早春の旅は「房総のローカル線ハシゴ」で決まり!ジモト駅弁も必食!
「空が広い」って、気持ちいいですよね!
街で暮らしていると、ついつい忙しさにかまけて、立ち止まって空を見上げることを忘れていませんか? せめて週末くらい、空の広さを感じられる列車に揺られてのんびりしましょう。
「空の広さを感じられる列車」……それは架線のない線路を走るディーゼルカー!
実はJR東京駅から1時間あまり、千葉県を走る小湊鐵道の駅では、ディーゼルカーが「カラカラ……」とエンジンをアイドリングさせながら、アナタが癒やされにくるのを、今か今かと待っているんです。
【行程】
里山をのどかに走る小湊鐵道の人気弁当!
ノスタルジックな小湊鐵道・上総鶴舞駅
飯給駅の世界一広い(?)トイレ!
養老渓谷駅の足湯でひと息!
養老渓谷温泉・秘湯の宿「滝見苑」
木更津の「バー弁」と一緒に楽しむJR久留里線!
大正時代からのローカル線・久留里線!
久留里の名水に育まれた地酒を、旅の土産に!
青いホーローの駅名板と木造駅舎・横田駅!
里山をのどかに走る小湊鐵道の人気弁当!
小湊鐵道・五井駅
東京駅から、JR総武線・内房線直通の快速列車君津行きでおよそ1時間。
千葉県市原市の五井駅にやって来ました。
車庫にいっぱい止まっているのは、海沿いの五井と房総半島内陸部の上総中野(かずさなかの)を結ぶ「小湊鐵道」のディーゼルカーです。
ホームにはなぜかイノシシの石像もあって、亥年の旅にはピッタリのローカル線です。
五井駅構内「やりた」の売店
腹が減っては「旅」ができぬ……ということで、まずは弁当で腹ごしらえ。
五井駅は、市販の時刻表に「弁」のマークが付いた駅弁販売駅ではありませんが、JR線から小湊鐵道への乗り換え跨線橋(こせんきょう)の上で、地元・市原市の「やりた」が簡素な台を設けて、素朴な総菜弁当を販売しています。
やりたの「かまとろ丼」
お勧めは、一部で「幻」とも称されるほど人気の高い「かまとろ丼」(税込450円)!
白飯の上に、甘めに煮付けられたマグロのかまがのって、桜漬けが添えられているだけですが、煮汁がしっかりご飯にしみ込んでいて、食欲をそそられます。
ノスタルジックな小湊鐵道・上総鶴舞駅
小湊鐵道キハ200形気動車、小湊鐵道・上総鶴舞駅
五井駅から小湊鐵道のディーゼルカーに揺られて約35分。
最初に降り立ったのは、関東の駅百選のひとつ・上総鶴舞(かずさつるまい)駅です。
レトロな駅舎は、しばしばドラマや映画などの撮影にも使われています。
周辺には昔、貨物輸送をしていた時代の建物や、駅舎などに電気を供給していた発電所が残されていて、これらの建物は国の登録有形文化財となっています。
小湊鐵道・キハ200形気動車、小湊鐵道・上総鶴舞駅
小湊鐵道の上総牛久駅以遠は、古き良き日本が残る、郷愁を誘うローカル線です。そんな駅に降り立ったら、駅のベンチでのんびりするもよし、駅からぶらぶら歩きをしてもよし。
駅から少し歩いて、後からやってきた列車を駅舎と絡めて撮れば、プチ写真家気分が味わえたりするかもしれません。
飯給駅の世界一広い(?)トイレ!
小湊鐵道・飯給駅のトイレ
小湊鐵道の各駅にあるトイレは、地元の皆さんによる手入れが行き届いているのが特徴。
中でも立ち寄りたいのが、飯給(いたぶ)駅にある、「世界一広い」といわれるトイレです。
小湊鐵道・飯給駅のトイレ(画像提供:市原市観光振興課)
トイレの面積はおよそ200平方メートル、四面ガラス張りの個室を 1周およそ54m、高さ2mの杉の木で作られた壁で囲っています。
もともとアート作品として作られたもので、女性用のみ。
男の人は併設されている多目的トイレを使いましょう。
養老渓谷駅の足湯でひと息!
小湊鐵道・養老渓谷駅の足湯
再びディーゼルカーに揺られて、今宵のお宿の最寄り駅・養老渓谷駅へ。
お宿に電話を入れると迎えに来てくれるそうですが、来てくれるまではちょっと時間がある……。
この待ち時間を過ごすのにピッタリなのが、養老渓谷駅に併設された「足湯」です。
有料の足湯ですが、小湊鐵道の利用者であれば「無料」!
駅でロゴ入りのタオル(税込100円)も販売されているので、買い求めれば記念にもなります。
小湊鐵道・養老渓谷駅の足湯
あ~、あったまるぅ~。
千葉の温泉らしい、重曹の香りが感じられる茶褐色の「黒湯」が、1日歩いた足を癒やします。
えっ、今夜も温泉なのでは……ご心配なく!
足湯はお宿と泉質が違うので、2つのお湯を楽しめてしまうのです。
さあ、迎えの車がやって来ましたよ!!
