「好感をもたれる人」がマナーよりも優先していることとは?

「好感をもたれる人」がマナーよりも優先していることとは?

デジタル時代だからこそ、デジタルでは割り切れないアナログの「気づかい」に悩まされる人もいるのではないでしょうか。自分ではよかれと思って行動したのに、裏目に出てしまい、恥をかいたり、かかせたり。それだけにとどまらず、相手の期待を裏切り、信頼を失ったなんて経験をした方もいるのではないでしょうか。悲しいですが、自分の気づかいが、必ずしも相手に喜ばれるわけではありませんよね。そこで、『損する気づかい 得する気づかい』(ダイヤモンド社刊)の著者八嶋まなぶさんに、損しないための気づかいの極意を教えてもらいました。

©ひらのんさ

プロフィール

八嶋まなぶ(やしま・まなぶ)

サラリーマン作家。「気づかいLabo」主宰。広告業界の第一線で営業職として勤務するサラリーマン作家。東証一部上場企業の経営者、世界的企業のCEO、政治家、医師、弁護士、大物俳優・女優、クリエイター……など、総勢3500名を超える「鬼のように気をつかう」クライアントと仕事をともにし、その過程で気づかいやダンドリといった対人スキルを磨く。その結果、「業界平均3割で上々」と言われる競合プレゼンにおいて、勝率は7割超をキープ。近年では口コミでクライアントから「直接指名」で仕事を獲得するようになる。

そうした経験を通し、「そつなく気をつかい、うまいことやっていく人」と、「気はやさしいのに、よかれと思ったことが裏目に出る人」には決定的な共通点があることを実感。「空気を読む」「あうんの呼吸」といった概念を、極めて具体的なアクションに起こし、紹介する活動を開始。プライベートレッスンでは「コミュニケーションが苦手だった人が無理なく人と話せるようになる」「新卒の大学生が飛び込み営業のエースになる」など、実績を残している。2019年4月より国内最大級のメルマガ「まぐまぐ」からオファーを受け、より突っ込んだ内容の気づかいメルマガも配信。

損する人は、「マナー」や「型」ばかりに気を取られ、得する人は「ナチュラル丁寧」で好感を生み出す

タクシーに乗るときは、「奥に座ってもらう」ことにこだわらず「奥に行きたいかを確認する」

ビジネスマナーの地雷を踏んで、知らないうちに常識知らずと思われることほど、恥ずかしくて悔しいことはありませんよね。特に目上の人とのやりとりは苦手という人は多いようです。

ビジネスシーンでは、マナーがあります。テッパンなものとしては、席次。上座・下座です。

たとえば、タクシー(車)の上座と下座をご存じでしょうか。一般的に「タクシーの上座は運転手のうしろ」とされており、目上の人と一緒にタクシーに乗る際は、「奥にどうぞ」とすすめるのがマナーとされています。

ですが、このような型にこだわり過ぎると、かえって相手に余計な気をつかわせることがあります。

タクシーでいえば、狭い車内の中で奥に移動するのは手間です。また、奥に座ると目的地に着いたとき、先に出られないので、「料金の支払い待ち」も発生します。

そこで、得する気づかいとしては、「奥に座られますか?」と相手に確認することです。

世の中には「ちょうどいいマナー」というものがあります。

ホテルのコンシェルジュや飛行機のキャビンアテンダントなど、仕事としてマナーを徹底しなければいけない、ということでなければ、「型」よりも相手の居心地の良さを考える「ナチュラル丁寧」を目指しましょう。

ナチュラル丁寧の例

・何通もメールするなら即電話する

・おしゃれより、相手に恥をかかせない清潔感を心掛ける

・ギリギリまで粘って100点の報告を目指すより、50点でもいいから早めを心がける

・部屋の温度は、相手の熱い寒いに合わせた温度にする

・新幹線や飛行機のチケットを予約する際は、窓側が良いか通路側が良いかを確認する

・来客時、勝手にコーヒーを出すのではなく、好きな飲み物を選択してもらう

・「ごちそうする」と言われたら、「いいです」を繰り返さず、遠慮なく甘える

・相手によってナイフとフォークで食べる料理でも、お箸を用意する

・ミシュランの店ばかりではなく、ゴールデン街や思い出横丁に案内する

美味しいものを食べさせてもらったら、味の感想ではなく、質問をする

目上の人に食事に連れていってもらったとき、会話を弾ませるための気のきいたコメントが言えず、悩む人が少なからずいます。フレンチや会席料理、高級焼肉など、「おいしい」のはあたりまえなので、グルメレポートができればいいのですが……。でも、そんなことで悩む必要はありません。

そもそも、目上の人は味のコメントなんて求めていないのです。それよりも、この店の自慢や苦労話を話したくてうずうずしています。

ですから、ここでの正解は、「コメント」ではなく「質問」です。次の二つだけおさえておけば問題ないと私は考えます。

1「昔からこのお店をご存知なのですか?」

2「どうやってこんなおいしい店を見つけているのですか?」

1は、このお店に関するエピソードを引き出す質問。2は、特に食通の人に有効な質問です。「サイトなどの評価より、経費を一番使っている営業マンの情報が信用できる」など、意外なエピソードが聞けたりします。

質問から会話を広げていく。これは、どんなコミュニケーションでも共通する得するアクションです。

チェックポイント

☑ タクシーに乗るときは「奥に行きたいか」を確認する

☑ 何度もメールするなら即電話する

☑ 「昔からこのお店をご存知なのですか?」と聞く

☑ 「どうやってこんなにおいしい店を見つけているのですか?」と聞く

まとめ

気づかいに才能は必要ありません。「損する」地雷を避け、「得する」型だけを実践していけば、だんだんと、そして自然と、「あっ、この場合は、こうしておいたほうがいいかな……?」という感覚が、磨かれていくのです。ぜんぜん乗れなかった自転車に、急に乗れるようになる。そんな感覚が必ず訪れます。気づかいは、そんなに難しいことではない。そして、気づかいがうまくいくと、人生こんなに楽しいことはない! あなたにも、そんな心境になってほしいなぁと思い、ビジネスの気づかいからプライベートの気づかいまで、幅広く使える気づかいの型を「損する気づかい 得する気づかい」に凝縮しました。あなたの人生に幸あれ! バラ色の日々が訪れることを祈りながら、ぜひ、本書を活用してください。

著者:八嶋まなぶ

『損する気づかい 得する気づかい』

出版社: ダイヤモンド社

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