解散から14年……冷たい青色から暖色のライブに Waive杉本善徳「お互いが“やりたいな”、“観たいな”が持続する関係性を作りたい」[撮り下ろしインタビュー]

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Waive現役終盤に書いた楽曲「Sad.」の話

ここからはWaiveの過去の傷をえぐるような楽曲に関してのお話も含むので、触れたくない方はご注意ください。

――少し踏み込んだ話になるんですが、解散前のラストアルバム『HEART.』に収録されている「Sad.」に当時衝撃を受けまして……。

杉本:あはは! はいはい。


動画:【公式】Waive – Sad.(LIVE / 2016年4月3日@EX THEATER ROPPONGI)
https://youtu.be/LTSD9fV6FVk[YouTube]

――あと、「PEACE?」のカップリングの「ASIAN『noir』GENERATION」とか……、当時の杉本さんの感情をぶつけているのかな、と感じていたのですが。

杉本:「Sad.」は思い切りそうですね。「ASIAN~」は逆にそうなる(解散の)きっかけになったんですよ。僕は明確に覚えているんですけど、祐天寺にあるSTUDIO Somewhereでレコーディングをしていて。その時はまだ“僕は”田澤くんとコミュニケーションが取れていると思っていたから、田澤くんと僕とで「2人で歌詞を書こう」と話をして、実際にクレジット上はそうなんですけど。「1 コーラス目は田澤くん、2 コーラス目は僕ね」みたいな書き方をしていて。でも、歌を録る当日になって彼が持ってきたのが、最初の「偽りの空」だけだったんですよね(苦笑)。

――出てきたのがその言葉というのも……。

杉本:とにかく頭のブロックだけで、あとは空白。「これ以上書かれへんかったわ」と持ってきた時に、「これはあかん」と思ったんです。その時分のいろいろなことに解散への布石が散りばめられていたというか。もしかしたら、僕はそのときまだ気づいてなくて、「あ、書かれへんねや」くらいだったけど、彼はもう解散に向けての流れに入っていたんじゃないかな。本人が気付いていたかは別としても。

――そうですね……。それで、「Sad.」を今でも歌うじゃないですか。最初に言ったように、私は2010年からMUD FRIENDSで久々のWaiveだったので、「うわ、今『Sad.』歌う!?」と驚いて。

杉本:しかも対バンイベントでね(笑)。

――それも結構な衝撃で。また今回のツアーのセットリストにも全会場に入っていて。今、杉本さんはどんな気持ちで「Sad.」を歌われているんですか?

杉本:これは「Sad.」に限らない話になってしまうんですけど、例えば同じアルバムで解散の決定後に書き下ろした「HEART.」や「C.」、どれに関してもその時の気持ちや感情で当時の何かに向けて書いて生まれた曲だけど、例えば解散から5年経った2010年のときや、この間の2016年、MUD FRIENDS、今回のツアー、今の自分の抱えていることだったりにも当てはまるんだなぁと思うことが多くて。

――へえ。

杉本:だから、例えば今「Sad.」をやっているときに、解散の時の「Sad.」の気持ちでやっていることは僕はないです。田澤くんとかはわからないですけど(笑)。僕は曲も歌詞も書いた人間ですけど、その時の気持ちを思いながらとかはまったくなくて、少なくともその当時のことはあまり思わないかな、どの曲に対しても。

――では、新たな気持ちや想いをのせて歌っているんですね。

杉本:人生は本当に複雑だなと僕は思っていて。喜んだり、悲しんだり、反省したり、こんなにもいろいろなことを経験してきたのに、違うシーンで同じようなことをまた自分が引き起こすんだ、みたいなことを生きていると何度も味わうから。まあ「Sad.」でも「HEART.」でも、「うわ、今これか~。なんで俺は過去にこれ経験したのに、10年以上経ってもまた……」みたいなことはひたすらある(笑)。

