己流になっていないか、改めてチェックしてみて!

 

猫にご飯を与えるのは1日2〜3回が目安

猫の食事の回数や時間に決まりはありません。

もともと野生の肉食動物であったことを考えると、好きなときに食べるというのが本来の姿。
1日あたりの食事の量が適量を超えていなければ何回に分けてもOKです。

とはいえ、飼い猫の場合は、飼い主のライフスタイルに合わせて、朝と夜の2回、もしくは朝昼晩の3回が一般的でしょう。

 

猫のご飯の分量

食事の分量はキャットフードのパッケージ裏などに指定されている分量に沿って与えましょう。
猫がよく食べるからといって多すぎると肥満の原因に、少なすぎてもカロリー不足や栄養不足になってしまいます。

また、実際に猫が食べている食事の量も要チェックです。
ご飯の食べ残しがある場合は、キャットフードの変更や引っ越しといった環境の変化が原因かもしれません。
キャットフードの種類を元に戻したり、前の家に近い環境を作ってあげたりと、猫のストレスが少なくなるよう配慮してあげてください。

特に、急激に食べるご飯の分量が減ったり、一日以上何も口にしない場合は、病気の可能性が大きいです。
早めにかかりつけの動物病院で診てもらうようにしましょう。

 

専用の食器を用意すること

人が使う食器と共用していると、器を経由して猫の体内にいた寄生虫が人に感染してしまうので、猫専用の食器を用意してください。

猫はきれい好きなので、食器はトイレから離れた場所に置くようにしましょう。
また、食べ残しもなく、一見食器がきれいに見える場合でも、雑菌がついていることがあるので、ご飯を入れ替える度に毎回きちんと洗うことを忘れずに。

 

ご飯だけでなく「水」も大事

ご飯だけでなく、水も猫の健康のためには欠かせません。

猫の1日の飲水量に明確な基準はありませんが、体重1kgあたり約50ml以上飲むようなら異常。水の飲み過ぎは腎臓病などの病気の兆しでもあります。一方で、あまりに飲まなさすぎても膀胱炎や尿結石などの原因に。日頃から猫の飲水量にも目を配っておくことが大事です。

また、猫に与える水は水道水でもミネラルウォーターでもOK。ミネラルウォーターの場合は、硬水だと尿路結石ができるリスクがあるので、国産の軟水がおすすめ。
猫は新鮮な水を好むので、水が減ったら器を毎回洗って、新しい水に取り替えます。
猫によって水の好みはそれぞれなので、水温や出し方などいろいろと試して好みを見つけてみるのもいいでしょう。

 

猫のご飯を手作りする時の注意点

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かわいさのあまり、「猫のご飯を手作りしたい」と思ってしまう方も少なくないはず。
ここでは、猫のご飯を手作りするうえで知っておくべきことをお伝えします。

 

そもそも猫のご飯は手作りできる?

猫のご飯を手作りすること自体は可能です。

手作りのご飯には、新鮮な食材を使えることや、添加物や防腐剤などの余計なものが含まれないというメリットがありますが、よほど猫の栄養学に精通していない限り、おすすめできません。
必要な栄養素を過不足なく摂取することが難しいだけでなく、猫にとって危険な食材を使ってしまう恐れがあるからです。
食材によっては死に至るケースもあります!

また、保存がきかないので、手間がかかるというデメリットも。
ちょっとでも手作りしてあげたいという気持ちがあるなら、味付けなしの茹でた鶏ささみを市販のキャットフードにちょい足しするくらいの手軽なものがいいでしょう。

 

【OK】猫のご飯として与えてもいい食材

猫は陸上で生きる肉食動物。
その生態から、猫に最適な食材は、基本的には陸上で生活する動物の肉類と覚えておくといいでしょう。

ただし、生肉は寄生虫や細菌がいる可能性があるので、必ず火を通してください。
魚は白身魚や赤身魚を少量であれば食べさせてもOKですが、生よりも加熱している方がベターです。
また、野菜や果物類は積極的に与える必要は特にありません。
おねだりしてきたら、コミュニケーションの一環として、少しだけ分けてあげる程度にしておきましょう。

ただし、NGな食材にはくれぐれも気をつけてください。
【肉】

鶏ささみ

鶏むね肉

牛肉

豚肉

 
【魚】

ヒラメ

タイ

 

【NG】猫のご飯に適さない食材

人にとっては無害で栄養価が高くても、猫が食べると中毒症状や病気になってしまう食材があります。
意外かもしれませんが、チョコレートや玉ねぎなどネギ類は危険度大。

イワシやアジなどの青魚もたくさん食べすぎると黄色脂肪症になるので要注意です。

 

猫のご飯Q&A

猫のご飯にまつわる素朴な疑問に対して、獣医師の服部幸さんにお答えいただきました。

 

Q.多頭飼いで、一匹が他の猫のご飯まで食べてしまいます。対策は?

それぞれの猫の食事の場所を別々にし、ご飯を与える時間もずらしてあげましょう。

フードの出しっ放しも避けた方がいいです。
横取りする猫にアレルギーがある場合、他の猫用のご飯を食べるとアレルギー症状が出てしまうことも。
また、肥満ぎみの猫が出しっ放しのご飯を食べてしまうと、いつまでたっても減量することができません。

 

Q.人間の食べ物を拾い食いします。予防法やしつけ方はありますか?

しつけは難しいので、ふだんから人間の食べ物を猫の手が届くところに置いておかないようにすることが大事。食材の出しっ放しは厳禁ですよ。

 

Q.猫にもご飯によるアレルギーってあるの?

あります。嘔吐や下痢、激しいかゆみを伴う皮膚炎を起こしているようなら、食物アレルギーが疑われます。
とはいえ、他の病気の場合もあるので、まずは一度、動物病院で診てもらいましょう。

 

Q.猫の毛並みとご飯は関係ある?

特にはないと思います。
特定の食材を食べれば毛並みがよくなるということはなく、全般的に健康であれば毛並みもよくなるものです。

 

Q.下痢や嘔吐はご飯が原因?

猫は健康でも早食いや食べ過ぎが原因で食後に吐くことがあります。
また、キャットフードを変えたばかりなら、フードが猫に合わない可能性も。

週2回以上吐くようだったら、大病の疑いもあるので要注意です。
また、下痢については、成猫や老猫の場合は何かしらの病気の可能性が高いです。
子猫の場合は、腸内細菌のバランスがまだ安定していないため、キャットフードを変えたことが原因となって下痢をすることも。免疫力も低いので感染症が原因のケースもあります。

いずれにしても、症状が続くようだったら、早めに動物病院を受診するようにしてください。

 

いかがでしたか?
猫の食事も千差万別。それぞれのキャットフードの特徴を知った上で、いろいろ試しながら自分の猫にぴったりのキャットフードを見つけてみてください。

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