養老渓谷温泉・秘湯の宿「滝見苑」
秘湯の宿「滝見苑」秘湯の宿「滝見苑」の和洋客室
お世話になったのは、養老渓谷のシンボル・粟又の滝(あわまたのたき)近くにある「秘湯の宿 滝見苑」。
今回は、リニューアルされた和洋室に宿泊しました。
さっそくこの開放された気分で浴衣に着替えて、温泉を楽しむことにしましょう。
露天風呂「叶いの湯」
暗闇に立ち上る湯気。
顔に当たるキーンとした空気と、首から下のぬくぬくした感覚のギャップを楽しめるのが、冬の露天風呂の醍醐味です。
上を見上げれば、澄んだ空に無限に広がる満天の星。
夜でも「空が広い」のは、気持ちいいものです。
露天風呂「願いの湯」
夜に男女の湯が入れ替わるので、内湯も露天風呂も、2つずつのお風呂を楽しむことができます。
泉質は、炭酸水素ナトリウム(重曹)とメタケイ酸多めで、体にやさしく、のんびりあったまることができる「低張性-弱アルカリ-冷鉱泉」。pH7.7、16.1℃の冷鉱泉なので加温されており、毎分90リットルあまり湧出する温泉資源を大事に使うために循環を行っています。
木更津の「バー弁」と一緒に楽しむJR久留里線!
キハE130系気動車、JR久留里線・久留里駅
南房総ローカル線の旅、2日目。房総の山里でのんびり温泉に癒やされ、ご飯をいっぱいいただいて、10時発の送迎車で再び養老渓谷駅へ……とはいっても、都心に戻ってしまうにはまだ早い。
せっかくなら木更津に足を延ばしてもうひとつ、「空の広さを感じられる列車」に乗っちゃいましょう。
それは、木更津と上総亀山の間を結んでいる「JR久留里(くるり)線」です!
吟米亭浜屋「バーベキュー弁当」
養老渓谷駅から五井駅へ戻り、JR内房線に乗り換えて、JR木更津駅には1時間40分ほどで到着。ここでJR久留里線に乗り換えます。
JR久留里線の旅のお供は、「吟米亭浜屋(ぎんまいていはまや)」が作る「バーベキュー弁当」(税込772円)です。もともと、昭和37(1962)年に木更津駅の駅弁として誕生し、現在は木更津の街の弁当として「バー弁」の呼び名で多くの方に愛されています。
吟米亭浜屋「バーベキュー弁当」
お店の方が吟味した県産コシヒカリの白飯の上に、秘伝のたれで焼き上げられた国産豚ロース肉が載っていて、ふたを開けた瞬間から香ばしさいっぱい!
できたてをいただきたい時は、いったん改札を出てJR木更津駅西口近くにある吟米亭浜屋へ。JR内房線からの乗り換え時間が短い時は、木更津駅改札内・NewDaysで買えることもあるので、お店をチェックしてみましょう。
大正時代からのローカル線・久留里線!
JR久留里線・久留里駅
JR木更津駅からJR久留里線で45分ほど、田園風景の中を新しいキハE130系ディーゼルカーに揺られてやってきたのは、路線名にもなっている久留里駅。
久留里は、木更津のお隣・君津市の内陸部にある、昔の小さな城下町です。
この地に列車が通り、久留里駅ができたのは大正元年(1912)のことでした。
久留里駅は今も古い木造駅舎が現役で、列車を降りた瞬間から懐かしい気持ちがあふれます。
JR久留里駅前「水汲み広場」
水の音に誘われて駅前をぶらぶら歩くと、「水汲み広場」を見つけました。
明治時代、千葉・上総地方で生まれた井戸掘りの技術「上総掘り」。
この技術で掘られた自噴井戸が、久留里の町には点在しています。
房総の山々に降った雨が地中で自然濾過されて湧き出した水は、水質がよく、美味しい!
「久留里の生きた水」とも呼ばれ、千葉県では唯一「平成の名水百選」のひとつに選ばれています。
久留里の名水に育まれた地酒を、旅の土産に!
須藤本家「天乃原 純米大吟醸」
水の美味しい所には、美味しい地酒が生まれます。
久留里には酒蔵がいくつかあり、駅から近い「須藤本家」でも、名酒「天乃原(あまのはら)」が造られていて、お土産にお勧めです。
今回は酒蔵の方イチオシの「天乃原 純米大吟醸」を……待ちきれないから呑んじゃおうかな?
だって、鉄道旅のいいところって、気兼ねなく「お酒が呑める」ことなんですから!
青いホーローの駅名板と木造駅舎・横田駅!
JR久留里線・横田駅
ちょっといい気分に浸りながら、久留里駅から木更津駅に戻る列車に乗り、千葉県袖ケ浦市にある横田駅で途中下車。
青いホーロー板に白い文字で「横田駅」と書かれた、懐かしい木造駅舎が出迎えてくれました。
JR久留里線・横田駅で行き違う、キハE130形気動車
JR久留里線は、上り列車・下り列車が同じ線路を走る単線です。
その中で横田駅は、上下の列車がすれ違うことができる駅。乗ってきた列車も、下り列車とのすれ違いのために7分止まります。
この少し長めの停車時間が、ローカル線らしくて、なんとなくワクワクするんですよね!
キハE130形気動車、JR久留里線・横田~東横田間
JR横田駅から少し歩くと、のどかな田園風景が広がりました。
春の訪れが早い房総とあって、年が明けたばかりなのに大きな農機が入っている田んぼも……。
やがて、遠くでカンカンカン……と踏切の音が鳴りだすと、夕日を一面に浴びた久留里方面行の列車が、下校中の高校生たちを乗せて駆け抜けていきました。
一見、何もない景色の中にも、地元の皆さんの営みがあり、高校生たちの青春があるのです。
昭和の頃、千葉は「電車」が少なく、「気動車王国」と呼ばれたそうです。
その名残を今に伝える、JR久留里線と小湊鐵道。
どちらの路線にも、ノスタルジックな木造駅舎と、地元の方々の普段着の暮らしが溢れています。
ローカル線のロングシートの片隅で、そんな千葉の皆さんの日常をちょっとだけ見せてもらった2日間。
さあ、思い立ったら東京から快速で1時間、「空が広い」千葉の列車旅を楽しんでみませんか?
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