【フラット35】を使う人は必見!4月からと10月からの変更点とは?
住宅ローンの商品内容は、その時々のニーズに応じて見直される。全期間固定金利型ローンの代表格【フラット35】も同様だ。2019年度は4月と10月の2回にわたって、制度変更が行われる。どういった点が変わるのか、【フラット35】の利用を考えている人は要チェックだ。【今週の住活トピック】
【フラット35】2019年4月と10月の主な制度変更事項について/住宅金融支援機構
・10月の制度変更事項
【フラット35】のラインナップ、意外に充実?
まず、【フラット35】についておさらいしておこう。
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して、ユーザーに提供している住宅ローンで、35年などの長期間にわたって金利が変わらないのが特徴だ。提携先の民間金融機関や取り扱う商品タイプによって、実際に借りるときに適用される金利や融資手数料が異なる点が注意点だ。
また【フラット35】は、性能が低い住宅やワンルームのような狭い住宅には利用できない点にも注意したい。一方で、性能の高い住宅などには、金利の引き下げなどの商品タイプも用意されている。
具体的に、商品ラインナップを見ていこう。
〇返済期間の異なるもの
・【フラット20】:借入期間が15年以上20年以下の場合に利用できる。【フラット35】(借入期間21年以上35年以下)よりも金利が低くなる。
・【フラット50】:「長期優良住宅」であれば、35年を超えた返済期間(最長50年)を設定できる。【フラット35】(借入期間21年以上35年以下)よりも金利は高くなる。
〇当初一定期間金利を引き下げるもの
・【フラット35】S:省エネ性や耐震性などを備えた質の高い新築住宅や中古住宅を取得する場合に、当初一定期間【フラット35】の金利が引き下げられる。
・【フラット35】リノベ:中古住宅を購入して一定の性能向上リフォームを行う場合(住宅事業者が性能向上リフォームを行った中古住宅を購入する場合も対象)に、当初一定期間【フラット35】の金利が引き下げられる。
〇地方公共団体と連携して金利を引き下げるもの
・【フラット35】子育て支援型・地域活性化型:地方公共団体による補助金交付などの財政的支援とセットで、当初一定期間【フラット35】の金利も引き下げられる。
〇住宅取得費以外も対象になるもの
・【フラット35(リフォーム一体型)】:中古住宅を購入してリフォームする場合、リフォーム費用も借りられる。住宅の品質が住宅金融支援機能の技術基準を満たさない場合でも、リフォームすることで基準を確保できれば利用可能になる。
以上が【フラット35】のラインナップだ。ただし、金融機関がすべての商品を取り扱っているとは限らない。また、【フラット35】子育て支援型・地域活性化型は、地方公共団体によって制度の有無や利用条件が異なる。利用できるかどうかは、事前に確認する必要がある。
【フラット35】の2019年4月・10月からの変更点は?
ではまず、基本となる【フラット35】の4月・10月からの変更点について見ていこう。
【フラット35】の融資対象の融資対象となる費用は、2018年4月に拡充されたが、2019年4月からはさらに、建築確認費用や新築マンションを購入する場合に引き渡し時にまとめて払う「マンション修繕積立基金」「マンション管理準備金」などが加わる。
2019年10月1日以降に融資が実行される分からは、融資率が9割を超える場合、融資率が9割以下の金利に上乗せしていた金利が引き下げされるようになる。【フラット35】は、融資率が9割以下と9割超では金利が異なり、今は9割超の場合に年0.44%の金利を上乗せしている。この上乗せ分が、10月以降の融資実行分から年0.26%に引き下げられる。【フラット35】(買取型)の融資率9割超の金利引き下げ(出典/住宅金融支援機構「2019年10月【フラット35】制度変更のお知らせ」資料より転載)
また、融資対象となる住宅として、「住宅の建設費(土地取得費の借り入れを合わせて希望する場合はそれを含む)または購入価額が1億円以下(消費税含む)の住宅」という条件があるが、2019年10月1日以降にローンの申し込みをする分からこの制限が撤廃される。
ただし、融資限度額の「8000万円以下」の条件は変わらないので、融資対象は広がったが、融資限度額が引き上げられたわけではない。
さてこうして見ていくと、融資率9割超の場合の金利がこれまでより引き下げられること、諸費用の範囲が拡大したことから、諸費用まで含めた額が借りやすくなるわけだ。しかし、今の年収から見て借りられるからと安易に借りてしまい、長期間返済するうちにローンに回せる額が不足するといったことのないよう、借り過ぎには注意したい。
【フラット35】のほかのラインナップの変更点は?
次に、【フラット35】のほかのラインナップ商品の変更点を見ていこう。
【フラット35(リフォーム一体型)】では、リフォーム工事前の住宅の状態が【フラット35】の技術基準に適合するかの事前確認が必要となるが、一定の条件を満たす場合に省略することができ、2019年4月からはその対象が広がった。
地方公共団体と連携する【フラット35】地域活性化型では、2019年10月1日以降にローンの申し込みをする分から、従来のUIJターンやコンパクトシティ形成、空き家バンクなどの補助金交付事業に加え、新たに「防災対策」と「地方移住支援」が加わる。【フラット35】地域活性型の事業拡充(出典/住宅金融支援機構「2019年10月【フラット35】制度変更のお知らせ」資料より転載)
ほかにも、【フラット50】の融資率上限や融資限度額が、2019年10月1日以降の融資実行分から引き上げられる変更も行われる。
マイホームを取得する場合、住宅ローンの果たす影響は大きい。長期間にわたって返済していくことになるので、融資額や金利の違いは確実にチェックしておきたいポイントだ。事前に多くの情報を集めて、自分に適したローンをしっかり選んでほしい。
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