本の雑誌が選んだ平成30年間の第1位30冊を発表!

 GW進行でいつもより一週間早く下版を終えた編集部には、連休を前にして怠惰な空気が流れていた。年末にできなかった大掃除をしていた進行の松村があまりの暇さに「うちの雑誌は平成の30冊とか発表しなくていいんですか?」と編集長の浜本に問いかける。しかし終始、昼飯に何を食べるかしか考えていない浜本は、「うーん、やっぱりGWの前にめんめんかめぞうを食べ納めしないとな」とまったく聞いてない様子であった。しかしそのとき、事務の浜田が、突然大きな声を上げた。

「あーーーーーー! 本の雑誌の年間ベストテンって平成とともに始まってるぅ!!!!!!!」

 一同あわてて、町田市民文学館ことばらんどで開催した「本の雑誌厄よけ展」記念で編んだ『ベスト10本の雑誌』を手にすると、確かに平成元年、1989年の年間ベストテンの発表から本の雑誌ベストテンはスタートしているのだ。これまで西暦でしか表記してこなかったから気づかなかったけれど、「本の雑誌」の年間ベストテンは平成とともに歩んできたのである。

 というわけでここに平成30年間の「本の雑誌」が選んだベストテン第1位を発表しよう。

 だたし、どれもこれもその年を代表する面白本であることは間違いないが、これはこのベストテンは発案者である前発行人目黒考二が「こんないいかげんな企画がよくもまあ続いたものだ」と呆れながら感心するほどのベストテンであり、”きとんと議論もせす、声の大きい者、早く推薦した者の推薦本がいつも上位を独占している”ようなお遊び企画なので、決してここから平成という時代の世相が見えることはない。見えるとしたら「本の雑誌」でこの30年間働いてきた社員の趣味趣向と、”佐藤”が強いということであろう。

本の雑誌が選んだ平成30年間の第1位30冊

平成元年(1989年)
『ギャンブルレーサー』田中誠

平成2年(1990年)
『性的不能者裁判』P・モルダン

平成3年(1991年)
『そんなバカな!』竹内久美子

平成4年(1992年)
『文政十一年のスパイ合戦』秦新二

平成5年(1993年)
『ワンダフル・ライフ』S・J・グールド

平成6年(1994年)
『いまひとたびの』志水辰夫

平成7年(1995年)
『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』D・シモンズ

平成8年(1996年)
『空想科学読本』柳田理科雄

平成9年(1997年)
『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子

平成10年(1998年)
『消えた少年たち』O・S・カード

平成11年(1999年)
『双頭の鷲』佐藤賢一

平成12年(2000年)
『ジャンプ』佐藤正午

平成13年(2001年)
『翼はいつまでも』川上健一

平成14年(2002年)
『流星ワゴン』重松清

平成15年(2003年)
『シービスケット』L・ヒレンブランド

平成16年(2004年)
『夜のピクニック』恩田陸

平成17年(2005年)
『風味絶佳』山田詠美

平成18年(2006年)
『一瞬の風になれ』佐藤多佳子

平成19年(2007年)
『ミノタウロス』佐藤亜紀

平成20年(2008年)
『絶対帰還。』C・ジョーンズ

平成21年(2009年)
『デンデラ』佐藤友哉

平成22年(2010年)
『ふがいない僕は空を見た』窪美澄

平成23年(2011年)
『なずな』堀江敏幸

平成24年(2012年)
『人間仮免中』卯月妙子

平成25年(2013年)
『なぎさ』山本文緒

平成26年(2014年)
『笹の舟で海をわたる』角田光代

平成27年(2015年)
『エンジェルメイカー』N・ハーカウェイ

平成28年(2016年)
『慈雨』柚月裕子

平成29年(2017年)
『オブリヴィオン』遠田潤子

平成30年(2018年)
『古本屋台』Q.B.B

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