――逆にお客さんもそうかもしれないですよね。バンドではなく、今の自分自身に当てはめたり、いろいろな聴き方をしているのかなと思います。

杉本:Waiveは本当に運良くなのか、昔から変に悟っていたのかもしれないけど、「大人になってもまだこれを背負いながら生きるしかないのか……」ということを書けていて。案外、「あれ、俺は未だにこのループから抜け出せない」と思うことがある。それはもしかしたら、10年後も20年後も。もちろん昔の曲なのでチープになっていく部分はあるんだけれど、「同じことを思うかも」ということは多いんですよ。

――普遍的なことを歌っている楽曲が多いですよね。そして、今回のパンフレット特典の新曲「BRiNG ME TO LiFE」ですが、今のタイミングでこれなんだ、という意外さもありました。

杉本:曲がですよね。

――曲もですけど、2016年の新曲「Days.」と「END ROLL」が割りと未来に目を向けたポジティブな印象のものだったのと、公演も良い状態で終わり、そこから2018年のバンドやライブの空気感もとても良い状態が続いている中で、今こういった感情を綴るんだな、と。

杉本:たぶん、それもどの角度で何を観ているか、な気がします。ファンの方の目線から観た時に、例えば「Sad.」がWaive現役解散前の最後の感情だとして、そこから曲はしばらくできずに「Days.」「END ROLL」がようやくできて、なんとなく繋がっている物語として見ているのかもしれない。その見方をすると今回の新曲は、僕が書いていることの時代が逆戻りしたように見えていると思うんですけど、僕的には進んでいく中で、さっきも言ったように対Waiveじゃないところで「Sad.」だったり他の楽曲に当てはまる出来事が起きるから、「Days.」の前だ後だということじゃなくて、単純に時系列の中でまたこういうことが僕の人生に起きているだけだったりするんですよね。

だから、もしかしたらまた「Days.」みたいなことを言い出すときが来て、そのときにファンの方がWaiveについて歌っていると思ってくださっているだけだったりする。投げやりに言うと関係なかったりするんです。でも、まったく関係ないわけじゃなくて、僕はWaiveも含めて全部自分にとっては人生だから。僕はクセなのか個性なのか、バンドのことを書こうがファンのことを書こうが、自分のプライベートや空想の物語だったとしても、人生ドラマにいつまでも当てはまりそうなことを書くみたいなので、追っかけている角度によってはバンドの物語にどれも当てはまるから、そう見えるんでしょうね。

――そうですね。ハッキリとした言葉をいただけたので、すべての楽曲をフラットに楽しめそうです。ありがとうございました!

平成最後のWaive GIG『「サヨナラ?」愛しい平成よ』2019年4月30日(火・祝)Zepp Tokyoはチケット発売中!

Waiveオフィシャルサイト:
http://www.waivewaive.com/

[撮影:周二郎]

公演情報

Waive GIG『「サヨナラ?」愛しい平成よ』
2019年4月30日(火・祝) Zepp Tokyo
Open 17:15 / Start 18:00
前売料金 1Fスタンディング ¥6,500(税込・Drink代別)
※3歳以上はチケット必要
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~19:00)
※入場者全員に、新録「Dear」のCD音源をプレゼント!

■各プレイガイドにてチケット好評発売中!
イープラス: http://eplus.jp/waive-gig/[リンク]
チケットぴあ: 0570-02-9999 https://t.pia.jp/【P:126-992】[リンク]
ローソンチケット: 0570-084-003 https://l-tike.com/waive【L:76541】[リンク]
楽天チケット: http://r-t.jp/waive [リンク]

※令和最初の公演『まだ見ぬ”令和”へと駆け抜けてく』(2019年5月1日(水・祝)恵比寿LIQUIDROOM)はSOLD OUT。

杉本善徳 単独公演『南無 ~get ready to show the ××~』
2019/7/6(土)渋谷CYCLONE
*当日入場者全員に新曲CDを無料配布!
開場16:30/開演17:00 チケット料金:¥5,800(税込・ドリンク代別¥600)
[問]Zeppライブ:03-5575-5170(平日13:00~17:00)
詳細は「杉本善徳」オフィシャルサイトまで!
http://www.ys1126.com/[リンク]

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