消費増税の負担を軽減する4つの支援策。どんな場合にどのくらい効果がある?

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消費税増税の負担を軽減する4つの支援策。どんな場合にどのくらい効果がある?

2019年10月から予定されている消費増税。住宅に関しては増税の影響が大きいだけに、影響を緩和するための支援策が出そろった。住宅生産団体連合会(住団連)では、その支援策を分かりやすくまとめたリーフレットを作成し、普及に努めている。その内容を確認しながら、どういった場合に支援されるのかを見ていこう。【今週の住活トピック】

リーフレット「消費税率引上げに伴う住宅取得・リフォーム支援策」を掲載/住宅生産団体連合会

消費税率引き上げで上昇する住宅取得費用に対する支援策が出そろった

住宅に関する消費税では、土地の取得は非課税なので、住宅の建物部分の取得費用や住宅を建築したりリフォームしたりする工事費用に消費税が課される。8%から10%に税率が引き上げられると、その費用の2%分、支払額が上昇することになる。

8%のうちに、と駆け込みが発生すると需要の先取りになって、増税後の住宅市場が冷え込むことになる。そこで駆け込みが生じないように、増税後の支援策を充実させるというわけだ。具体的な支援策は次の4つ。

○住宅ローン減税の控除期間を3年延長

○すまい給付金の拡充

○次世代住宅ポイント制度

○贈与税の非課税枠の拡充

この支援策を広めようということで、住団連ではホームページに制度を紹介したリーフレットを掲載している。

どんな場合にどの程度の恩恵が受けられる制度?

どういった場合にどの程度の支援がされるのか、もう少し具体的に見ていこう。

(1)住宅ローン減税の控除期間を3年延長

「住宅ローン減税」は、住宅ローンの年末残高(上限4000万円※)の1%を10年間控除するもの。これを3年間延長して、A. 住宅ローンの年末残高(上限4000万円※)の1%、B.建物価格(上限4000万円※)の2%(3分割して1年ずつ控除)のいずれか小さい額が控除されるようになる。

※ただし、認定住宅の場合は上限5000万円

理論的には、消費税率10%が適用されて負担が増える建物価格の2%分を控除する(現行の住宅ローン減税を3年延長するほうが額が小さければ、単純に延長される)ことになる。ただし、住宅ローンの借入額によって控除される金額が変わり、納めている所得税などが上限となる点に注意が必要だ。

(2)すまい給付金の拡充

住宅ローンを利用しなかったり、所得が低くて所得税の額が少なかったりする人は、住宅ローン減税の効果が小さくなる。そこで、そうした人を対象に支援するのが「すまい給付金」だ。

税率8%では、年収の目安として510万円以下(実際には、住民税の所得割額が9.38万円以下)が給付対象で、年収が低いほど給付額が増えて最大給付額は30万円となる。これが、税率10%になると、給付対象の年収の目安が775万円以下(実際には、住民税の所得割額が17.26万円以下)に拡充され、最大給付額は50万円に引き上げられる。

ただし、あくまで住宅ローン減税の効果が小さい人向けの、補完的な位置づけである点に留意したい。

(3)次世代住宅ポイント制度

住宅における消費増税分の緩和策は、(1)と(2)がメインであるが、増税による消費減退ムードに弾みをつけようというのが「次世代住宅ポイント制度」だ。エコ住宅などの良質な住宅に対して、購入や新築の場合で最大35万円相当、リフォームの場合で最大30万円相当※のポイントがもらえる。

※一定の条件を満たせばポイントが加算される

ただし、条件が細かく設定されているので、条件を満たすかどうかを販売や施工する会社に確認する必要がある。

(4)贈与税の非課税枠の拡充

父母や祖父母から子や孫に、住宅取得の資金として贈与した場合、一定の額までが非課税となる制度。現行の非課税枠は700万円または1200万円(良質な住宅の場合)で2021年まで段階的に非課税枠が小さくなる。

税率10%が適用された場合では、非課税枠は2500万円または3000万円(良質な住宅の場合)に引き上げられ、2021年まで段階的に非課税枠が小さくなる。

つまり、親などから多額の贈与を受ける人にとっては、大きな恩恵を受けられる拡充策となる。

なお、それぞれの制度については、SUUMOジャーナルの以下の記事も参考にしてほしい。

・2019年度与党税制改正大綱まとまる 消費増税時に住宅ローン控除を3年延長

・住宅購入時の増税緩和策「すまい給付金」ってなんだ?

・「次世代住宅ポイント制度」創設! 消費増税の前と後、どちらで買うべき?

消費税率10%でどの程度効果があるかは人それぞれ

消費税率10%が適用されたからといって、すべての事例で支援が受けられるわけではない。制度ごとに住宅の広さや性能、年収などの細かい条件があるので、対象となるかをそれぞれ確認する必要がある。

たとえ支援策を受けられる場合でも、その人の住宅ローンの額や贈与の額、納めている所得税の額などによって、効果の大きさが変わってくる。そのため、8%の場合と10%の場合で、増税による負担の増加と支援策による軽減のどちらが大きくなるかは、それぞれの場合で試算するなどして見極める必要があるだろう。

国土交通省の「すまい給付金」サイトには、すまい給付金と住宅ローン減税の額が試算できる「すまい給付金シミュレーション」が用意されているので、試算してみるとよいだろう。

また、そもそも個人が売り主の中古住宅のような個人間売買については、消費税が課税されないために支援策の対象外(宅地建物取引業者が売り主のリフォーム済み住宅などは対象)だ。

住宅に関する消費税については、引き渡しが2019年10月1日以降で税率が10%となる場合でも、2019年3月末日までに契約をすれば8%が適用される「経過措置」がある。今のうちから、支援策のそれぞれの制度についてしっかり情報を入手して、後悔しないように検討をしてほしい。
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